yasuokaの日記: 変体漢文に形容詞は存在するのか
日記 by
yasuoka
私(安岡孝一)の2月14日の日記の読者から、変体漢文に形容詞が存在したとして他の品詞とどうやって区別するのか、という趣旨の御質問をいただいた。簡単には答が出ないのだが、とりあえず宣命文については、形容詞を形態上「区別」できる場合が存在する気がする。たとえば、孝謙天皇の即位宣命に出てくる小書きの「久」のうち
天下者平久安久治賜比
の「平」と「安」は、たぶん形容詞なのだろうと推測される。もう少し突っ込んで考えるなら、天平勝宝元年頃の変体漢文における「平」や「安」には複数の用法があって、それらのうち形容詞的用法を明示するために、ここでは小書きの「久」を使うことになったのだろう、という「仮説」を提示できる気がする。
ただし、この「仮説」にはイキナリ弱点があって、同じ即位宣命にある
朕者拙劣雖在
の「拙」や「劣」は、形容詞なのかそうでないのか、という疑問に答えることができない。小書きの「久」が付いている場合は、ある程度の推測が可能だが、付いてない場合には、もっともっと用例を集めてきて考えるしかない気がする。変体漢文に形容詞が存在するのは、たぶん間違いないと思うのだが、さて、どれが形容詞でどれが形容詞でないかについては、結局、コーパスを作るしか無いのかなぁ。
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