yasuokaの日記: 島津製作所の「dzu」と標準式ローマ字 3
私(安岡孝一)の9月20日の日記「島津製作所の考えるQWERTY配列の歴史」の読者から、Shimadzuの「dzu」に関するコメントをいただいた。とりあえず、島津製作所の沿革のページを見てみよう。
ローマ字の綴り方には、ヘボン式、訓令式、日本式、標準式(別名:修正ヘボン式)の4つがあります。現在国によって公式に認められているのは、このうちの、訓令式、日本式、標準式の3つです。 島津の「づ」は、ヘボン式、訓令式、日本式ではzuとなりますが、標準式ではdzuとなります。3種類の公式表記法のうち標準式が最も欧米語になじみやすいところから、英字新聞などでは古くから標準式が使われており、当社の社名にも当初からdzuが採用されて今日に至っています。
ここでいう「標準式」が何を意味しているのかハッキリしないのだが、臨時ローマ字調査會(1930年~1936年)で議論された「標準式」ならば、「ズ」も「ヅ」も「zu」で書く。「dzu」で書いたりはしない。あるいは、国立公文書館所蔵の「聯合國最高司令部指令第二號(抄)」では、修正「ヘボン」式を「標準式」と呼んでいるフシがある(手書きで「標準式」と書き加えられている)が、SCAPIN-2のModified Hepburn (Romaji) Systemでは、「ズ」も「ヅ」も「zu」で書く。「dzu」で書いたりはしない。
以前『NかMか』にも書いたが、「dzu」はJames Curtis Hepburnが、『和英語林集成』第2版(上海美華書院、1872年)で採用した綴字法だったりする。その意味では「第2版のヘボン式」が「dzu」を採用していると言えるのだが、さて、島津製作所のいう「標準式」ローマ字って、どれのことを指しているんだろう?
ヅのローマ字表記 (スコア:2)
頂門の一針3189号 [melma.com]の真ん中辺り
明治12年まで?「ヅ」はdzu
明治18年以降はzu
のようですね。dzuの方が古いとは知らなかった。
ちなみにパスポートではzu
ローマ字表記はずっとムズいです。
自分でやる時は好きにさせてもらってますが、どうしても準拠を、と言われたらパスポート式にします。
マクロンは個人的には使いたくないが、日本語を知っている欧米人は使いたがる気もする。
『和英語林集成』第3版と『日本大文典』 (スコア:2)
『和英語林集成』第3版(1886年)が「zu」を採用した [meijigakuin.ac.jp]ので、まあ、その影響が大きいんだろうと思うのです。一方「dzu」という表記自体は、João Rodriguesの『日本大文典』(1604年~1608年)にも出てくるのですが、この頃は「zzu」という表記も見られるので、なかなかにヤヤコシかったりします。
DZU (スコア:1)