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メディア

yasuokaの日記: キーマンズネットの考えるQWERTY配列の由来 1

日記 by yasuoka

『キーボード配列 QWERTYの謎』の読者から、キーマンズネットの『「キーボードの配列はデモに都合がいい並び」って本当?』(2017年1月6日)を読んでほしい、との御連絡をいただいた。ITmediaのやってるサイトなのに、ユーザ登録が必要とかちょっとイラっと来た上に、読んでみると噴飯ものだった。

ではなぜ、QWERTY配列が生まれたのか? 実際のところそれはよく分かっていない。「英文を入力するときによく連続する文字を遠くに配置した」とか「活版印刷で使う“活字”」の伝統的な収納方法にならった」とか、いろいろな説はあるにはあるのだが……不明であるのが実情。しかし諸説ある中、もしかして……と思わせるものがある。
QWERTY配列のタイプライターを発明し、「タイプライターの父」と言われるクリストファー・レイサム・ショールズ氏がタイプライターの特許を取得しようとしたとき、既に「QWERTY配列に似ている」タイプライターは先に発明されていた。特許の関係で、ショールズ氏は自分のタイプライターにそのままの配列を使うわけには行かず、ちょっとだけ配列を変更したタイプライターとして、QWERTY配列のタイプライターを発明して特許を取得した、という説があるのだ。

その説、少なくとも私(安岡孝一)個人は初耳なんだけど、誰がそんな説となえてるの? Christopher Latham SholesがQWERTYUIOP配列を載せている特許はU.S.Patent No.207559で、Jefferson Moody CloughとWilliam McKendree JenneがQWERTUIOPY配列を載せている特許はU.S.Patent No.199263だけど、これ両方ともJames DensmoreのThe Type Writer Companyがassignorだよ。というか、DensmoreがE. Remington & Sons社に持ち込んだSholesの試作品はQWE.TYIUOP配列で、これをE. Remington & Sons社のCloughとJenneがQWERTUIOPY配列にしたものだから、SholesがそれをQWERTYUIOP配列に戻したんでしょ? そのあたり、ちゃんと調べた?

その発明の特許を出願するとき、ショールズ氏にとってはキーの配列は重要ではなく、そのあたりは自分が使っていたタイプライターのマネをしながら、タイプライターの機構を重視して特許を取得したというわけだ。つまり「QWERTY配列はたまたまマネしただけ」という説だ。

Sholesにとってキーの配列が重要でなかったら、わざわざU.S.Patent No.207559に含めるわけがないでしょ? 何をわけのわからん説、垂れ流してるの?

実際のところ、ショールズ氏自身が次世代機として携帯型のタイプライターを発明して特許を取得したとき、QWERTY配列とはまったく異なるキー配列で特許を出願しているのだ。QWERTYには思い入れも理由もなかったという証左ではないだろうか。

別に「証左」じゃないと思うよ。そのXPMCHRTNSDGK配列を含む特許U.S.Patent No.568630をSholesが出願したのは、1889年9月11日のことで15年ほど後の話なんだけど。そのあたりのイキサツをちゃんと調べた?

しかし、次に「なぜQWERTY配列が普及しているのか?」という謎が生まれてくる。それにはこんな推測がある。ショールズ氏は、発明したQWERTY配列タイプライターを生産したものの、ほとんど売れなかった。自分に商才はないと判断したのだろう、ショールズ氏はその特許の管理をその名も「タイプ・ライター社」へ任せ、他社でライセンス製造させる方針にしたのだ。

言ってる意味が全く理解できない。そもそも、QWERTUIOPY配列の特許も、QWERTYUIOP配列の特許も、どちらも出願当初からDensmoreのThe Type Writer Companyがassignorだけど? 19世紀のアメリカ特許におけるassignorの仕組みを、ちゃんと理解して書いてる?

するとレミントン社を筆頭として、多くのメーカーがショールズ氏の特許を使った製品を開発・販売する事態となった。やがてヒットしたQWERTY配列のタイプライターは、いつしかデファクトスタンダード化していくことになった、というわけだ。もちろん当時、その他の配列のタイプライターも数多く発売されていた。

「多くのメーカー」って、どこのこと? 『「ECONOトリビア」QWERTY記事顚末記』にも書いたけど、Wyckoff, Seamans & Benedict社が「M」のキーを「N」の右横に移したのは、Sholesの特許を忌避するためだよ。そもそも、SholesのQWERTY配列と、現在のQWERTY配列が違ってるってことを、ちゃんと理解して書いてる?

「噂のIT都市伝説」の記事は、インターネット上に配信されているニュース内容をもとに、キーマンズネットが編集して掲載しており、内容の正確性、真実性等を保証するものではありません。

何なのそれ。当時のタイプライターに関する史料を全く調べずに、適当にインターネット上のネタをキュレーションしただけで、「証左」だの何だのと主張してるわけね。こんなガセネタを読ませるために、読者の個人情報を集めまくってるわけだから、ITmediaの底が知れるというものだろう。このまま「噂」と称して、ガセネタを垂れ流し続けるのがITmediaの本性なら、こんなサイトさっさと潰れてしまえばいいと思う。

この議論は、yasuoka (21275)によって ログインユーザだけとして作成されたが、今となっては 新たにコメントを付けることはできません。
  • 今、見たら [keyman.or.jp]

    ●お詫びと訂正
    キーボード配列の歴史について『QWERTY配列の謎』著者でもある安岡孝一氏から多数の誤認を指摘いただいた(リンク [srad.jp])。当初原稿にあった不正確な情報については修正・削除して更新した。読者の皆さまには不正確な内容を掲載したことについて深くお詫びすると同時に、ご指摘いただいた安岡氏にもお礼を申し上げたい。(2017年1月10日修正)

    という「お詫びと訂正」が出てました。その本のタイトルは、『QWERTY配列の謎』じゃなくて『キーボード配列 QWERTYの謎』なんですけどね。

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アレゲはアレゲ以上のなにものでもなさげ -- アレゲ研究家

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