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政府

yasuokaの日記: Re:「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案」と「戸籍法の一部を改正する法律案」による戸籍へのマイナンバー付与 2

日記 by yasuoka

法制審議会が2月14日に答申した「戸籍法の改正に関する要綱」のうち、注1の

(注1)法務大臣は,戸籍関係情報の作成及び提供に当たり,情報提供用個人識別符号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行令第20条第1項。いわゆる機関別符号。)を利用し,番号利用法第2条第5項に規定する個人番号(12桁のマイナンバー)は利用しないこととし,そのために必要な法制上の措置(法務大臣が情報提供用個人識別符号を取得する手続等)については,番号利用法等の関係法令において所要の整備を行う。

の意味するところを、もう一度、考え直してみることにした。というのも、この文面は、法務省が3月15日に公開した「戸籍法の一部を改正する法律案要綱」には含まれていないからだ。何だか、おかしなことになっている気がする。とりあえず、現時点での番号利用法施行令の第二十条第一項を見てみよう。

第二十条 情報照会者若しくは情報提供者又は条例事務関係情報照会者若しくは条例事務関係情報提供者(以下この条において「情報照会者等」という。)は、法第十九条第七号又は第八号の規定による特定個人情報の提供を管理するために個人番号に代わって用いられる特定の個人を識別する符号(以下「情報提供用個人識別符号」という。)を、総務大臣から取得することができる。

これに対し、「戸籍法の一部を改正する法律案」で新設される番号利用法第二十一条の二第一項を見比べてみよう。

第二十一条の二 情報照会者又は情報提供者(以下この条において「情報照会者等」という。)は、情報提供用個人識別符号(第十九条第七号又は第八号の規定による特定個人情報の提供を管理し、及び当該特定個人情報を検索するために必要な限度で第二条第五項に規定する個人番号に代わって用いられる特定の個人を識別する符号であって、同条第八項に規定する個人番号であるものをいう。以下この条及び第四十五条の二第一項において同じ。)を総務大臣から取得することができる。

やはり、条例事務関係情報照会者と条例事務関係情報提供者を、あえて外す方向で法改正しようとしているように見える。ただし、第十九条第八号の方には改正の手は伸びていない。どういう意図なのか、私(安岡孝一)には判然としない。

続いて、第二項も見比べてみよう。現行の施行令は、以下の通り。

 情報照会者等は、情報提供用個人識別符号を取得しようとするときは、機構に対し、当該情報提供用個人識別符号により識別しようとする特定の個人の個人番号その他総務省令で定める事項(次項において「通知事項」という。)を通知するものとする。

これに対する改正案は、以下のようになっている。

 前項の規定による情報提供用個人識別符号の取得は、政令で定めるところにより、情報照会者等が取得番号(当該取得に関し割り当てられた番号であって、当該情報提供用個人識別符号により識別しようとする特定の個人ごとに異なるものとなるように割り当てられることにより、当該特定の個人を識別できるもののうち、個人番号又は住民票コードでないものとして総務省令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)を、機構を通じて総務大臣に対して通知し、及び総務大臣が当該取得番号と共に当該情報提供用個人識別符号を、当該情報照会者等に対して通知する方法により行うものとする。

現時点での「情報提供用個人識別符号」が個人番号から得られるのに対し、改正案では「取得番号」とかいうアヤシゲなものになっている。何だろう、これ。こんな「取得番号」なんて、法制審議会でも戸籍法部会でも議論された覚えがないのだが、どうして「戸籍法の一部を改正する法律案」に紛れ込んでるんだろう。しかも、通知する相手が、機構(J-LIS)から総務大臣(コアシステム)に変わってるし。

第三項も見比べてみよう。現行の施行令は、以下の通り。

 前項の規定による通知は、次のいずれかの方法により行うものとする。
 総務省令で定めるところにより、情報照会者等の使用に係る電子計算機から電気通信回線を通じて機構の使用に係る電子計算機に通知事項を送信する方法
 総務省令で定めるところにより、情報照会者等から通知事項を記録した電磁的記録媒体(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって電子計算機による情報処理の用に供されるものに係る記録媒体をいう。第三十条において同じ。)を機構に送付する方法

これに対する改正案は、以下のようになっている。

情報照会者等、総務大臣及び機構は、第一項の規定による情報提供用個人識別符号の取得に係る事務を行う目的の達成に必要な範囲を超えて、取得番号を保有してはならない。

まあ、通知相手が違うので、第三項から後は完全に違ってくる、ということだろう。

結局のところ、この「取得番号」というのが何なのか、私にはわからなかった。あちこち調べてまわったのだが、今までに議論された記録すら見つからない。上の「注1」では、主語は「法務大臣」だったはずなのに、法改正では、主語が「情報照会者等」になっていて、しかも条例事務はカヤの外である。これ、情報提供ネットワークにおける「情報提供用個人識別符号」(いわゆる機関別符号)の性質が、完全に変わってしまう法改正に見えるし、言い換えるなら、情報提供ネットワークの仕様変更である。こんなの、誰がどこで議論して、どうやって決めたものなんだろう?

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