yasuokaの日記: 日本製紙連合会の考えるA判の起源 2
ネットサーフィンしていたところ、日本製紙連合会「紙のQ&A」の以下の記述が目にとまった。
紙のサイズはどのように決まっているのですか?
普段何気なく使っている「A4」、「B5」などの紙のサイズ。どのような基準で決められているのでしょうか。A判は19世紀末にオストワルドというドイツの物理学者によって提案され、もともとドイツ国内の規格でしたが、現在では国際規格サイズになっています。このドイツの規格で決まっているA判の基本A0判は、縦横の長さの比が「1:√2」で面積が1㎡となっています。このA0判の長い方の辺を半分にする度にA1、A2、A3、A4・・・となり、数字が大きくなっていくに従って面積は小さくなっていきます。
A判を考案したのは、Friedrich Wilhelm Ostwaldではない。「A判の起源」にも書いたが、Ostwaldが提案した紙のサイズは、1cm×1.41cmを基本として、1.41cm×2cm、2cm×2.83cm、2.83cm×4cm、…と倍々にしていくもので、A判とはサイズが全く異なる。実際にA3判のもととなったのは、フランスで18世紀末から使われてきた紙のサイズMoyen papier (0.2973m×0.4204m)である。ちなみに、ドイツのB3判(日本のB3判より少し小さい)のもととなったのは、フランスで18世紀末から使われてきた紙のサイズGrand papier (0.3536m×0.5000m)である。
日本製紙連合会がどのような調査をおこなったのかは不明だが、「19世紀末」と「18世紀末」では100年もの開きがあって、あまりにずさんなQ&Aだと言わざるを得ない。しかし、日本の製紙における公式サイトに載ってしまった以上、このガセネタが今後どんどん拡散されていくのだろう。私(安岡孝一)個人としては、できる限り早い訂正を日本製紙連合会に望むばかりである。
サイトの間違いを指摘するテンプレがほしい (スコア:1)
うっかりサイトの脆弱性を指摘するととんでもない目に遭うという話がありましたが、こういうそれなりに名の通った企業や団体のサイトにうかつに意見するのも多少ためらわれますね。実は、私もとあるサイトの誤った記述が、あろうことか大学のレジュメに転載されている例を見つけてしまったのですが、どうしたものかと悩んでいます。
無事に修正 (スコア:2)
日本製紙連合会に「ご意見・ご質問」 [jpa.gr.jp]を送っておいたところ、今日付けで修正されたようです。「19世紀末にオストワルドというドイツの物理学者によって提案され、」を削除したようなので、まあ、このあたりが落としどころかしら…