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yosukeの日記: 冥王星へ! (タイトルだけじゃない)

日記 by yosuke

やっぱり一度書くとしたからには書いてみる。

冥王星
冥王星(Pluto)は太陽系9番目の惑星であり、現在知られている惑星の中では、最も新しく発見され、最も太陽から遠く、最も小さく、最も奇妙な惑星である。
Plutoはローマ神話の冥界の王であり、ギリシャ神話のHadesにあたる。
冥王星の発見は1930年、 Lowell天文台のClyde W. Tombaughによってなされた。
太陽からの平均距離は39.5AU(5,913,520,000km)、公転周期248.6432年、直径2,274km、質量1.27 x 10e22kg。
その軌道は離心率0.249、軌道傾斜角17.1453と、他の惑星と大幅に異なっている。
この軌道のため冥王星は、海王星の内側に入ってくるが、軌道周期が3:2で共鳴しているため、衝突することはない。
冥王星の表面は、CH4、N2、CO2の氷でできていると見られ、密度から考えると、80%ほどの岩石の核を持つと考えられる。

衛星カロン
冥王星はCharonという衛星を持っている。
Charonの発見は1978年、Jim Christyによってなされた。それまではお互いの像がぼやけて重なっていたため、冥王星はもっと大きな惑星だと考えられていた。
Charonの冥王星からの距離は19,640km、公転周期6.3872日、直径1,172km、質量1.90e21kg。
組成は、冥王星とほぼ同一と見られる。
Charonの自転周期は公転周期と同じ6.3872日であり、いわゆる潮汐安定によって冥王星に対していつも同じ面を向けている。
このこと自体は珍しいことではないが、実は冥王星の自転周期も6.3872日であり、Charonにいつも同じ面を向けていることになる。
これには、Charonが(地球-月を除いて)最も惑星との質量比が大きい衛星であることと公転軌道が低いことが関係するとみられる。
このことから、冥王星-Charonを二重惑星系と捉える向きも多い。
しかし最近の流行りは、冥王星やCharonを(海王星の衛星Tritonも)Edgeworth-Kuiper Belt Object(EKBO)の1つと捉える向きだろう。

エッジワース・カイパー・ベルト天体
EKBOは30-100AUに存在する小惑星の総称であり、EdgeworthとKuiperによって存在が予言されていた。太陽系形成時に外惑星帯で形成された小天体のうち、ある程度の大きさを持っていたものが、外惑星の重力の影響で海王星軌道付近に飛ばされたものと考えられている。(もっと小さいものはもっと遠くに飛ばされてOort雲になったとされているがそれは余談)
これらは短周期彗星の供給源となっていると考えられている。また、木星-海王星間に軌道を持つCentaurs天体もEKBO起源であることがほぼ確実と見られている。
1992年に1992QB1という直径250km程度の天体が発見され、その存在が証明された。
現在では200個以上のEKBOが確認され、海王星を横切る軌道を持つものも20個以上発見されている。推測では直径100kmを超えるものが35,000個あるとみられる。これはMain beltの小惑星の数のおよそ数百倍となる。
これらの数、総質量、軌道、組成比などを詳しく調べることは、太陽系形成理論を確立する上でどうしても必要なことである。

Planet X
冥王星の発見は、偶然としか呼べないものである。
1846年に、天王星の運動から海王星の予言と発見がおこなわれたように、海王星の運動からさらに外惑星を探す試みが流行していた。
1905年ごろ、Percival Lowellは天王星と海王星の運動からもっと遠い惑星を予言し、"Planet X"と名付けた。LowellはFlagstaffに私設天文台を建設し、Planet Xの探索を行った。
しかしPlanet Xは見つからず、1916年に彼は失意のままにこの世を去る。
それでも、Lowell天文台での探索は続けられ、1930年にClyde W. Tombaughが、Lowellが1914年に予言したほぼその位置に惑星を見つける。
それどころか、Lowell自身が撮影した乾板にも冥王星が移っていることが判明した。ただ、Lowellが予言した大きさより何桁も小さかったため見逃されていたのである。
結局Lowellの計算は完全に間違っており、海王星の運動にはほとんどずれがないことがその後確認された。Voyger2による観測でもそのことは裏付けられている。
そんな計算に基づいて、望遠鏡を向けた方向にたまたま惑星が見つかるというのは、かなりの偶然としかいいようがないだろう。
(なお、Lowellは火星に運河を"発見"し、火星文明の存在を強力に主張した人物でもある。)

冥王星観測
冥王星観測にとって、衛星Charonの発見は幸運であった。なぜならCharonの軌道面がちょうど太陽を向く直前に発見されたため、天文学者は1980年代後半に何回もおこった食によって冥王星の地形を粗くではあるが調べることができたのだ。
これによって、冥王星が赤道班と同じ程度の大きさの極冠をもつことがわかっている。
また、1970年代後半から精力的に地上観測が行われるようになり、さらに赤外線衛星、HSTを用いた観測も行われている。
いま持っている知見は、ほとんどが1970年代後半以降に得られたものだ。

冥王星探査
冥王星は非常に遠くにあるため、PioneerやVoyagerでは取り残され、探査の行われていない唯一の惑星となっている。
現在、冥王星は近日点を通過して遠ざかっていく最中であり、2015年頃以降には大気が凍ってしまうとみられている。また、冥王星の横倒しの自転軸を考慮すると、2020年以降には表面の40%以上が常時影になってしまう。この機会を逃すと、2230年頃まで大気は凍ったままである。フライバイによる大気の観測を行いたいのであれば、できるだけ早く到達する必要があるのだ。
さらに、今ならば、木星によるスイングバイを利用することができる。
これらが、冥王星探査が急がれている理由である。

冥王星探査計画は、2000-2010年代の到着を目指して1990年代の早くからデザインされてきた。
しかし、距離による困難と、"Faster, Cheaper, Better"をスローガンにしていた風潮からデザインは難航し、初めて予算が承認されたのは1990年代後半になってからである。
元はPluto Fast FlybyとしてデザインされたPluto-Kuiper Expressは、1996年に計画を承認された。このときの計画では予算は8億ドルであったが、中止が決定された2000年9月には、13億ドルに膨れ上がっていた。
その後、限定的に復活したり、また中止になったり、復活キャンペーンが張られたりした冥王星探査ミッションは、New Horizonとして生まれ変わり、2003年度から予算が当てられている。
New Horizonの現在の予定では、2006年打ち上げ(Delta IV or Atlas V)、2015年Pluto/Charonフライバイ、2026年EKBO遭遇となっている。
4/9にはNASAからJohns Hopkins大のApplied Physics LaboratoryにFull-Scale Developmentの許可が出た。今度こそこのままいってほしいものである。

参考:
The Nine Planets
New Horizon
The Pluto Portal
Planetary Space Physics At the University of Colorado: Pluto

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