yasuokaの日記: 入国管理局正字と犯罪人名簿
『戸籍』第899号(2014年6月号)を読んでいたところ、「第66回総会合同研修会協議問題審議結果及び要望事項の回答」が載っていた(pp.31-74)。2013年10月23~24日に開催された全国連合戸籍住民基本台帳事務協議会総会で、各都道府県から要望が提出されたのだが、それに対する霞ヶ関の正式回答である。兵庫県からの要望がどうなったかな、とワクワクして読んでみたのだが、正直、失望に値する回答だった。
戸籍事務,及び改正住民基本台帳法施行後の中国簡体字等に対応する日本の正字による記載の取扱いについて通達等の発出を要望する。
(理由)
改正住民基本台帳法が平成24年7月9日に施行されたことに伴い,漢字圏の外国人の住民票の表記が,原則在留カード等に記載された正字で記載することとされた。また,中国簡体字等は,在留カード等に記載する正字化ルールに従い正字に変換して記載することとされた。
戸籍事務においても,中国簡体字等は対応する日本の正字で記載することとされているが,この際の正字への変換ルールが在留カードに記載する正字化ルールと異なっている。
この取扱いの相違により,外国人住民については,日本人配偶者の戸籍に記載された外国人配偶者の氏名と住民票に記載された外国人配偶者の氏名の表記が違うという事態等が発生している。そのため,同一人の証明として疑義が生じ,各行政機関における混乱や社会的な影響は計り知れず,戸籍や住民票の信頼性を損なうことにもなりかねない。
よって,中国簡体字に対応する日本の正字については,戸籍と住民票で統一の取扱いができるよう,法務省民事局,法務省入国管理局,総務省自治行政局でご調整いただき,通達等の発出を要望する。
[法務省民事局回答]
戸籍に記載する文字は正しい日本文字に限られることから,いわゆる中国簡体字等については,正しい日本文字である漢字に引き直して戸籍に記載する取扱いとされており,現時点において要望に応ずる予定はないが,改正された住民基本台帳法に基づく運用状況などを注視して参りたい。
[法務省入国管理局回答]
在留カード等に表記する漢字氏名については,住民票に記載する漢字を当局の定める漢字に合わせて欲しいとの市町村等からの要望も踏まえ,また,市町村のシステムとの連携を図る必要性から正字の範囲を告示で定めたものであり,その範囲を変更することは困難と考える。
[総務省自治行政局回答]
住民票の記載事項のうち,外国人住民に係る氏名については,在留カード等に記載されている氏名を記載することとしており(事務処理要領第2-1-(2)-ア),住民票独自の取り扱いを検討することは考えていない。
よーするに、三者それぞれ決めちゃったから、入国管理局正字については、今後も放置プレイってことね。私(安岡孝一)自身『行政情報処理用漢字コードの現状』第4回にも書いたとおり、システム上の問題もかなり大きくなってきてるんだけど、さて、どうしてやろうかしら。
兵庫県からのもう一つの要望に対しては、失望を通り越して、呆れるしかない回答だった。
犯歴事務について早急な法整備を要望する。
(理由)
犯歴事務の取扱いについては,昨年12月に全国連合戸籍住民基本台帳事務協議会会長から法務大臣及び総務大臣あて法律の整備を行うよう要望書が提出されているが,いまだに法改正には至っていない。
犯歴事務における個人情報は慎重かつ厳格な取扱いを求められているにもかかわらず,確固たる法的根拠がないままに事務を執行することに対して,問題意識を持つところである。
ついては,犯歴事務を支障なく執行できるよう,当該事務を取り扱う機関も視野に含めたうえで,要望書への回答と早急な法の整備を要望する。
[法務省刑事局回答]
御要望に係る事務は,地方自治法上の自治事務であると承知しており,当局ではお答えしかねます。
[総務省自治行政局回答]
市町村においては,選挙人名簿の調整や身分証明事務に資するため,犯罪人名簿を作成しているところ。なお,犯罪人名簿については,一義的には法務省刑事局で検討されるものと認識している。
結局のところ、押し付け合いなわけね。犯罪人名簿に関しては、私個人の考えとしては『マイナンバー、その「複雑さ」の真相』第5回にも書いたとおり、独立のシステムなりネットワークなりを組んで、そこに失権者名簿とともに封じ込めて管理するしかないと思う。ただ、その独立のシステムなりネットワークなりを管理する主体としては、もはや内閣官房に乗り出してきてもらうしかないんだよなぁ。さて、どうしたものか。
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