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日本

yasuokaの日記: Re: 新たに日本国籍を取得した際の氏名に使える漢字 2

日記 by yasuoka

私(安岡孝一)の2010年6月9日の日記の読者(らしき人物)から、金田麻有の『蓮舫「生まれたときから日本人」主張も本当は超法規的措置が働いていた?』(Asagei+、2016年9月10日)という記事を読んでほしい、との連絡をもらった。読んでみたのだが、人名用漢字の運用に関して調べておらず、記事として全く話にならない。たとえば、この部分。

最近の報道によると、蓮舫議員は18歳で日本国籍を取得したと主張している。だが中国など漢字文化圏からの帰化に際しては、日本名に使えない漢字の変更が義務付けられているのだが、彼女の場合はどうだったのだろうか。

「日本名に使えない漢字の変更が義務付けられている」って、それは端的には「正しい日本文字としての漢字」(現在では戸籍統一文字の範囲)にしなきゃいけないっていう話だ。少なくとも「蓮」も「舫」も戸籍統一文字に含まれてるのだけど、じゃあ、どの文字が問題なの?

蓮舫議員は帰化ではなく、届出による日本国籍の即時取得という制度を使ったのです。これは1984年の国籍法改正に伴い、母親が日本人である人を対象に3年間限定で実施された時限措置。この場合でも戸籍法の制限を受けることに変わりはないので、本来なら『蓮舫』という名前は使えないはずです。もし彼女の戸籍名が『蓮舫』なのであれば、なんらかの超法規的措置が働いたことになります

「戸籍法の制限」って、当時も今も戸籍法における漢字制限は、あくまで「子の名」(第50条)に関するものであって、つまりは出生届によって制限される。それ以外の場合の「名」については、戸籍法は一般には漢字制限をしていなくて、行政と本人の間でモメた場合には家庭裁判所の審判にしたがうことになる(第107~121条)し、モメなかった場合は戸籍に登載された時点で有効となる。「なんらかの超法規的措置」でも何でもなく、そもそも戸籍法がそう定めているのだ。

しかし蓮舫議員は、本来なら名前に使えないはずの漢字を堂々と名乗り、しかも大臣としてその名前を使っていたのだ。

馬鹿馬鹿しい。2014年12月16日の日記にも書いたように、「国籍取得者が国籍取得前に本国においてその氏名を漢字で表記するものであった場合において、相当の年齢に達しており、卒業証書、免許証、保険証書等により日本の社会に広く通用していることを証明することができる名を用いるときは、正しい日本文字としての漢字を用いるときに限り、制限外の文字を用いて差し支えない」(昭和59年11月1日民二第5500号通達)っていうのが、法務省の示す原則だ。この金田麻有とかいう記者が蓮舫を叩きたいのはわかるが、だったら人名用漢字の運用に関して、ちゃんと調べてウラを取ってから記事にすべきだろう。

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未知のハックに一心不乱に取り組んだ結果、私は自然の法則を変えてしまった -- あるハッカー

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