yasuokaの日記: 犯歴事務と要配慮個人情報
『戸籍』の最新号(No.941)を読んでいたところ、「第69回総会合同研修会協議問題審議結果及び要望事項の回答」(pp.22-88)が掲載されていた。犯歴事務についての法整備は、というと、今回も、法務省も総務省もノラリクラリと逃げ回っている。
(茨城県)
〔1〕犯歴事務について早急な法整備を要望する。
(理由)
犯罪人名簿の作成及び整備は大正6年に発出された内務省訓令により行っている。
犯歴事務は,慎重かつ厳格な取扱いを求められているにもかかわらず,確固たる法的根拠がないまま前任者からの引継文書及び市販の書籍を頼りに各市区町村の判断で事務処理を行っているのが実情であり,各市区町村によって個別の判断により事務を行うことに大変苦慮している。
犯歴事務における個人情報は慎重かつ厳格な取扱いが必要であり,法的根拠により事務を執り行うべきであるにもかかわらず,いまだ法整備に至っていないため,犯歴事務に関する全国統一的な法の整備を要望する。
〈審議結果〉要望する。
[法務省刑事局回答]
御要望に係る事務は,地方自治法上の自治事務であると承知しており,当局ではお答えしかねます。
[総務省自治行政局回答]
市区町村においては,選挙人名簿の調製や身分証明事務に資するため,犯罪人名簿を作成しているところ。
なお,犯歴事務については,一義的には法務省刑事局で検討されるものと認識している。(新潟県)
〔2〕犯歴事務に関し,根拠法令等の整備,事務処理要領の策定を要望する。
(理由)
犯歴事務の取扱いについては,平成24年12月に全国連合戸籍住民基本台帳事務協議会会長から法務大臣及び総務大臣あて法律の整備を行うよう要望書が提出されているが,いまだに法整備には至っていない。
犯歴事務における個人情報は,慎重かつ厳格な取扱いを求められているにもかかわらず,明確な法的根拠がないまま各種証明事務の対応等は市区町村の判断に委ねられている。
ついては,犯歴事務を支障なく執行できるよう早急な法整備,事務処理要領の策定を要望する。
〈審議結果〉要望する。
[法務省刑事局回答]
御要望に係る事務は,地方自治法上の自治事務であると承知しており,当局ではお答えしかねます。
[総務省自治行政局回答]
市区町村においては,選挙人名簿の調製や身分証明事務に資するため,犯罪人名簿を作成しているところ。
なお,犯歴事務については,一義的には法務省刑事局で検討されるものと認識している。(兵庫県)
〔3〕犯歴事務について早急な法整備を要望する。
(理由)
犯歴事務の取扱いについては,平成24年12月に全国連合戸籍住民基本台帳事務協議会会長から法務大臣及び総務大臣あてに法律の整備を行うよう要望書が提出されているが,いまだに法整備には至っていない。
犯歴事務における個人情報は慎重かつ厳格な取扱いを求められているにもかかわらず,確固たる法的根拠がないままに事務を執行することに対して,担当者の負担も大きく,大いに問題意識を持つところである。
また,法務省,総務省の両省に係る事務であることから,両省の合同により速やかに協議を進め,犯歴事務を支障なく執行できるよう,当該事務を取扱う機関も視野に含めた上で,要望書への回答と早急な法の整備を要望する。
〈審議結果〉要望する。
[法務省刑事局回答]
御要望に係る事務は,地方自治法上の自治事務であると承知しており,当局ではお答えしかねます。
[総務省自治行政局回答]
市区町村においては,選挙人名簿の調製や身分証明事務に資するため,犯罪人名簿を作成しているところ。
なお,犯歴事務については,一義的には法務省刑事局で検討されるものと認識している。(岩手県)
〔4〕犯歴事務について早急な法整備を要望する。
(理由)
犯歴事務の取扱いについては,平成24年12月に全国連合戸籍住民基本台帳事務協議会会長から法務大臣及び総務大臣あて法律の整備を行うよう要望書が提出されているが,いまだ法整備には至っていない。
法的根拠がないまま事務を執行することについては,問題意識を持つところである。
ついては,犯歴事務を支障なく執行できるよう,早急な法の整備を要望する。
〈審議結果〉要望する。
[法務省刑事局回答]
御要望に係る事務は,地方自治法上の自治事務であると承知しており,当局ではお答えしかねます。
[総務省自治行政局回答]
市区町村においては,選挙人名簿の調製や身分証明事務に資するため,犯罪人名簿を作成しているところ。
なお,犯歴事務については,一義的には法務省刑事局で検討されるものと認識している。
…ここまで言っても、ダメなのか。
2017年5月30日以降、「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するもの」として「要配慮個人情報」が個人情報保護法に定められている。行政機関や独立行政法人等においても「犯罪の経歴」は「要配慮個人情報」として扱わなければならない。なのに、市区町村だけが、なぜこんな状態なのか。個人情報保護委員会は、この状態をこのまま見過ごすつもりなのか。正直、私(安岡孝一)個人としては、かなり歯がゆい。さて、どうしたものか。
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