yasuokaの日記: 【改定常用漢字表試案への意見】テンプレート 3
『新常用漢字表が迫るUnicode移行、「シフトJIS」では対応不可能』の読者から、「改定常用漢字表試案への意見」の例を書いてほしい、という依頼がかなりたくさん届いた。しかも、電子メールで送れる形にしてほしい、という人が多いらしい。とりあえず、私(安岡孝一)なりのテンプレートを書いてみることにした。
To: kanzihyo@bunka.go.jp
Subject: 【改定常用漢字表試案への意見】氏名・年齢・性別・職業
住所・電話番号「叱・填・剥・頬」の4字を、それぞれ対応する常用漢字の許容字体として、角括弧つきで併記することを要望します。また、*が付された「彙・茨・淫・牙・葛・韓・嗅・僅・惧・稽・恣・煎・詮・箋・嘲・捗・溺・賭・箸・蔑・喩」の21字および「羨・蔽・籠」の3字については、これまでの常用漢字と同じ構成要素の字体を、やはり許容字体として併記することを要望します。その上で、「付 情報機器に搭載されている印刷文字字体の関係で…当該の字体の使用を妨げるものではない。」という文言は、削除すべきだと考えます。
まあ、意見の理由としては、「シフトJIS」の情報機器で、しかも「印刷」という概念のないもの(たとえば携帯電話)に、新常用漢字表を適用するのが難しいから、ということだ。でも、理由をちゃんと書こうとすると、「新常用漢字表の文字論」(勉誠出版、2009年12月)一冊まるまるぐらいの分量になっちゃうし、これまでの漢字小委員会の議事録を読む限り、理由をいくら書いても審議の対象にしてもらえない。なので、理由はむしろバッサリ落として、数で勝負ってことになるのだけど…。はてなブックマークは500以上ついてて、twitterでは200人以上が注目してたみたいだけど、さて、このテンプレートをコピペしてクリスマスイブまでに送ってくれる人、何人いるのかしら?
削除までは必要ないのでは? (スコア:1)
〈その上で、「付 情報機器に搭載されている印刷文字字体の関係で…
当該の字体の使用を妨げるものではない。」という文言は、削除すべきだと考えます〉
という部分ですが、
これを削除すると2004JISで例示字体を変更した
「茨、淫、牙、葛、僅、餌、煎、詮、遡、遜、嘲、捗、溺、賭、謎、箸、蔽、餅、蔑」
の携帯電話での扱いが困ったことになりません?
また「叱」を許容字体とすること自体は良策と思いますが、
それをしてもUnicodeから送信されてきたU+20B9Fは
携帯電話で「?」などに置き換わるという問題は解消されませんよね。
つまり、許容字体にすることの効果は限定的なもので、
やはり根本的な解決策は、Unicodeに移行するしかないということだと思います。
Re:削除までは必要ないのでは? (スコア:1)
そりゃあ、「[叱]」より「叱()」の方が絶対いいですけどね。でも、それを漢字小委員会が認めるとは思えません。なので、とりあえずは、必要そうな33字全部に許容字体を併記してほしいわけです。で、33字全部に併記されれば、問題の「付」はあってもなくても実はかまいません。
ただ、33字全部には併記されなかった場合、どれに許容字体が併記されたかによって「付」の実効性は変わるんですよ。でも、233通りの組合せを全て尽くしてコメントを書く、ってのは非現実的ですから、とりあえずは「削除すべきだと考えます」と書くしかないわけです。だって何も書かないと、そもそも審議すらしてくれないでしょ?
Re:削除までは必要ないのでは? (スコア:1)
よく読まずに失礼しました。
たぶん漢字小委員会にとって、シフトJISなどの実装というのは、
「いずれ消える実装」なんだと思うんです。
「方向としてはUnicodeなんだから、シフトJISまで顧慮しなくていいでしょ」
みたいな。
もちろん、こうした言葉を使った発言があったわけではないですが、
林副主査の発言を聞いていると、Unicode(JIS X 0213)と互換をとることこそが
情報化時代への対応と思っているように感じます。
つまり、後方互換性の大切さ(厄介さ)はあまり重視されていないということは言えると思います。
そこらへんをパブコメで指摘するのは、たしかに大切なことでしょうね。