yasuokaの日記: 銀行口座をマイナンバーにひも付けるとどうなるか 1
今日の日本経済新聞(第45888号)に「政府税調でマイナンバー議論」と題する記事が載っていた(p.4)。
政府の税制調査会(首相の諮問機関)は8日、2016年に運用が始まる社会保障と税の共通番号(マイナンバー)の活用について議論を始めた。銀行口座や固定資産にマイナンバーをひも付けして、個人の資産を正確に把握すべきだとの意見が相次いだ。現行制度では、銀行口座や固定資産に番号をひも付けすることは認めていない。
私(安岡孝一)個人は、たぶんマイナンバー推進派だと思うのだが、それでも、銀行口座をマイナンバーにひも付けるのは、全く賛成できない。一つには、現在の日本の銀行口座における税制は、利子に対する定率課税という形が取られていて、それで特に問題が起こっているようには見えないからだ(cf. 土居丈朗: マイナンバー 金融といい距離を, 日経ヴェリタス, 第277号 (2013年6月30日), p.45)。
一方、現在の日本国内の銀行口座数は8億を超えており、しかも、利用者が銀行店舗の窓口に来るチャンスは極めて限られているので、既存口座にマイナンバーを完全に附番するのは、ほぼ不可能に近いという現実がある(cf. 長谷川敏也: 個人番号法とは何か, 税務QA, 第138号 (2013年9月), pp.47-57)。銀行口座に対するマイナンバーのひも付けを強制しようとすると、日本の銀行は確実に疲弊することになる。
それに加え、もし、日本の銀行口座をマイナンバーにひも付けたならば、大口の預金者は、ほぼ確実に国外へと逃げてしまう。金融所得というのは、そもそも逃げ足が速い(cf. 宮本十至子: 「マイナンバー制度」と相続税・贈与税, ZEIKEN, Vol.29, No.2 (2013年7月), pp.45-51)。日本の銀行にしてみれば、ひも付けのために業務が激増する上に、ひも付けしようとすればするほど、預金者がどんどん逃げていってしまうわけだ。踏んだり蹴ったりとは、このことだろう。
そう考えると、銀行口座をマイナンバーにひも付けるのは、メリットよりデメリットの方が大きく、国益を大きく損なうように見える。ただ、税制調査会のディスカッショングループともあろうものが、この程度のシミュレーションすらしていないとは思いにくい。もしやこれも、日本経済新聞お得意の「飛ばし記事」なのかしら?
SOKUZEIは冷静 (スコア:2)
旬刊『速報税理』のバックナンバーを読んでいたところ、第32巻第33号(2013年11月21日)pp.1-7の「金融資産・固定資産にマイナンバー求める声も」という記事では
と至って冷静な論調でした。やっぱり日経の「飛ばし記事」かしら?