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日本

yasuokaの日記: 李志恒『漂舟録』に出てくる「악기」はアイヌ語なのか

日記 by yasuoka

一昨日昨日の日記の読者から、中村和之「李志恒『漂舟録』にみえるアイヌ語について」(北海道民族学, 第3号(2007年3月), pp.22-28)を読んでみてほしい、との御連絡をいただいた。何でも1696年頃のアイヌ語が、ハングルで書かれているらしい。

七月初一日發船。一時歸現於松前太守前。余在船中日、與書示探識其言語物情而不盡詳知。問蝦夷通事者曰、蝦夷等마즈마이云者何言耶。曰謂松前稱也。又問앙그랍애何耶。曰平安也。빌기의何也。美也。악기何也。水也。아비何也。火也。憑以倭語則大相不同。
[中略]
まず、火とされている아비(a-bi)ないし阿比(a-bi)は、アイヌ語のapeのことで、意味は「火」である。この比定は確実なものといえよう。つぎに、水とされている악기(ak-gi)ないし臥可(wa-ga)は、アイヌ語のwakkaのことで、意味は「水」である。wa-gaは発音が近いが、ak-giではやや遠い。この発音の差が何に起因するものなのか、現段階では明らかにできない。はっきりした比定ができないのは、残る2語である。筆者は、平安とされている앙그랍애(ang-geu-rab-e)は、アイヌ語のirankarapteあるいはiyankarapteで「こんにちは」の意味ではないかと考えた。ang-geu-rab-eとirankarapteとでは、音がかけ離れているとも考えられるが、金田一京助によれば、irankarapteはヤンガラフテと訛った形で使われていたことがあったという。このようなことを考えあわせると、ang-geu-rab-eがirankarapteないしiyankarapteである可能性は否定できないと思う。最も判断が難しいのが、暖かい(優しい)とされている빌기의(bil-gi-ui)である。思いつくアイヌ語として、「きれいだね」という意味のpirka waをあげることができるが、あくまで推定である。特に説明がつかないのは、pirka waのwaがuiと表記されていることである。水のak-giでもいえることだが、語尾のaがiで表記されている。このことにどのような理由があるのかは、今後の検討課題である。

うーん、ちょっと議論に無理がある気がする。そもそも「아비」が「火」で、「악기」が「水」なら、それはアイヌ語ではなくて、たとえば北ハルマヘラ語族だったりしないんだろうか。とりあえず「마즈마이」が「まつまえ」(松前)だという条件の下で、それ以外のハングルがアイヌ語だという仮定を立てた上で、私(安岡孝一)なりに読んでみることにしよう。

「앙그랍애」は「an=kor ape」(私たちが持つ火)に読める。「빌기의」は「pirke hi」(白く磨いたもの)に読める。「악기」は「a=ki」(不特定の人が行う)に読める。「아비」は「ape」(火)に読める。つまり私の解釈は、「아비」以外は中村和之と異なるようなのだ。また

李志恒がアイヌから教えてもらった、堯老和那(yo-ro-hwa-na)という植物について考えてみよう。李志恒は、この草の根で粥を作って食べたこと、草の葉は芭蕉によく似ており、根は大根によく似ていたことをのべている。これらのことから、堯老和那はオオウバユリとみて良いであろう。

とも書かれているのだが、「堯老和那」が「요노화나」だとすると、それは「orowano」(それから)に読めるので、植物名じゃないと思えるのだ。さて、どうしたらいいんだろ。

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