yasuokaの日記: 「望遠鏡で泳いでいる彼女を見た」の係り受け関係 4
日記 by
yasuoka
私(安岡孝一)の2月12日の日記の読者から、StanfordNLPが出力する「望遠鏡で泳いでいる彼女を見た」の係り受け関係がおかしいのではないか、との御質問をいただいた。私の手元で試した結果でも「望遠鏡←obl─泳い」となっていて、確かに変だ。ここは「望遠鏡←obl─見」となるべきで、Universal Dependenciesだと以下のようになるべきだ。
1 望遠鏡 望遠鏡 NOUN _ _ 8 obl _ SpaceAfter=No
2 で で ADP _ _ 1 case _ SpaceAfter=No
3 泳い 泳ぐ VERB _ _ 6 acl _ SpaceAfter=No
4 で て SCONJ _ _ 3 mark _ SpaceAfter=No
5 いる いる AUX _ _ 3 aux _ SpaceAfter=No
6 彼女 彼女 PRON _ _ 8 obj _ SpaceAfter=No
7 を を ADP _ _ 6 case _ SpaceAfter=No
8 見 見る VERB _ _ 0 root _ SpaceAfter=No
9 た た AUX _ _ 8 aux _ _
SVGで可視化するとこんな感じになるのが(たぶん)正しい。要は「望遠鏡で」という句が、どの動詞に係っているかStanfordNLPは判定できてないのだが、こういうの難しいのかなあ。
水着で泳いでいる彼女を見た (スコア:1)
以前読んだ別システムの記事では、名詞に係る動詞の対応表を用意していたような。
そのあたりどうなっているんでしょうね。
クロールで泳いでいる彼女を見た (スコア:2)
語彙的選好知識とか格フレームとかに落とし込むんですけど、StanfordNLPは、まだそのあたりには手を付けてないのかしらん。
「AIは意味が理解できない」? (スコア:1)
こういうのが、新井紀子先生がよくおっしゃっている、
計算機は数学で動いているから、「意味」は理解できない、
という、例でしょうか? 意味がわからなくても、単語の頻度や相互の関連などから、高度な統計解析すれば、ある程度は正しくできるような気もします。
最近の新聞記事だと、
正論】AIは先生に取って代われるか 数学者、国立情報学研究所教授・新井紀子 - 産経ニュース
https://special.sankei.com/f/seiron/article/20190213/0001.html [sankei.com]
Re:「AIは意味が理解できない」? (スコア:2)
ちょっと話が違うんじゃないかと思ってます。ただし、東ロボの「国語」に対する私(安岡孝一)個人の立場は、昨年12月5日の日記 [srad.jp]にも書いたとおりなので、まあ、私の方も偏ってるのは否めないんですけど。