yosukeの日記: 科学ジャーナリストの手法。 2
他編集者の掲載分に比べて、記事の閲覧数が1桁少ないことが多い編集者としては、やはりもっと多くの人に読んでもらえるいい記事を書きたいと思っているわけで。
そういう意味では期待していただけに、大変残念な本。充分な編集がされていない本だとも思う。興味深いテーマなのだが、この本を読むにはかなりの批判的精神が必要になるだろう。しかも、読む価値があるのかと聞かれると疑問符が付く。
以下、各章ごとに。まあ、私はこの本の想定読者層ではないようなので、話半分でどうぞ。
序章 科学ジャーナリストが身につけるべき手法とは
最初の節は"「人」が「情報」生む"と題するものである。「対象」を「人」が仲介することで「情報」となる、ということを例示をしてから述べるわけだが、その例示がよりによって「モナリザは妊娠している」というもの。しかも、かなり無批判に取り上げられている。
そういう説にそれなりの妥当性があるかもしれないのは知っている。しかし、絵のモデルに対しても諸説ある中で、そのような説は現時点では検証されていない。
科学ジャーナリズムについて書こうとする本の、開巻直後にこのような文章があると、かなり不安な気持ちにさせられる。
もう1つの例は、象についての論文を書かせるとどうなるか、というエスニックジョークなのだが、これも妥当な例ではないと感じる。これまでに膨大な記事を書いてきたのならば、もっと妥当な例がいくらでもあったのではないか。
なお、列挙されている身につけるべき手法自体はうなずける内容である。
というか、この内容であれば例示などいらないのではないか。それほどつながっているとも思えない。
1章 科学ジャーナリストの目−テーマ選びと着眼点
座談会。思い出話としては面白いのかもしれないが、タイトルには偽りがある。
2章 科学の資料・情報を集めるコツ−文献検索とインタビューの仕方
文献検索の方法なんて誰向けなんだと。前半は、はっきり言ってクオリティの低さを感じさせる。
後半の、インタビューに関する部分については、執筆者の方法としては興味深いのだが、こんなのある個人のやりかただけ取り上げてもそれほど意味はないと思う。そして、この部分に具体例が出てこないことが、さらに意味を減じさせている。
コラム どこまで続くグーグルの野望
この内容じゃ書くだけ無駄。それこそググったほうがいい。
3章 原稿を書き始める前に−文章化の構想とその手順
入りが愚痴っぽいことを除けば、記者になりたいのであれば読んでおくべき内容なんだろうなと思う。
コラム 日本における著作権の始まり
無関係に近い。何を目的とした文章なんだろう。
4章 科学ジャーナリストの文章作法13箇条−文章表現の実戦的アドバイス
「科学記者に必要なのは、誤差のコントロールである」という言葉がいい。また、複数の具体例を比較しながらどのような文章を書くべきかの方向性を示していて、とてもわかりやすい。「文章術などない」としながら文章術について書かれた章だが、「文章術」みたいな何かの大まかな形は出ているんじゃないだろうか。参考になる文章。全部には従わないけど。
コラム まず書けないことを知れ
後輩に対する激励ですかね。コラムとしてはいいと思う。
5章 科学記事に求められるビジュアル表現−効果的なレイアウトとプレゼンテーション
説明のためのビジュアルと小手先のビジュアルとが列挙されている。
確かに、興味を持ってもらわないとその記事自体が読まれなくなってしまうわけだが。うーん。
せめて、その2つを節を分けて書いてあればなぁ。
コラム 日本語はあいまいか?
興味深い視点である。この文章は忘れずにいたい。
6章 専門の壁をどう乗り越えるか−専門家とうまくつきあう方法
一番自分に立ち位置が近いと感じた章。これは他の人に読んでもらって、どう思ったかを聞きたい。私は、ここに書かれていることと似た方針、つまり「最低限の下調べをしておく」「評判の悪いソースに頼った記事は載せない」で掲載基準を考えているのだが、それは賛同を得られる方針なのだろうか、と。
そうしないと、ここが「評判の悪い」ものになってしまうと思っているのだが。
コラム どのような視点で書くか
だから何?と言いたくなる。
7章 科学ジャーナリストに必要なモラルとは−社会的責任と行動のルール
テーマがテーマだけに、出してくる例示に背筋が寒くなった。ある程度の主体性は必要なんだが、それが思い込みかどうかという自己批判はないのだろうか。
コラム "湯川神社"に参拝したころ
結論が浮いている文章。
#などと、重要そうな部分を不思議な位置に埋め込んでみる。悪文の代表だね。
#まあ、日記にはダラダラした文章を書くのがポリシなので。気分転換するために。
そもそも科学技術ジャーナリスト会議って何なの? (スコア:1)
で,WHOIS [whois.jprs.jp]する。
・・・要するに,文部科学省の外郭団体のオマケのような存在なのかな。最近の外郭団体は,新聞社の天下りも受け付けてるんですね。マスコミ対策としては,最強ではないかと思います。
斜点是不是先進的先端的鉄道部長的…有信心
Re:そもそも科学技術ジャーナリスト会議って何なの? (スコア:1)
あれ?5/13の日記 [srad.jp]を書いた時点では見えてましたけど、今はサーバが見つかりませんね。
> ・・・要するに,文部科学省の外郭団体のオマケのような存在なのかな。
いや、それはさすがに違うと思いますよ。会費で運営している団体で、会員資格も一応は一般に開かれているようですから。あと、現在は事務局の住所も科学技術広報財団内にはないようです。
なお、今回の本はかなり残念な本でしたが、前回の本 [srad.jp]は個人的にはなかなか面白い本でした。こちらは読んでみても損はしないと思います。
#読んだ後に損したといわれても責任はとれませんが(^^;