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yasuokaの日記: 「王白石」ちゃん事件

日記 by yasuoka

人名用漢字の新字旧字のネタを探すべく、昔の『家庭裁判月報』をチェックしていたところ、第31巻8号(昭和54年8月号)のpp.64-68に、以下の事件[東京高等裁判所昭和53年(ラ)第691号、昭和53年11月2日決定]を見つけた。

抗告人は、昭和46年9月11日、スペイン国マドリッド市において出生し、抗告人の親権者らにおいて「碧」(「みどり」と読む。)と命名したが、この「碧」は、戸籍法施行規則60条所定の当用漢字表、人名用漢字別表及び人名用漢字追加表のいずれにも掲げられていない文字であるため、戸籍係(在スペイン国大使)に出生届出の受理を拒否され、やむなく同親権者らは「碧」の文字を筆順に分解した「王白石」を抗告人の名として出生届出をし、その改名を将来に求めることとし、以来、抗告人は、戸籍上の名とは別に、通名として「碧」を使用していることが認められる。

昭和46年の時点では『人名用漢字追加表』(昭和51年7月30日内閣告示第1号)は、まだ存在しなかったはずなんだけど…。でも、いくら「碧」が人名用漢字にないからって、子供の名を「王白石」にするなんて、せめて、ひらがなで「みどり」にするとかダメだったんだろうか。

しかも「王白石」(みどり)ちゃんに対する東京高等裁判所の決定もかなり厳しい。

抗告人は現在満7歳であるから、抗告人が通名として「碧」という名を使用したのも7年間余に過ぎず、また、右通名が通用するのも社会のごく一部でしかなく、右通名を戸籍上の正式な名としなければ社会生活上にも著しい支障が生ずるという段階にまで達しているとは認められない。したがつて、前記「王白石」という戸籍上の名が珍奇、難読であるとの事情を加味したとしても、制限外文字を用いる「碧」という名への改名を認める正当な事由が存在するとまでは、未だいいえないものというべきである。

というわけで、抗告棄却が確定している。ただ、この高裁決定の3年後、昭和56年10月1日に「碧」は人名用漢字になったのだけど、その時「王白石」ちゃんはどうなったんだろう。

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UNIXはただ死んだだけでなく、本当にひどい臭いを放ち始めている -- あるソフトウェアエンジニア

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