yasuokaの日記: 働き方改革の壁におけるQWERTY配列の歴史 1
私(安岡孝一)の『パソコンのキーボードは,なぜABC順・五十音順ではないのですか』の読者から、安田洋祐の『経済学で読み解く「働き方」と「イノベーション」』を読んでほしい、との御連絡をいただいた。読んでみたのだが、またもやQWERTY配列に対するガセネタがバラ撒かれていて、かなり閉口した。
皆さんが普段使うキーボードはQWERTY型のキー配列です。しかし、この配列は実はタイピングに向いていません。タイプライター時代に文字のハンマーの絡みを起こさないよう、よく使うアルファベットキーを離したため、このような配置になったと言われています。では、なぜ改善されなかったのか。ユーザーもメーカーも、その状態から抜けるインセンティブがなかったからです。
『「ECONOトリビア」QWERTY記事顚末記』でも明らかにしたが、よく使う「E」と「R」のキーは、QWERTY配列において隣り合っている。離れてなどいない。「E」と「R」のハンマーも、離れてなどいない。Sholes & Glidden Type-Writerを一度でも見たことがあれば、すぐにわかる話だ。QWERTY配列が「よく使うアルファベットキーを離した」と主張する安田洋祐は、いったい何を根拠にそんなガセネタをバラ撒いているのか。
そう思って、ネットサーフィンしてみたところ、どうやら安田洋祐は、過去にもこのガセネタを、あちこちでバラ撒いているらしい。SlideShareに置かれているものだけでも、2018年5月24日・2017年12月14日・2017年9月29日・2017年6月3日と遡っていって、2013年頃のこのスライドに行きつく。どうやら、Paul Allan Davidに騙されたらしい。ただ、2013年当時だと、このあたりの話は『Research Policy』のQWERTY特集(2013年7・8月号)などで、かなり議論されていたはずだ。そのあたりの議論を踏まえずに、いまだに「よく使うアルファベットキーを離した」などと主張する安田洋祐は、経済学者としてもあまりに勉強不足だと思う。
効率だけ考えたら、 (スコア:1)
ローマ字入力でさえ、遅いと思う。
QWERTY配列だけ責めたところで、何にもならないと思う。