yasuokaの日記: JIS X 0212の「黑へん」 1
日記 by
yasuoka
JIS X 0212-1990の規格票を眺めていたところ、「黑へん」のところで妙なことに気づいた。JIS X 0212は76区の最後から77区の最初にかけて、黕・黟・黤・黬・黭・黮・黰・黲・黵・黸の「黑へん」10字を収録しているのだが、黤の「黑へん」だけ規格票でのデザインが違うのだ。規格票p.31を閲覧してもらえばわかるが、黤は「黑へん」の8画目が右上にハネあがっているのに対し、他は全て横棒だ。
どうしてこんなことになったのだろう、と、原案にあたる『印刷産業の情報処理高速化に関する調査研究報告書』のp.273をチェックしてみたところ、やはり、黤は「黑へん」の8画目が右上にハネあがっているのに対し、黕・黟・黬・黭・黮・黰・黲・黵・黸は横棒だった。もしやこれは、と思い、『大漢和辞典』をチェックしてみたところ、検字番号48117の「黑へん」は右上にハネあがっているのに対し、48057・48091・48149・48151・48156・48178・48189・48215・48240は横棒だった。つまり、『大漢和辞典』の石井明朝体におけるデザイン差を後生大事に踏襲していたわけだが、どうして石井明朝体にこういうデザイン差が紛れ込んでしまったのかはハッキリしなかった。
一方、ISO-IR159では、黤・黬・黮・黰・黲・黵の「黑へん」が右上にハネあがっていて、JIS X 0212規格票とは異なっている。というか、ISO-IR159に使われているのは、平成明朝体ではないようだ。うーむ、これ、いったい、どうなってるんだろう?
ニセモノのJIS X 0212 (スコア:1)
ここの記事 [srad.jp]で指摘があった通り、JISCで「閲覧」できるJIS X 0212はニセモノです。↑の「閲覧」のリンクを辿らずに、大きな図書館かどこかで、本物のJIS X 0212規格票を閲覧して下さい。