
yasuokaの日記: 蝦夷方言『藻汐草』チヤーラケのアイヌ語に付与された漢字の傍訓
日記 by
yasuoka
上原熊次郎・阿部長三郎『藻汐草』(白虹斉[最上徳内]、文化元年)の「チヤーラケ」には、カタカナでアイヌ語が書かれており、右横に漢字で傍訓が付与されている。最初の「イカラク子クル」には「姪人」という傍訓があるので「e=karku ne kur」だろうというのが分かるし、次の「子フイタウン」には「何云」という傍訓があるので「nep itak un」だろうと想像がつく。「トノトシリカ」には「宴中」という傍訓があるので「tónoto sir ka」だと思われるのだが、さてその次の「ワイヌンヌ」に「慮」って何だろう。そのまた次の「クケナンコラ」に「為焉」は、たぶん「ku=ki nankor a」あたりだと思う。
悩みつつ過去の論文を探してみたところ、佐藤知己『彰考館旧蔵アイヌ語テキスト「蝦夷チヤランケ並浄瑠理言」について』(北海道大学文学研究科紀要, 第109号(2003年2月), pp.31-58)に行き当たった。「ワイヌンヌ」は「ueinonno」(祈り)らしい。とすると、全体としては「e=karku ne kur nep itak un. tónoto sir ka ueinonno ku=ki nankor a.」というアイヌ語に「姪人何云宴中慮為焉」という傍訓が付与されていることになる。うーん、その傍訓は、漢文としては語順がメチャクチャで、少なくとも私(安岡孝一)には読みきれない。さて、どうしたもんだろ。
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