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政府

yasuokaの日記: 「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案」と「戸籍法の一部を改正する法律案」による戸籍へのマイナンバー付与 1

日記 by yasuoka

3月15日に「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案」と「戸籍法の一部を改正する法律案」が、無事に衆議院に提出された。現時点では、衆議院の議案情報サイトに、まだ法律案の本文が載せられていないのだが、私(安岡孝一)個人にとっては、戸籍へのマイナンバー付与という重要な課題が含まれている法律案なので、そのあたりをかいつまんで見ていこうと思う。

まずは、戸籍法第百十八条が、以下のように改正される(予定である)。

第百十八条 法務大臣の指定する市町村長は、法務省令で定めるところにより戸籍事務を電子情報処理組織(法務大臣の使用に係る電子計算機(磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。以下同じ。)及び入出力装置を含む。以下同じ。)と市町村長の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。以下同じ。)によつて取り扱うものとする。ただし、電子情報処理組織によつて取り扱うことが相当でない戸籍又は除かれた戸籍として法務省令で定めるものに係る戸籍事務については、この限りでない。
 前項の規定による指定は、市町村長の申出に基づき、告示してしなければならない。

「取り扱うことができる」が「取り扱うものとする」に変わっただけだが、これと附則第三条の経過措置

第三条 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の戸籍法(以下「旧法」という。)第百十八条第一項(旧法第四条において準用する場合を含む。)の規定による指定を受けている市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区長又は総合区長とする。)は、施行日に新法第百十八条第一項(新法第四条において準用する場合を含む。)の規定による指定を受けたものとみなす。

によって、もう、紙の戸籍には戻れなくなる。ただ、改製不適合戸籍の問題と、夕張市と加茂市と御蔵島村の問題は、まだ微妙な陰を残している。

上の改正と同時に、戸籍法第百十九条の二が新設される。

第百十九条の二 前条の規定により磁気ディスクをもつて調製された戸籍又は除かれた戸籍の副本は、第八条第二項の規定にかかわらず、法務大臣が保存する。

戸籍の副本は、これまでは「管轄法務局若しくは地方法務局又はその支局がこれを保存」していたが、デジタル戸籍の副本は法務大臣が一括保存する。まあ、一括保存するとは言っても、一ヶ所で保存してるわけではないのだが、法務大臣の手元にデジタル戸籍の副本は全て存在する、という形になる。

合わせて、住民基本台帳法第十七条が、以下のように改正される。

第十七条 戸籍の附票には、次に掲げる事項について記載(前条第二項の規定により磁気ディスクをもつて調製する戸籍の附票にあつては、記録。以下同じ。)をする。
 戸籍の表示
 氏名
 住所(国外に転出をする旨の第二十四条の規定による届出(次号及び第七号において「国外転出届」という。)をしたことによりいずれの市町村においても住民基本台帳に記録されていない者(以下「国外転出者」という。)にあつては、国外転出者である旨)
 住所を定めた年月日(国外転出者にあつては、その国外転出届に記載された転出の予定年月日)
 出生の年月日
 男女の別
 住民票に記載された住民票コード(国外転出者にあつては、その国外転出届をしたことにより消除された住民票に記載されていた住民票コード。第三十条の三十七及び第三十条の三十八において同じ。)

戸籍の附票は、そもそも住民票と戸籍をつなぐものなので、ここに個人番号(マイナンバー)も載せてしまえたらうれしかったのだが、そうすると戸籍の附票それ自体が特定個人情報になってしまって、法律的にかなりエグイことになりそうなので、住民票コードを送りつけている。また、国外転出者の情報も、今後は戸籍の附票を使って本籍地の市町村長に送りつける。これで、在外選挙権がない未成年者でも、本籍地で突合可能になるはずだ。

同時に、住民基本台帳法第二十一条が新設される。

第二十一条 市町村長は、戸籍の附票の全部を消除したとき、又は戸籍の附票を改製したときは、その消除した戸籍の附票又は改製前の戸籍の附票(以下「戸籍の附票の除票」と総称する。)をつづり、戸籍の附票の除票簿として保存しなければならない。
 第十六条第二項の規定により磁気ディスクをもつて戸籍の附票を調製している市町村にあつては、磁気ディスクをもつて調製した戸籍の附票の除票を蓄積して戸籍の附票の除票簿とすることができる。

この戸籍の附票の除票を、何年保存すべきか、というのは議論があるところだが、まあ、除籍簿の保存期間(150年)と同じ、というのが落とし所だろうとは思う。

これらに加えて、番号利用法には、とりあえず第二十一条の二が新設される。

第二十一条の二 情報照会者又は情報提供者(以下この条において「情報照会者等」という。)は、情報提供用個人識別符号(第十九条第七号又は第八号の規定による特定個人情報の提供を管理し、及び当該特定個人情報を検索するために必要な限度で第二条第五項に規定する個人番号に代わって用いられる特定の個人を識別する符号であって、同条第八項に規定する個人番号であるものをいう。以下この条及び第四十五条の二第一項において同じ。)を総務大臣から取得することができる。
 前項の規定による情報提供用個人識別符号の取得は、政令で定めるところにより、情報照会者等が取得番号(当該取得に関し割り当てられた番号であって、当該情報提供用個人識別符号により識別しようとする特定の個人ごとに異なるものとなるように割り当てられることにより、当該特定の個人を識別できるもののうち、個人番号又は住民票コードでないものとして総務省令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)を、機構を通じて総務大臣に対して通知し、及び総務大臣が当該取得番号と共に当該情報提供用個人識別符号を、当該情報照会者等に対して通知する方法により行うものとする。
[以下略]

情報提供用個人識別符号それ自体は、現在は番号利用法施行令第二十条にあって、すでに情報提供ネットワークで使われているものだが、それを個人番号(マイナンバー)ではなく「取得番号」で取ってこようとする点が、現状と乖離していたりする。その上、対象が「情報照会者又は情報提供者」となっていて、条例事務関係情報照会者と条例事務関係情報提供者が抜けている。どう考えてもマズイ。

また、第四十五条の二も新設される。

第四十五条の二 法務大臣は、戸籍関係情報(戸籍又は除かれた戸籍(戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第百十九条の規定により磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。)をもって調製されたものに限る。以下この項において同じ。)の副本に記録されている情報の電子計算機処理等を行うことにより作成することができる戸籍又は除かれた戸籍の副本に記録されている者(以下この項において「戸籍等記録者」という。)についての他の戸籍等記録者との間の親子関係の存否その他の身分関係の存否に関する情報、婚姻その他の身分関係の形成に関する情報その他の情報のうち、第十九条第七号又は第八号の規定により提供するものとして法務省令で定めるものであって、情報提供用個人識別符号をその内容に含むものをいう。以下この項において同じ。)を作成するために戸籍又は除かれた戸籍の副本に記録されている情報の電子計算機処理等を行うことにより作成される情報(戸籍関係情報を除く。第三項において「戸籍関係情報作成用情報」という。)の作成に関する事務に関する秘密について、その漏えいの防止その他の適切な管理のために、当該事務に使用する電子計算機の安全性及び信頼性を確保することその他の必要な措置を講じなければならない。
[以下略]

ただし、これらの条文(の一部)は、さらに2回ほど改正を受けて、結局、番号利用法の第九条第三項に押し込まれる。

 法務大臣は、第十九条第七号又は第八号の規定による戸籍関係情報(戸籍又は除かれた戸籍(戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第百十九条の規定により磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。)をもって調製されたものに限る。以下この項及び第四十五条の二第一項において同じ。)の副本に記録されている情報の電子計算機処理等(電子計算機処理(電子計算機を使用して行われる情報の入力、蓄積、編集、加工、修正、更新、検索、消去、出力又はこれらに類する処理をいう。)その他これに伴う政令で定める措置をいう。以下同じ。)を行うことにより作成することができる戸籍又は除かれた戸籍の副本に記録されている者(以下この項において「戸籍等記録者」という。)についての他の戸籍等記録者との間の親子関係の存否その他の身分関係の存否に関する情報、婚姻その他の身分関係の形成に関する情報その他の情報のうち、第十九条第七号又は第八号の規定により提供するものとして法務省令で定めるものであって、情報提供用個人識別符号(同条第七号又は第八号の規定による特定個人情報の提供を管理し、及び当該特定個人情報を検索するために必要な限度で第二条第五項に規定する個人番号に代わって用いられる特定の個人を識別する符号であって、同条第八項に規定する個人番号であるものをいう。以下同じ。)をその内容に含むものをいう。以下同じ。)の提供に関する事務の処理に関して保有する特定個人情報ファイルにおいて個人情報を効率的に検索し、及び管理するために必要な限度で情報提供用個人識別符号を利用することができる。当該事務の全部又は一部の委託を受けた者も、同様とする。

この結果、第十三条と第十四条は、以下のように改正される。

第十三条 個人番号利用事務実施者(第九条第三項の規定により情報提供用個人識別符号を利用する者を除く。次条第二項及び第十九条第一号において同じ。)は、本人又はその代理人及び個人番号関係事務実施者の負担の軽減並びに行政運営の効率化を図るため、同一の内容の情報が記載された書面の提出を複数の個人番号関係事務において重ねて求めることのないよう、相互に連携して情報の共有及びその適切な活用を図るように努めなければならない。
第十四条 個人番号利用事務等実施者(第九条第三項の規定により情報提供用個人識別符号を利用する者を除く。以下この項及び第十六条において同じ。)は、個人番号利用事務等を処理するために必要があるときは、本人又は他の個人番号利用事務等実施者に対し個人番号の提供を求めることができる。
 個人番号利用事務実施者(政令で定めるものに限る。第十九条第四号において同じ。)は、個人番号利用事務を処理するために必要があるときは、住民基本台帳法第三十条の九から第三十条の十二までの規定により、機構に対し機構保存本人確認情報(同法第三十条の九に規定する機構保存本人確認情報をいう。第十九条第四号及び第四十八条において同じ。)の提供を求めることができる。

カッコ書きが眩しい。これらに呼応して、住民基本台帳法第十九条の三も新設される。

第十九条の三 本籍地の市町村長は、番号利用法第二十一条の二第二項(番号利用法第二十六条において準用する場合を含む。)の規定による通知(番号利用法第十九条第七号又は第八号に規定する情報提供者又は条例事務関係情報提供者が番号利用法第九条第三項の法務大臣である場合におけるものに限る。)を受けたときは、政令で定めるところにより、当該通知に係る者の戸籍の附票に記載をされている第十七条第二号、第三号、第五号及び第六号に掲げる事項を地方公共団体情報システム機構(以下「機構」という。)に提供するものとする。

このあたりが、戸籍における婚姻関係や親子関係を、情報提供ネットワーク経由で情報照会するための法律群ということになる。やはり、情報提供用個人識別符号を、マイナンバーでも住民票コードでもなく「取得番号」で取ってこようとする点が、どう考えても間違っている。マイナポータルでの「あなたの情報」とかの実装と矛盾してしまうし、運用中の番号利用法施行令とも矛盾してるし、戸籍の附票に住民票コードをわざわざ追加した点とも矛盾してる。こんなヤヤコシイ改正、どう考えても「デジタルワンストップ」から遠ざかってるんだけど、本当に国会を通るのかしら?

法制審議会としては、何としても戸籍にマイナンバーを近づけたくなかった(2月14日会議配布資料3)らしく、こういう無理難題とも言える法律案になったわけだ。情報提供側の法務大臣が情報提供用個人識別符号だけを使うのは、それはそれでかまわないと思うけど、どうして情報照会側がマイナンバーから(別の)個人識別符号を取得しちゃダメなんだろ? その要請は、法制審議会としては、どういう法論理で構成されたものなんだろ?

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にわかな奴ほど語りたがる -- あるハッカー

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