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yourCatの日記: リスとトキ 1

日記 by yourCat

家の近所を散歩していると、様々な鳴き声を耳にする。烏や雀、秋の虫の類いなら、おおかたの人が聞いた事があるだろう。鳶のピーヒョロロになると生で聞いた事がない人がいると思う。庭先で良く鳴いているリスやヤマバトともなると、聞いた事がある人はぐっと減るだろう。リスはエッエッと変な声で鳴く。求愛や警戒のサインらしい。
わたしは、東京在住の一時期を除けば、いつもリスが普通に生息している場所に住んでいる。そのせいで、リスを単なる齧歯目、ネズミの仲間としか思っていない。この辺りに生息しているのはタイワンリスだが、リスにしては大きな灰色の体で、人間を警戒しているのかバカにししているのか良く分からない動きを見せる。ちっとも可愛げがない。
しかし、この地を訪れる人は、当然のようにリスを可愛い、可愛いとありがたがる。シマリスならいざ知らず、あんなのでも可愛いのか、都会の人は寛容なものだと感心している。

神奈川県では、移入種であるタイワンリスは在来生態系の破壊を招くという理由で、無差別駆除の対象となっている。当然、動物愛護/自然保護団体から批難されている。
駆除派と愛護派の間には、価値観の相違という暗くて深い谷がある。
わたしは、リスを可愛くないとは思うが、駆除となるとさすがに躊躇する。それでも、タイワンリスによって在来生態系が破壊され、別の何かが絶滅に追いやられているのだとしたら、駆除やむなしに傾かざるを得ない。
愛護派は去勢を主張するようだが、去勢が良くて駆除がいけない理由がいまいち理解できない。おそらく「生命の尊厳」について合意がないのだが、愛護派の人ほど合意がない事に無自覚だ。

去る2003年10月10日、佐渡トキ保護センターにて飼育されていた最後の日本産トキ (ニッポニア・ニッポン) 『キン』が死んだ (毎日新聞の記事)。トキに関してはもう何十年も保護が叫ばれていたが、さまざまな努力の甲斐なく、ついに途絶えてしまった。飼育している中国産がいるので、野生絶滅種というのだそうだ。今後は環境再生ビジョンの下、トキの野生回帰を目指すこととなる。
トキは水田のある里山に適応した鳥だ。そのため、原生林を残すような自然保護策はあまり役に立たない。里山の整備と、それを維持する地域コミュニティーの形成が必要になる。
これについて、朝日新聞が当事者である佐渡の農家にアンケートを実施したところ、トキの野生回帰に反対する人が3割、反対ではないものの生活への悪影響を懸念する人が4割いた。トキの生息環境確保のためには、地域住民にはかつてトキが多かった時代の生活に戻ってもらう必要がある。農薬の使用や圃場整備といった農業の効率化策を放棄しなくてならない。減反や高齢化、米自由化に悩む地域コミュニティーにとって、トキの保護は大事だと分かってはいるものの、やはり荷が重い (参考: 『トキ_共生の道はあるか』の『トキの将来、佐渡の将来』)。自然保護・動物愛護団体が聞いたら目を剥きそうな話ではあるが、いたって正直な反応だろう。

一度崩れた自然のバランスを元に戻すのは至難の業だ。バランスを崩さないのが理想だが、あいにく人間はそんなに物わかりが良くない。一度崩れたバランスを元に近付ける、その負担を誰がどう負うのか。社会的合意の形成を目指し、またそれに沿ったグランド・デザインを描かなければならない。都会の人の寛容を、当該地域に求めてはならないのだ。
環境保護は、生命の尊厳に由来する絶対不変の真理だと信じている人は多い。理屈はそうかもしれないが、現実にはまったく機能しない。そしてその先には環境汚染、地球温暖化、水不足など、先鋭化すれば戦争やテロの要因になりかねない問題が控えている。

試金石として、トキの今後に注目したい。

【今日の点取り占い】
天才的なツワモノ会
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  • by Anonymous Coward on 2003年10月21日 9時28分 (#418421)
    やっぱり、名前がよくなかったと思うんですよね。

    「キン」なんて明治の婆ちゃん臭い名前つけるからめっきり老け込んじゃったんですよ。
    途中で改名してもっと若々しい「あさみ」とか「まい」とか言う名前にすれば長生きしたかもしれないのにねぇ(ぉ
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