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yasuokaの日記: 都道府県名の常用漢字と人名用漢字 6

日記 by yasuoka
今朝の日本経済新聞に『「鹿」も「岡」も「奈」も…ようやく常用漢字に』と題するアヤシゲな記事が載っていた(p.42)。

常用漢字表の見直し作業を進めている文化審議会国語分科会漢字小委員会は九日開いた会合で、現行の常用漢字に含まれていない鹿児島の「鹿」や大阪の「阪」など計十一字を、二〇一〇年にも制定される新常用漢字表に含めることを決めた。いずれも都道府県名に使われており、広く普及していると判断した。
ほかに加わるのは「奈」「岡」「熊」「梨」「阜」「埼」「茨」「栃」「媛」。現行表は固有名詞を中心に使われる漢字を載せていないが、「常用漢字表には一般の社会生活で用いる共通性の高い漢字を収める」(同小委)との観点から追加を決めた。
小委は約四千の漢字を書籍や新聞などで登場する頻度で順位付けし、上位の字は新しい常用漢字表に含め、下位は個別に検討して絞り込む作業を進める方針。総字数が多くなった場合には「読めるだけでいい漢字」を集めた「準常用漢字表」の制定も検討する。

実は、これら11字は、2004年9月27日の人名用漢字改正で、全部、人名用漢字になってしまっている。なので、安岡孝一個人としては、別に「岡」を常用漢字に入れてもらえなくてもいいのだけど、ま、この11字あたりがツカミとしては適当なのだろう。というのも、この11字には「しんにょう」や「しめすへん」や「しょくへん」の字が含まれていないからだ。

文化審議会国語分科会の前身にあたる国語審議会は、2000年12月8日に表外漢字字体表というのを答申していて、常用漢字表以外の漢字1022字について、印刷標準字体というのを示している。で、この印刷標準字体というのが、かなり古めかしくて、「しんにょう」は2点だし、「しめすへん」は「ネ」じゃなくて「示」だし、「しょくへん」は「飮」の左半分だ。これに対し常用漢字表では、「しんにょう」は1点で、「しめすへん」は「ネ」っぽくて、「しょくへん」は「飲」の左半分だ。とすると、もし、表外漢字字体表の中から新しい常用漢字を選んだりして、それにたとえば「しんにょう」があったりすると、さて「1点しんにょう」にするか「2点しんにょう」にするか、という問題が起こる。従来の常用漢字表に合わせるなら「1点しんにょう」にすべきだが、それは表外漢字字体表で示した印刷標準字体と矛盾する。でも「2点しんにょう」にしたりすると、それこそ現在、常用漢字に入っている「込」「迅」「迎」…なんかと字体が合わなくなる。

その意味で「しんにょう」や「しめすへん」や「しょくへん」を避けた都道府県名の11字は、まあまあ妥当なセンだと思うのだけど、でも、文化審議会国語分科会は、今後どうするつもりなんだろう?

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2008年01月14日 21時09分 (#1280531)
    どうも、はじめまして。 私が書いているブログに書き込み頂いてありがとうございます。 と同時に、実は前々から安岡さんのサイトである漢字袋や 安岡さんが書いた「文字コードの世界」の本を 食い入るように見ました。 今も自分の趣味の資料として、とても愛用しています。 私のブログの題名の通り、 私は漢字と韓国語と中国語に凄く関心があり、 渦中の常用漢字表の件もそうですが、 韓国で使用している漢字の字体や中国の簡体字、 第2次世界大戦前と後での東アジアの漢字の遷移、 そして、日本のJISコード、韓国のKSコード、中国のGBコード、 これとunicodeに関連する内容等、東アジアの文字コードもかなり関心があり、 見ていました。 まさか安岡さんご本人からコメントを頂けるとは思ってもいませんでした。 大変、感激しています。 どうぞ今後とも宜しくお願い致します。
    • えっと、福岡のunicodeさん [livedoor.jp]ですね? どうも、お越しいただきありがとうございます。実は、私のこの記事なんですけど、ちょっとツメが甘くて、「茨」と「次」の間の問題(デザイン差なんですけどね)を見落としてたりするのを、狩野宏樹さんに指摘されてたり [hatena.ne.jp]します。でも、まあ、それでも、おつきあいよろしく。
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      • アカウント登録しました。そうです。unicodeです。 あと、「茨」の件、実は安岡さんの文面を読んでいて、私も「あれ?茨はデザイン差があるような?」と思ったので、 アカウント登録後に書こうかと思っていました。 先に書かれた・・・と内心、思っています。変な文面、失礼しました。 私も2000年の印刷標準字体の件と2004年の人名用漢字の大幅追加の件、 複雑な心境で見ていました。 2000年の印刷標準字体答申以降に管轄省庁は違いますが、 2004年に人名用漢字が追加されたものと、 2000年以前に常用漢字、人名用漢字に追加された漢字によって、 書体が明らかに異なるのはどうしても腑に落ちません。 今は2000年当時より少し柔和?になって、 略字体より正字体の方がいいというのもある程度は私の中で理解するようには なりましたが(例:仏・払は略字体なのに沸は略字体にならなかった等の前例)、 安岡さんが触れられているように、 しんにょう、しょくへん、しめすへんはやはり歯切れが悪いという勘は否めません。 これこそ2000年の印刷標準字体答申を境に違う書体になった代表例です。 是非、常用漢字や準常用漢字に上の3つの部首の漢字が含めれることになるなら、 先ずは今までの常用漢字で使用している字体(教科書体?ごめんなさい。何体か名前が分かりません。)と 同じにして、その後、大変でしょうが、JISコードの再改良を強く望みます。 私のブログではあまり文字コードの件は今のところ、話題にしていませんが、 今後、常用漢字表の改定の話題が進めば色々と私なりの考えを書きたいと思っています。 長々、失礼しました。 また、関心のある内容があれば、ここで書きたいと思います。 尚、私は・・・、漢字が好き→漢字文化圏の漢字・言語・文字コードに興味関心 となったので、欧米は・・・。 今後、どうなるかは分かりませんが、今は東アジアの話題で色々書きたいと思います。 あと、私は安岡さん以上に、抜けていると思いますが(文章も拙いし)、 どうぞ今後とも宜しくお願い致します。
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        • 常用漢字表が変わったら、JISより前に人名用漢字なんですよ。しかも、たとえば常用漢字表の「しめすへん」を一本化すると、それはそれでかなりヤヤコシイことになります。仮に「ネへんの祇」が常用漢字表に入ると、法務省はほぼ確実に、「示へんの祇」を人名用漢字に残したままで「ネへんの祇」も子の名に認める、という大技に出ます。するとJISとしては、JIS X 0213の1面21区32点を「包摂分離」しなきゃいけなくなりますが、現時点の例示字体は、JIS X 0208の21区32点が「ネへんの祇」で、JIS X 0213の1面21区32点が「示へんの祇」というヤヤコシサ…。
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          • 確かに今回の人名用漢字の大幅追加によって、もっと複雑な話になりますね。 恥ずかしながら、そこまで考えていませんでした。 私は78JISを搭載したコンピュータを見たことがありませんが、これが83JISに変わり、 学者等を中心に不満の声があったというのは本やネット上の文章で見ました。 例として、「鴎」とか「涜」とか・・・。 しかし、この頃と今とではPCを使う割合が全然違いますし。毎回、新しい規格が出て、 パソコンも新しい規格を搭載して、ころころ文字の入れ替えをすると、混乱しますし。 搭載している規格の違いで表示が異なるわけですし。 ここで例示してある「祇」に関しても、ネット上で「ネへんの祇」が嫌という理由で、 「祗」を使う人がいますが、これは明らかな誤字ですし、 中には「ネへんの祇」がいいと言う人がいれば、JIS X 0213搭載のパソコンだと表示できないわけですし。 意味がおかしな内容でしたら、ごめんなさい。
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          • ごめんなさい。途中で半分文面を消してそのまま投稿してしまいました。 常用漢字に「祇」が追加されると、「ネへんの祇」を新たにまた追加しないと いけないという話になるでしょうが、JIS X 0213の1面には 殆ど空き領域が殆どない(しかも記号領域しか空きがない)ので、 2面になるのでしょうが、ここはJIS X 0212にある漢字をそのまま 当てはめられるように空けているんですよね? 本当にそこまで考えたことがなかったので、今、少し頭の中が混乱しています。 まだまだ知識不足です。すいません。
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