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yasuokaの日記: 人名用漢字になれない祷と穹 2

日記 by yasuoka
人名用漢字の新字旧字のネタを拾うべく、法律系雑誌をあさっていたら、『民事月報』2008年9月号pp.7-42に『戸籍法施行規則60条に定める文字以外の文字である「祷」及び「穹」は社会通念上明らかに常用平易な文字であるとして,当該文字を子の名に用いた各出生届の受理を命じた事例 ―大阪高等裁判所平成20年3月18日決定―』という記事が載っていた。大阪高裁平18(ラ)252号/486号(概要はここを参照)に関する解説で、法務省民事局の中山隆弘が書いたものだ。ところが、ざっと読んでみたところ、どうも様子が変だ。特にp.41のこの文章。

以上のとおり,本件大阪高裁決定が示した判断枠組は,最高裁平成15年決定と整合性を保っていないとの評価が可能である。確かに,立法論ないし制度論としては,本件大阪高裁決定の示したような枠組で常用平易な文字を認定することはあり得るとも考えられるが,それを戸籍法50条の解釈論として導くことは困難ではなかろうか。

つまり、「祷」と「穹」に関する大阪高裁の判断は、最高裁平15(許)37号(平成15年12月25日決定、いわゆる「曽良」ちゃん事件)と不整合だと言うのである。だったら法務省側は許可抗告しなきゃダメだろ、と思うのだが、そこはこういう逃げがうってある。

本件大阪高裁決定が一応最高裁平成15年決定が示した判断枠組に沿った形での判断をしていることから,結局は事実認定の問題であり,最高裁において,本件大阪高裁決定が破棄されるか否かについて,確信が得られなかったのではないかと推察される

結局どっちなんだよ、という感じなのだが、要するに最高裁で法務省側が負けた場合、またぞろ人名用漢字を改正しなきゃいけなくなるので、それがイヤだったという風にも読める。大阪高裁決定から半年以上が過ぎた現時点でも、「祷」と「穹」は人名用漢字に追加されていないことを考えると、まあこれが、法務省民事局の意見の大勢ということなのだろう。

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