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政府

yasuokaの日記: マイナンバーの情報提供ネットワークで地方税関係の情報を照会する場合、署名押印のある住民の同意書を事前に提出する必要があるのか 2

日記 by yasuoka

私(安岡孝一)の9月12日の日記の読者から、大豆生田崇志の記事『機能不全のマイナンバー情報連携、DV被害者に影響も』(日経ITpro、2017年12月18日)が無事に公開された、との御連絡をいただいた。日経コンピュータNo.954 (2017年12月21日号)の先出し記事らしい。

マイナンバー法は情報連携で個人データをやりとりするのに住民から事前に同意を得る必要はないと定めている。住民がマイナポータルなどを使えば行政機関のやりとりの記録を事後に確認できるからだ。ところが総務省と内閣府は2017年5月に、地方税関係の情報を自治体などが情報連携で照会する場合は署名押印のある住民の同意書を事前に提出する必要があるという告示を出した。マイナンバー制度に詳しい安岡孝一・京都大学人文科学研究所教授は「住民の事前同意を求める法的根拠はなく、自治体事務が滞る」と批判する。

うーん、単純に「批判」してるわけじゃなくて、矛盾してるので何とかしてほしい、というのが正直なところなんだけど。法律と告示の間で矛盾が起こると、各自治体としては、どっちに従っていいのかワケがわからなくなる。私も、自分の講義で、学生にどう説明していいのか正直わからない。

何度でも書くが、地方税法第22条の「守秘義務」を「解除」するのに「照会対象者の同意取得が必要となる」なんてことは、地方税法にも地方税法施行規則にも書いていない。その点については、私の日記でも、さんざん(これとかこれとかこれとかこれとかこれとかこれとかこれ)指摘してきたはずだ。なぜ、こんなヨタ話に、いまだに総務省自治事務局は拘泥するのか。それが今回の矛盾の元凶なのだ。

というか、今回の記事に際しても、総務省自治事務局は何のコメントもくれなかったらしい。もう、今年の講義も終盤に差し掛かっているのだが、個人情報保護委員会と内閣府大臣官房番号制度担当室と総務省自治税務局は、いつになったら「矛盾なく回答」を返してくれるのだろう。

この議論は、yasuoka (21275)によって ログインユーザだけとして作成されたが、今となっては 新たにコメントを付けることはできません。
  • by ku6223 (48284) on 2017年12月20日 20時34分 (#3333014)
    とあるところでは、次のような回答がされています。 「地方税関係情報を情報連携により照会する場合、情報照会を行う事務手続の根拠法令に、照会対象者本人に対する質問検査権及びそれに応じない場合の担保措置(罰則等)があるものについては、照会対象者本人の同意は不要となります。」
    • たしか、昨年度の「地方分権改革に関する提案募集」において、厚生労働省の重要事項通番22 [cao.go.jp]に対し、総務省自治事務局から

      社会保障分野の事務において地方税関係情報について情報連携するには、本人にとってその行政機関に情報が伝わることが秘密として保護される位置づけにないと解されるものである必要があり、具体的には下記のいずれかに該当する必要があるとされているところ。
      ・本人の申請に基づく事務であること
      ・利用事務の根拠法律において、本人が行政機関に対して報告を行う義務(本人への質問検査権とそれに応 じない場合の担保措置)が規定されていること

      とかいう回答が返ってきたので、共同提案団体の一つを経由して徹底抗戦したはずなのです。で、提案募集検討専門部会から

      第1次ヒアリングに置いて、関係府省から、地方税関係情報について情報連携を利用するためには、本人の申請に基づく事務であること、または、利用事務の根拠法律において、本人が行政機関に対して報告を行う義務(本人への質問検査権とそれに応じない場合の担保措置)が規定されていることのいずれかが必要との 趣旨の発言があったところであるが、そもそもこの条件は本当に必要なのか、当該事務の特殊性も踏まえ改めて検討する必要があるのではないか。

      と返してもらったはずなのですが、いまだに総務省自治事務局は、そんなヨタ話にしがみついてるんでしょうか?

      親コメント
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UNIXはただ死んだだけでなく、本当にひどい臭いを放ち始めている -- あるソフトウェアエンジニア

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