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数学

yasuokaの日記: 横浜地方検察庁検事正の考える「尤度比」

日記 by yasuoka

東京地方検察庁検事の考える「尤度比」の読者から、横浜地方検察庁検事正の北村篤が書いた『DNA鑑定の確率計算』(島大法學、第64巻、第1・2合併号(2021年3月)、pp.33-71)という論文を教えてもらった。確率計算をおこなう論文のはずなのに、統計学的な考え方が見事に欠落しており、読んでいて痛々しかった。

アレルの有無の情報だけに基づく確率計算の考え方は,例えば『DNA鑑定とタイピング』( J.M.Butler著,福島弘文ほか監訳,「Butler」と略記する。)などで紹介されているが,具体的な計算方法(計算式)は十分には説明されていない。

とあることから、『DNA鑑定とタイピング―遺伝学・データベース・計測技術・データ検証・品質管理―』(共立出版、2009年6月)を北村篤は見ているはずなのだが、この本で紹介されている統計学的手法は全く理解できなかったらしい。結果として北村篤は、DNA鑑定を

なお,本稿は,確率の計算方法(数学の問題)を説明するものであり,意見にわたる部分も含め,もとより筆者の私見である。

統計学ではなく「数学の問題」として捉えてしまっており、この論文には「対数尤度比」も「カイ二乗分布」も「帰無仮説」すら出てこない。しかも、この論文の「確率の計算方法」とやらは極めてオソマツで、全てのSTR (Short Tandem Repeat)の出現を独立事象だとみなし、単純に確率を乗除するだけである。「Hardy=Weinberg平衡」も「Wahlund効果」も、この論文には出てこない。エンエンと「筆者の私見」の数式をこねくり回しているだけである。アタマ悪いんじゃないか、というのが私(安岡孝一)の正直な意見だが、とりあえずは、独立事象と従属事象を勉強しなおした上で、尤度比検定などの統計学的手法をちゃんと学んでほしい。

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