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政府

yasuokaの日記: Re: 『番号法第19条第7号の規定により地方税関係情報を照会する場合に本人の同意が必要となる事務を定める告示』に対する質問状

日記 by yasuoka

先日、『行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第十九条第七号の規定により地方税関係情報を照会する場合に本人の同意が必要となる事務を定める告示』(平成29年5月29日内閣府・総務省告示第1号)に対して、内閣官房番号制度推進室に再度の質問状を送るとともに、私(安岡孝一)の日記でも公開した。

正直なところ、この回答では「矛盾」が説明できておりません。
(中略)
後期の講義は10月に始まりますので、もう少しだけ、時間があります。よろしく細部まで御検討の上、矛盾なく回答いただくよう、お願い申し上げます。

しかし、残念ながら、本日の時点で「矛盾なく回答」が返ってきていない。後期の講義日程を勝手に延ばすわけにもいかないので、どうすれば矛盾が無くなるのか、私なりに案を示してみようと思う。

端的に言えば『行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第十九条第七号の規定により地方税関係情報を照会する場合に本人の同意が必要となる事務を定める告示』は、「本人の同意が必要」となる法的根拠を示せていない。総務省自治税務局は『地方税法総則逐条解説』を根拠にしたいようだが、それが根拠に成り得ないことについては、私自身が2015年4月13日の日記にも書いたとおりだ。また、昭和38年3月15日内閣法制局一発第6号回答も検討してみたが、やはり「本人の同意が必要」な根拠とは成り得ない。

そうなると、この告示の「本人の同意が必要」には、そもそも法的根拠が無い。番号法第19条の「一般的な考え方」とも矛盾しているのだから、普通に考えれば、この告示を廃止するしかない。でも、廃止となれば、総務省自治税務局のメンツは丸ツブレだろう。さて、どうするか。総務省自治税務局としては、どうやら、地方税法第22条における「秘密」の解除を明確化することで、違法性に問われないようにしたいらしい。一方、情報提供ネットワークにおいては、2017年9月13日の日記にも書いた通り、情報提供をおこなったら「必ず本人が知ることができる」のだから、それにより「秘密」が解除されるよう制度設計すべきだろう。

告示を廃止しないで何とかするとすれば、一案としては↑の内容を明確化すべく、告示のタイトル(件名)そのものを変えてしまう、というあたりが落としどころだと思う。すなわち『行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第十九条第七号の規定により地方税関係情報を照会する場合に情報提供等記録開示により地方税法第二十二条の秘密を解除する事務を定める告示』にタイトルを改正し、最初の条文は、ざっくり以下のように改正する。

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下「法」という。)第十九条第七号の規定に基づき、次の各号に掲げる事務の区分に応じ、当該各号に定める情報を提供するときは、地方税法第二十二条にいう秘密は、本人(法第二条第六項に規定するものをいう。)への情報提供等記録開示(法附則第六条第三項にいう情報提供等記録開示システムによりおこなわれる開示をいう。)により解除されるものとみなす。

告示の各号は、告示の目的が変わっているわけではないので、現状のままで大丈夫のはずだ。告示のタイトルを改正できるのか、という疑問は湧くが、そもそもこの告示はパブリックコメント時点では別のタイトルだったので、手続をちゃんと踏めば改正できる。内容が変わってしまうのは問題ないのか、と言えば、告示本来の目的に沿って番号法との矛盾を解消するため、なのだから問題ないだろう。個人番号カードを取得していない「本人」はどうするのか、という問題については、情報提供ネットワーク側としては常に記録開示は可能となっており、それを「本人」が将来にわたって見るかどうかなので、情報提供時点での個人番号カード取得の有無は無視すべきだろう。

この告示を、廃止するのか改正するのか。あとは、内閣官房番号制度推進室が、どうやって腹をくくるか、なのだろうと思う。

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