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yasuokaの日記: ボタン・アコーディオンとタイプ・ライター 11

日記 by yasuoka
『日経コミュニケーション』の2008年5月15日号p.77に『キーボード配列 QWERTYの謎』の書評が載っている、という連絡があった。うれしい。ざっと読んでみたところ、最後の段落が、著者である私たちへの問いかけになっているようだ。ここは、書評を書いてくださった堀越功に敬意を表して、ちゃんと答えておこうと思う。

なお本書では触れていないが,初期のタイプライターが,ピアノ型のキーから3列,4列のキー配列に代わった背景には,同じように3列,4列のキー構造を持つボタン・アコーディオンの影響があるように思う。アームの構造も初期のタイプライターとアコーディオンはよく似ている。いかがだろうか。

ボタン・アコーディオンと一口に言うが、1860年代のアメリカでは、私の知る限りConcertina型のものが主流で、いわゆるSchrammel型はまだ現れていない。で、当時のConcertina型ボタン・アコーディオンの構造だが、たとえばCarl Friedrich ZimmermannのU. S. Patent No.56319を読む限り、3列に並んだボタンのすぐそばにそれぞれリードが配置されている。1870年頃のChristopher Latham Sholesのタイプ・ライターとは、似ても似つかない構造だ。一方、Concertina型以外のボタン・アコーディオンをLathamが参考にした可能性は、もちろんゼロではないが、しかし、その仮説を支持する証拠を私たち(安岡夫妻)は持っていない。ちなみに、Lathamは音楽を全く嗜まなかったようなので、楽器から影響を受けたという仮説は、かなりちゃんとした証拠を必要とするだろう。

現時点で私たちが答えるのなら、こんな感じなのだが、さて、問いかけへの答になっているだろうか?

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    初期TYPE WRITERの活字は 絡んだりしなかったか? 衝突は問題なかったのか? http://slashdot.jp/journal/560336
    • Lathamらが1868年5月に特許事務所に提出した11キーの『タイプ・ライター』において、そのキーボードに、当時のMelodeon型ボタン・アコーディオンのキーボードが流用されていた、という説のことですか? もしそうなら、この説、かなり無理があるように思われます。当時のMelodeon [springersmusic.co.uk]と、『キーボード配列 QWERTYの謎』の★9を見くらべてもらえば分かるとおり、キーの形状が全く違っていて、どこをどう見ても流用なんて話にはならないと思われます。それとも、オルガンの方のMelodeonの話でしょうか?
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      • http://blog.goo.ne.jp/raycy/e/2cedf5fec0b65771c79ce9bc49309b0b [goo.ne.jp]
        「楽器から影響を受けたという仮説」の「かなりちゃんとした証拠」の候補のひとつの可能性? - 霊犀社2
        とのつもりでした。
        あと、ついでですが、例の、レミントン側へ持ち込んだSholesらの試作機、これ、現存してるんでしょうか?
        もし現存していれば、
        http://srad.jp/~yasuoka/journal/440086 [srad.jp]
        Sholes & Glidden Type-Writerの活字棒の配置 - yasuoka の日記
        でお示しいただいた

        Sholes & Glidden Type-Writerを上から眺めた場合、QWERTYUIOPはタイプバスケット上で時計回りに配置される

        の図に対応する、試作段階での様子が、はっきりしそうなものですが
        っていうことで、効率的市場仮説へと陥っていってしまうわけです  [goo.ne.jp]が、、
        現物がない限りでは、どうとでも考えられるかもですが、たとえば、次のようにも想定できるかも?
        http://blog.goo.ne.jp/raycy/e/9cdd9c63c296b94b5e4f46e688fdb55f [goo.ne.jp]
        ショールズの活字棒配置チューニング方針を、Dvorak仮説通りとして、眺め直してみる。 - 霊犀社2
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        初期TYPE WRITERの活字は 絡んだりしなかったか? 衝突は問題なかったのか? http://slashdot.jp/journal/560336
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        • 19世紀の新聞記事とかが、単に「melodeon」とだけ書いてる場合には、アコーディオンなのかオルガンなのかわからないので、かなり注意深く読まなきゃいけないんですけど…。

          例の、レミントン側へ持ち込んだSholesらの試作機、これ、現存してるんでしょうか?
          『キーボード配列 QWERTYの謎』の★21に示した『タイプ・ライター』ですね。これ、残念ながら、私たちも実物を見つけきれていません。1938年時点では、Remington Randが所蔵してたようなんですけどね(参考文献[380]のPLATE II参照)。
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          • アコーディオンなのかオルガンなのか
            空気供給流量調節バルブへの動力伝達方法が異なることはあるんでしょうね。ですが、大雑把には、ふいごの位置の違いともいえるかも?
            http://blog.goo.ne.jp/raycy/e/c19b80d0bd0e17e68b216a09d00243cf [goo.ne.jp]
            鍵盤 バルブ リード ふいご鞴 ふいご駆動力 - 霊犀社2

            レミントン側へ持ち込んだSholesらの試作機
            『キーボード配列 QWERTYの謎』の★21に示した『タイプ・ライター』
            現存不明ですか。それで、

            http://srad.jp/~yasuoka/journal/280542
            QWERTY配列に対する誤解 - yasuoka の日記

            では、印字棒の配置の推定は U.S.Patent No.182511 に拠っているわけですね。

            「楽器から影響を受けたという仮説」の「かなりちゃんとした証拠」の候補として、次のようなものもありました。
            http://blog.goo.ne.jp/raycy/e/f27251c6c4a7698ff50c02a0178f2fd6 [goo.ne.jp]
            Sholes melodeon piano same plane - 霊犀社2
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            初期TYPE WRITERの活字は 絡んだりしなかったか? 衝突は問題なかったのか? http://slashdot.jp/journal/560336
            親コメント
            • QWERTY配列に対する誤解 [srad.jp]の「試作品」に関してですけど。

              では、印字棒の配置の推定は U.S.Patent No.182511 に拠っているわけですね。
              根拠の一つは、そうです。ただし、U. S. Patent No.182511やNo.207559の特許出願用「モデル」は、どちらもSmithsonianに所蔵されてて、私自身はそれらを実際に見ているので、その時の経験も私個人にとっては根拠の一つです。
              親コメント
              • U. S. Patent No.182511の「モデル」の存在については、myウェブ史上初見です。それがあるのならば、「経験」に留めることなく、写真なり図として文書化なさられれば、意義ありげに思われます。
                http://blog.goo.ne.jp/raycy/e/6c9a5553cdce83838c082fe6d5dc8c85 [goo.ne.jp]
                「U.S.Patent No.182511の特許申請モデル機」の鍵盤‐タイプバー配列情報 - 霊犀社2
                --
                初期TYPE WRITERの活字は 絡んだりしなかったか? 衝突は問題なかったのか? http://slashdot.jp/journal/560336
                親コメント
              • えっと、U. S. Patent No.182511の「モデル」(あるいはその同型機)の写真なら、ここ [typewritermuseum.org]にありますけど?
                親コメント
              • お示しいただいた写真の説明を見ますと

                Sholes & Glidden patent model  [goo.ne.jp]
                とある。

                またスミソニアン(押収?)所蔵の2特許モデルとsimilar(同じく?)同様  [goo.ne.jp]
                と。貴ご照会では、

                U. S. Patent No.182511の「モデル」(あるいはその同型機)  [srad.jp]
                とのこと。つなげて解釈すれば、
                U.S. Pat.  申請日  
                No.182511 1872.03.30 Sholes & Schwalbach patent model
                No.200351 1874.01.16 Sholes & Glidden patent model
                これら2特許のモデルが同型機というご認識に、経験を踏まえれば、到達、そう考えざるをえない、ということでしょうか?

                なるほど、特許図ぐらいしか眺めたことのない者小我のmy疑心は、やはりスミソニアンくんだり(解説:おいそれとは行けぬ身を表わすためにあえて不適切な用語法を使ってみました。:解説おわり)まで往かねば晴れぬもののようです。
                ショールズ後年の特許
                U.S. Pat.  申請日  
                No.207558 1878.03.27
                No.207557 1878.04.19
                との違い、差が、活字棒印字棒タイプ‐バーtype-barタイプバーの配置が、ショールズ&グリデン・タイプ‐ライター発売前後(1874年早春ごろ?)で全く異なっているところまでは、図から判断ついたとは断言しずらいような気分なんですが、 [goo.ne.jp]。スミソニアンゆ征  [goo.ne.jp]かねば晴れぬものか  [goo.ne.jp]?
                ----------------------------
                それとも
                特許の文面から、活字棒の配置の明確な違いが分かる読み取れるのでしょうか?

                あるいは物証、現存、QWE.TY機時代のタイプバスケットの見取り図があれば
                って、振り出し元に戻ってしまいますけれども、、
                あと、現存していた頃の、見取り図なり写真なり(最低は証言?でもいいかもですが)、ともかく、
                QWE.TY機時代のタイプバスケットの見取り図のようなもの

                で、いわゆる”自由度”の中身がどんなものであったのかが分かれば、、
                --
                初期TYPE WRITERの活字は 絡んだりしなかったか? 衝突は問題なかったのか? http://slashdot.jp/journal/560336
                親コメント
              • U.S. Pat.  申請日  
                No.182511 1872.03.30 Sholes & Schwalbach patent model
                No.200351 1874.01.16 Sholes & Glidden patent model
                これら2特許のモデルが同型機というご認識に、経験を踏まえれば、到達、そう考えざるをえない、ということでしょうか?
                おっしゃる意味がさっぱりわかりません。私の知る限り、U. S. Patent No.182511 [uspto.gov]とNo.200351 [uspto.gov]のモデルが「同型機」なんてことは有り得ないのですが。そもそもNo.200351には、いわゆる「スペースバー」が追加されていて、少なくともその部分の機構が変わっています。No.200351のClaim 2にも、そう書いてあるでしょう?
                親コメント
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「毎々お世話になっております。仕様書を頂きたく。」「拝承」 -- ある会社の日常

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