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教育

yasuokaの日記: 早稲田大学法学部の考えるQWERTY配列の歴史

日記 by yasuoka

早稲田大学法学部の入試問題(2018年2月15日実施)国語(三)で、QWERTY配列に関するガセネタがバラ撒かれた、との御連絡をいただいた。見てみたところ、直江清隆『技術観のゆらぎと技術をめぐる倫理』(ポスト冷戦時代の科学/技術 (2017年2月), pp.39-66)を、改変して出題したようだ。

[ a ]、アメリカ式のキーボードの配列は左上からQWERTYと並んでいるが、よく知られているように、この配列は人の指の形状や動作などを考慮してより敏速にタイピングできるように工夫された結果なのではない。[ b ]その理由は歴史的にみられた機械的制約によるものである。一五〇年ほど前にレミントン社がタイプライターにこの配列を採用した際には、iやeのような使用頻度の高いバーが互いに絡み合わないようにするという仕様上の理由があった。

『キーボード配列 QWERTYの謎』(NTT出版, 2008年3月)でも明らかにしたが、現在のQWERTY配列を最初に採用したのは、1882年発売の「Remington Starndard Type-Writer No.2」である。136年ほど前の話なので、「一五〇年ほど前」は言い過ぎだ。というか1868年の時点だと、私(安岡孝一)の知る限り、QWERTY配列は影も形もない。それに加え、「Remington Standard Type-Writer No.2」のキー配列は、Wyckoff, Seamans & Benedict社が採用したものなので、ここで「レミントン社」はマズイと思う。また、『英語における文字頻度とタイプライターのキー配列』(英語教育, Vol.58, No.9 (2009年9月), pp.74-75)でも述べたが、英語においては「ie」や「ei」より、「th」や「er」の方が頻度が高い。「使用頻度の高いバーが互いに絡み合わないようにするという仕様上の理由」などというのは、全くのガセネタだ。

ただ、私が個人的に腹立たしいのは、このガセネタが、今後、早稲田大学法学部の入試問題集に収録されて、ずっとバラ撒かれ続けることだ。どうしてそこまでして、QWERTY配列に関するガセネタを、バラ撒き続けたいんだろう。

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