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日記

yasuokaの日記: 「襄」は子の名づけに使えるか

日記 by yasuoka

『判例時報』の最新号(No.2393・2394合併号)を読んでいたところ、pp.21-22に最高裁平29(許)11号(2017年9月21日棄却)が紹介されていた(執筆は小林宏司・浅野良児)。「襄」を子の名づけに使いたい母親が、名古屋市緑区長を相手どって闘った例で、名古屋家庭裁判所では「勝訴」したものの、名古屋高等裁判所では「逆転敗訴」となり、最高裁判所でも「敗訴」した事例である。

二九(許)一一([判決集未登載]一小、29・9・21、棄却。原審名古屋高決平29・3・31、原々審名古屋家審平29・1・17)
(1) 戸籍法施行規則六〇条に定める文字以外の文字を用いて子の名を記載したことを理由としてされた出生届の追完届の不受理処分に対する不服申立事件において、当該文字が社会通念上明らかに常用平易な文字と認められるか否かが問題となった事案である。
(2) X(母)は、子の名を未定とする出生届の提出後、子の名を「襄」とする出生届の追完届(本件追完届)を名古屋市緑区長に提出した。同区長は、「襄」の文字が戸籍法施行規則六〇条に定める文字でないことを理由に本件追完届を受理しなかった。そこで、Xは、戸籍法一二一条に基づく不服申立てをした。
原々審が本件追完届を受理するよう命じたのに対し、原審は、Xの申立てを却下すべきものと判断した。その理由の概要は次のとおりである。
戸籍法五〇条一項及び同法施行規則六〇条各号に該当しない文字であっても、家庭裁判所は、当該文字が社会通念上、明らかに常用平易な文字と認められるときは、当該市町村長に対し、当該文字を子の名に使用した出生届の受理を命ずることができる(最三小決平15・12・25民集五七巻一一号二五六二頁)が、「襄」の文字は、明らかに常用平易な文字であると認めることはできない。
(3) Xが、原決定には、戸籍法五〇条一項の解釈適用の誤りがあるなどと主張して、抗告の許可を申し立てた。
(4) 本決定は、「「襄」の字が、社会通念上明らかに常用平易な文字であるとはいえないとした原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は採用することができない。」と判示して、抗告を棄却した。前記最三小決後に下級審裁判例が相当数出ており、本件は個別事案における認定又は評価の問題と思われ、抗告の許可には検討の余地がある。

「下級審裁判例が相当数出ており」とは言っても、『家庭裁判月報』なき今、それを国民が知るすべが無い。各裁判所にしても、他の裁判所の裁判例を知るのが難しい。最高裁判所の裁判例情報を検索しても、広島高裁平16(ラ)81号も、大阪高裁平19(ラ)252号も、大阪高裁平19(ラ)486号も、名古屋高裁平21(ラ)86号も、東京高裁平23(ラ)1012号も、大阪高裁平27(ラ)928号も、東京高裁平29(ラ)312号も見つからない。というか、この最高裁平29(許)11号すら、裁判例情報に掲載されていないのだ。「抗告の許可には検討の余地がある」と言うなら、本来的に検討の余地があるのは、そのような裁判例をどう国民に知らせていくか、の方だろう。

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未知のハックに一心不乱に取り組んだ結果、私は自然の法則を変えてしまった -- あるハッカー

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