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日本

yasuokaの日記: 封建的身分制度としての「士・農工商」 4

日記 by yasuoka

ネットサーフィンしていたところ、「士農工商が教科書から消えた! あの頃必死で覚えた日本史はナンだったの?」(grapee、2016年5月3日)という記事に行き当たった。

身分制度ではなく「人々」という意味?
しかし、教科書に載っていないとはいえ、士農工商という言葉時代が存在しなかったという意味ありません。江戸時代には武士、農民、職人、商人が多かったという意味、つまり「多くの人々」という意味合いで使われていたようです。

その認識は甘い。詳しい解説は、小林茂『「士農工商」の源流』(大阪経大論集, 第42巻, 第6号 (1992年4月), pp.294-270)に譲るが、少なくとも「士・農工商」の序列を表す意味合いでの用例が、文亀~天正年間には登場している。つまるところ、「農」と「工」と「商」の間の序列関係は必ずしも明らかではないが、「士」と「農工商」の間の身分序列を表す用例は、その後も明治時代に至るまで、多数存在していたということだ。

ただし、小林も指摘するとおり、「士農工商」の元の意味は単なる職業分類であって、それが身分序列にも使われるようになったために、両方の用例が混在している。つまり、江戸時代における「士農工商」という用語は、封建的身分制度を表している場合もあれば、そうでない場合もあったということだ。その意味で、小学校の教科書に載せるのは不適当だし、東京書籍のような判断も、私(安岡孝一)個人としては有りだと思う。

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