youseeの日記: 十年の歳月
毎年、出身の研究室から飲み会の案内がくる。一度も行ったことはなかったのだが、今回は大学の学部構成が変わるとかで、さすがに疎遠にしているとわけわからなくなりそうなので行ってみた。
考えてみると、学校に行くのはたしかおよそ十年ぶりである。卒業してから足を運んだこともあったが、この十年は全く用事がなかった。普通はそんなもんだ。
十年たつとさすがに町並みも多少変わるもので、駅前の雰囲気は少しおしゃれになった。大学本体は?というと、昔体育館だった建物が、豪勢な作りの食堂(体育館もどこかのフロアに入っているのかな、チェックしなかったけど)に変わっていた。
学生たちは?というと、工学系の研究室なんだけど、ずいぶんと女性が多くなっているように感じた。僕が学生だったころは大学中見回しても女性は数えるほどしかいなかった気がする。
何より変わったのは教授陣。当時助教授だった人は学部長になり、すらっとしたスポーツマン風の体型は、ビア樽ともちょっと違う、将棋の駒に足が生えたような形に変わっていた。十年でこんなに変わるものなのか?俺も気をつけよう。
今学部長なら将来の学長候補だ。健康さえ損ねなければ、狙えるかもしれないな、とか思いながらちょっと挨拶したが、彼は僕にはあまり興味はなさそうだった。
僕が師事していた教授は去年引退したそうだ。こちらは元々年寄りだったこともあって体型に変化はないのだが、歩く足元は明らかにおぼつかない。十年前に会ったときにはまだまだ現役だったのに、摺り足でゆっくりと動く様は、人はこうして年をとっていくんだなあ、と僕をしみじみさせた。
彼もやはり僕のことは覚えていない様子だったが、話をするとずいぶんとうれしそうで、前回会ったときには学生時代と変わらぬお堅いイメージだったのに、これもやはり年齢なのだろうか。
僕と同期の人間はいなくて、一人寂しくしていることになったらどうしよう、とか思っていると、結構多くの学部三年生が話しかけてきた。研究室には仮配属されているのだという。僕の頃には仮配属なんて言うシステムはあったかな?昔すぎて思い出せない。
三年生は就職活動を始めたばかりの頃だという。不況で不安だと言っていたが、それほどくらい顔をしているわけではなかった。今時工学系は選ばなければ就職できないことはない。知り合いのいるあまり大きくないIT会社でも新卒採用を試みているようだが、応募してくるのは文系ばかりだと嘆いている(理系学生は皆メジャーな会社に流れてしまって、滑り止めにさえ来てくれないそうだ)ほどで、理系であればそれだけで採用する勢いだった。まあ、こういう会社には就職しても不幸なだけなので紹介とかはしないんだけど。
それはともかく、三年生といえば二十歳そこそこなワケで、彼らと話をすると自分がなんと年を取ったことかと痛感させられた。彼らの目はまだ活きているのだ。心が疲れ汚れたおっさんは、自分自身を恐れていない彼らの目を見返すのも気恥ずかしい気分だった。
長くなったので、続く。
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