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yasuokaの日記: 『pronto pronto?』Vol.11のガセネタ

日記 by yasuoka
『pronto pronto?』Vol.11 (2008年2月)を読んでいたところ、「トリビア名誉教授 唐沢俊一のビジネス課外授業。」(p.17)に、宇治拾遺物語に関するガセネタが載っていた。

奈良時代の政治家・吉備真備は若いころ、身分が低かったため、出世できずに悩んでいた。そんなある日、高名な夢占い師の家へ行くと、自分の前に来ていた国司(地方長官)の息子が中央に出て出世する夢を見たので詳しく占っていたという。真備はその夢の内容を自分に売ってくれ、と半ば脅迫的に頼み込んだ。占い師はしぶしぶ承知して金を受け取ったが、そのおかげで真備はぐんぐん出世したという。

宇治拾遺物語の『夢買ふ人の事』が元ネタのようだが、この話のどこをどう読んだら、こんなガセネタだらけになってしまうのか、正直なところ理解できない。以下に、何点かあげつらうことにする。

  • この『夢買ふ人の事』では、若き日の吉備真備は、備中国の郡司の息子ということになっている。「身分が低かった」なんてことはない。
  • 真備が夢占い女のところに来ていたら、国司の息子がやってきたので、真備は隣の部屋に隠れて、国司の息子の夢の話を盗み聞きしていた、というのが、ストーリー上かなり重要な部分だ。「自分の前に来ていた」わけではない。
  • 国司は中央から地方に派遣される官吏で、任期が終われば中央に戻っていく。「中央に出て」というのは、国司の任官形態に合っていない。
  • 真備が「国司の息子は4年経ったら中央に帰っていく。私は郡司の息子でずっと国にいるのだから、私の方を大事にすべきだ」と頼み込んだところ、夢占い女も「そうね、あんたの言うとおり」と快諾している。別に「しぶしぶ承知」したわけではないし、「金を受け取った」わけでもない。

しかしながら、この『夢買ふ人の事』のキモは、真備がどのようにして国司の息子の夢を取ってしまうか、にある。「国司の息子と同じようにやってみな」と夢占い女に言われた真備は、部屋に入るところからやり直して、国司の息子と寸分たがわぬ夢の内容を話して、それに対して夢占い女も全く同じ受け答えをし、同じように上着を夢占い女に渡して出て行く。これで、国司の息子が見た夢は真備のものになった、という摩訶不思議な展開なのだ。

かくして夢占い女の手元には、男物の上着2着が残ったわけだが、どうしてこういうオイシイ内容を『pronto pronto?』は無視して、全く違う話に作り変えてしまっているのだろう?

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