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日記

youseeの日記: 憲法改正案の話 22

日記 by yousee

テレビを見ながら「都知事の話飽きたよ。参院選の話しようよ。憲法改正なんだしさ」と愚痴たら、奥さんに「何が変わるの?」と聞かれた。
まあ、そうだよな。なぜかテレビで話題にしないもんな。

なので、さらっと調べて、さらっと説明した。自民党の憲法改正案(以下改正案とする)は読んだが、Q&Aはめんどいので読んでない。
スラドに政治的な話題を書くと荒れるのはわかっているけど、奥さんに説明したことをメモっておく。

重要なところをスルーしたり、間違って読んだところもあるかもしれない。気になった人はここのコメント欄で戦うのではなく、ちゃんとしたサイトで啓蒙活動をすることをお勧めする。
まあ、みんな家族の会話のネタにでもしてくれよ。都知事関連の話よりきっと楽しい。

・前文
現憲法は「今まで悪いこともあったけど、これからは世界を良くしていこう」的な話。改正案は「日本は今までちょー頑張ってきた。今後もそのつもり」的な話。

・天皇には助言と承認ではなく進言(3)
天皇の行為は承認を受けなくてもよくなる。

・自衛隊→国防軍(9、18)
現憲法は「国際紛争になっても、自発的な戦争はしない」。改正案は「自衛権はあるけど、自発的な戦争はしない」。
「世界的に公益にかなえば軍が出動する」ので、日本と直接かかわりなくても活動OK。
「国を守るために国民は協力する」ってあるので徴兵OK。ただしこの協力が「苦役」なら従わなくてよい。

・公共の福祉がなくなった(12ほか)
「公共の福祉」ってのはつまり「仲良くするために譲り合おう(できなければ裁判所へGO)」という感じ。これが改正案では「公益及び公の秩序」になっていて、イメージとしては「利害は多数決(国会や政府)で決めよう」的な感じになる。

・勲章に特権が付属(14)
現憲法での勲章は今まで単なる栄誉だったんだけど、改正案では追加で特権も与えられるようになる。

・参政権(15、93)
公務員選挙の選挙権や、地方参政権は日本国民のみ。

・奴隷的拘束不可→身体的拘束不可(18)
閉じ込めなければ奴隷にしてもOK。

・権利を侵してはならない→保障する(19ほか)
現憲法は「(公務員が個人の)権利を侵害してはいけない」、改正案では「(国民が互いの)権利を守ってあげる」で、ニュアンスがだいぶ違う。

・宗教団体の政治活動(20)
宗教団体が政治活動をできるようになる。

・表現の自由(21)
現憲法では制限なく保障されている。改正案では公益及び公の秩序によれば制限できるようになる。政府批判とか難しくなるような。

・国政に関する知る権利はなくなった(21)
現憲法には明文はなかったけど知る権利という概念があった。改正案では知る権利はなくなって、一応説明しとけばよいことになる。

・家族は助け合うことが必須(24)
改正案では家族の助け合いが必須になっているので、そういう理由の離婚とかニートとの縁切りは容易になるかな。

・環境保全は義務(25)
国民の義務になる。

・被害者保護(25)
現憲法では特に考慮されていなかったけど、改正案では考慮することになった。

・教育の縛り(26)
改正案では、国策に沿った教育が要求されている。現憲法ではそういう縛りはなかったので反日教育とかOKだった。

・残虐な刑罰(36)
多少ならしてもよい。

・自白(38)
唯一の証拠が自白だけであった場合でも刑罰は科せる。

・障害者の選挙権(44)
まじめに取り組む。

・選挙区(47)
勘案しているならOK。つまり一票の格差とかは(多少なりとも勘案しているなら)無視OK。

・国会の運営(56、63)
現憲法では、参加者が少なければ議事できない。改正案では、議事できる(議決はできない)。現憲法では大臣の答弁は必須。改正案では欠席OK。運営の仕方が変わるね。

・文民統制(66)
現憲法では軍経験者は大臣になれない。改正案では現役でさえなければOK。

・政令(73)
従わなければ罰せられる。

・緊急事態(98)
緊急事態宣言あり。ただし国会の承認が必要。
緊急事態中は三権分立は無視できる。内閣の勝利。

・憲法改正(100)
現憲法では、改正時には現憲法と似たものを作れ、となっている。改正案では規定がないので、次回以降の改正では内容をガラッと変えてしまってもよいことになっている。

・憲法を守る人(102)
現憲法は実は公務員が守るものだった(知らん人多い)。改正案では一般人も守らなくてはならなくなった。

・現憲法の97条(基本的人権について前文を補足する内容)は削られている。

2016/7/09 考え違いをしていた12条の説明を直しました。指摘ありがとうございます。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by manmos (29892) on 2016年07月08日 17時53分 (#3043889) 日記

    西洋思想である民主主義を止めます宣言だからなぁ。

    9条なんておまけ。

  • 天皇の行為は承認を受けなくてもよくなる。

    助言と承認は「助言」と「承認」ではなく「助言と承認」という一体のプロセスであり、天皇の行為に対し内閣が承認するとは失礼であるとの考えに基づくもの。そもそも、現憲法下でも、天皇の国事行為に都度、内閣が助言とは別途に承認していない。日本国憲法改正草案でも、天皇は国政に関する機能を有さないと定められているため、内閣の意思に反する国事行為は認められない。

    自衛隊→国防軍

    自衛隊はそもそも現憲法下で想定されていません。自衛隊は軍隊ではないので、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」という規定には反しないという解釈です。

    「国を守るために国民は協力する」ってあるので徴兵OK。ただしこの協力が「苦役」なら従わなくてよい。

    徴兵制は「その意に反する苦役」に当たると解釈されていますね。この解釈が変わらない限り、徴兵制 OK とはなりませんが。

    現憲法での勲章は今まで単なる栄誉だったんだけど、改正案では追加で特権も与えられるようになる。

    現憲法の「いかなる特権も伴はない。」を削除すると特権が与えられるようになるのですね。ちなみに現憲法下でも文化功労者年金法という法律がありますよ(特権にはあたらないというのが政府解釈ですが)。

    閉じ込めなければ奴隷にしてもOK。

    草案の「社会的又は経済的関係において身体を拘束されない。」という規定から「閉じ込めなければ奴隷 OK」ですか。社会的又は経済的関係において身体を拘束されない奴隷とはちょっと理解しがたいですね。

    宗教団体が政治活動をできるようになる。

    現憲法の「又は政治上の権力を行使してはならない。」という規定は、宗教団体の政治活動を妨げるものではないというのが政府解釈です。でなければ、公明党や幸福実現党の活動は明らかに問題がありましょう。 「政治上の権力」も「特権」なので、この文言を削っても問題ないという発想だと思いますが、Q&A でも言及されていないので不明。

    多少ならしてもよい。

    草案では「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、禁止する。」と表現が改められていますが、禁止とは多少ならよいという意味だとは知りませんでした。

    唯一の証拠が自白だけであった場合でも刑罰は科せる。

    有罪とされないのに刑罰は科せるのですか。無罪だけど刑罰つきなんて聞いたこともありません。

    つまり一票の格差とかは(多少なりとも勘案しているなら)無視OK。

    勘案=無視ですか。

    現憲法では軍経験者は大臣になれない。改正案では現役でさえなければOK。

    現憲法の規定は「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」です。、中谷元氏や森本敏氏など、元自衛官、すなわちかつて武官であった者の入閣例があります。

    従わなければ罰せられる。

    草案では「六 法律の規定に基づき、政令を制定すること。ただし、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない。」 原則的に禁止という文言からそのような解釈が出てくるのですね。ちなみに現憲法下でも特にその法律の委任がある場合であれば、政令で罰則を定められます。「出入国管理及び難民認定法」が有名どころでしょうか(法律のような名称だが政令)。

    緊急事態中は三権分立は無視できる。内閣の勝利。

    草案の「3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。」が根拠と思われますが、後半部をまったく無視していますね。

    ・憲法改正(100) 現憲法では、改正時には現憲法と似たものを作れ、となっている。

    根拠不明。改正の規定は日本国憲法第九章ですが、第九十六条にそのような文言はありません。第百条は日本国憲法第十一章にあり、この章は単なる補則で、もはや効力を有していません。草案では附則に置き換えられています。

  • > ・家族は助け合うことが必須(24)
    > 改正案では家族の助け合いが必須になっているので、そういう理由の離婚とかニートとの縁切りは容易になるかな。

    (国家ではサポートしないから)家族で助けろって事で縁切りが難しくなる方向じゃないの?

    • by Anonymous Coward on 2016年07月09日 17時26分 (#3044298)

      > ・家族は助け合うことが必須(24)
      > 改正案では家族の助け合いが必須になっているので、そういう理由の離婚とかニートとの縁切りは容易になるかな。

      (国家ではサポートしないから)家族で助けろって事で縁切りが難しくなる方向じゃないの?

      この辺は憲法改正後の民法がどうなるかによっても変わってくるかも。
      もし、旧民法の家制度的なものが復活するなら縁切りは容易になる方向(旧民法では基本的に縁切りは戸主の一存でできたはず)だろうし、現行の民法のままなら問題あっても家庭内で何とかしろってことで縁切り云々より社会保障とか福祉に対する行政の関与を減らす方向だろうね。

      #この日記書いたyousee氏は前者を想定しているのかもね。
      #後者の場合、介護離職や介護殺人が増えるだろうなぁ

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2016年07月08日 11時57分 (#3043693)

    反対する人も少なくないだろうが、なかなか面白かった [blogos.com]

    • by Anonymous Coward

      蛇足だけどあえて書き込む。俺も見た。面白かった。
      自民党案と中国の憲法が似ているというのは、(まあ俺が元々その条項に関して反対だったことを踏まえても)
      自民党案への反発を誘導する書き方では? とは思いもしたが、キモは後半だね。

      乱暴にまとめてしまえば「憲法ってきれいごとばっかで、現実的には無理筋というか胡散臭いよね」っていう
      「庶民感覚」が存在すると。
      となると「憲法はお題目としては大事だけど、それはそれで置いといて実務としては法令を優先させる」という
      今のやり方は「庶民感覚」としては納得がいく。(正しいわけではない)

      あとこれは私の愚の告白だが、憲法が「権力の制御機構(対象が公務員)」であることをすっかり忘れていた。
      もしかして大部分の国民が「国民全部が守るべき法律の親玉」的な理解でいるんじゃないかと…まさかな。

      • by Anonymous Coward

        法律の法律、って理解で問題ないと思うけどね。

        つまり法律を作ったり、それを運用したりする人が、
        憲法違反の法改正したり運用したりしちゃいけないという決まり。
        原理原則だから、そりゃ100%現実にあってるとはいえない。

        しかし、憲法改正しない、させないことで、解釈改憲が横行することこそ、立憲主義に反してるのだが・・・

        • by Anonymous Coward

          >憲法改正しない、させないことで、解釈改憲が横行することこそ、立憲主義に反してるのだが・・・
          リンク先の話は、その立憲主義やそれに基づく人権尊重概念そのものに
          「庶民感覚」が嘘くささを感じている、って言ってます。

          だから「お題目」と「実情」が剥離していても最終的に「そんなもんか」が大多数を占める。
          つっつかれたら意見は言えるが、自ら声高にそれを要求する行為は「プロ市民(笑)」的で引く。
          大きな運動にするにはちょっとずらして感情に訴えかけなければならず、それゆえに正しさを失い負ける。
          そんなんじゃないんでしょうか。

          個人としては「改憲運動を機に日本国民の有り方(立憲主義との付き合い方)自体を考えよ」
          という問いかけにも見えましたね~。

        • by Anonymous Coward

          しかし、憲法改正しない、させないことで、解釈改憲が横行することこそ、立憲主義に反してるのだが・・・

          欧米型の軟性憲法ならそりゃそうなんだけど、日本の硬性憲法の場合はそうとも言い切れない。
          Deny-Allow型で解釈の余地があっては困るが、Allow-Deny型で解釈の余地がないのもそれはそれで困る。

          欽定憲法からの流れで改正しがたいことを前提に、解釈の余地が生じるようかなり考えて条文自体が書かれてもいるし。

    • by Anonymous Coward

      そりゃそうだ。
      中共に抗して、独立を維持する為には、中共の脅威に合わせるしかない。
      それに反対する人間は、中共憲法への移行を祈念しているのだろう。
      結局同じ話。

  • by Anonymous Coward on 2016年07月08日 11時59分 (#3043694)
    いっぺんに沢山変えすぎ。

    賛成できる変更もあるが、断固拒否したい変更があるために
    全体として改正には反対になる。
    • by kouno (5101) on 2016年07月08日 15時39分 (#3043811)

      さすがにまとめて出したら、国民投票以前に国会を通らないでしょう。
      草案としてはまとまっていても、改正案は通りそうなとこから出すと思いますよ。

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      これに一票。
      山ほど盛り込んでいるのに全然議論が足りてないのにどうこうしようとするのは間違い。
      一項目ごとに一年くらいかけて話し合ったのちに行う位がちょうどいい。

    • by Anonymous Coward

      同意しますが。

      ただ改憲論者の強い意見が「自主憲法制定」なので。
      GHQ憲法の条文は、たとえ見た目だけでも、全部変えるのは前提条件なのです。

      アホですね。私もそう思います。

    • by Anonymous Coward

      自民党の憲法草案は、野党時代に実現可能性を考慮しないで、
      問題提起も含めてエッジの効いたものをつくったそうですよ。
      いっぺんにたくさん変える気はない……と信じたい。
      公明、維新、日本のこころは改憲派といっても、
      自民の草案に乗っているわけではないですから、
      賛成できる改憲だけを主張してる政党があれば
      それに乗れば良いんじゃないですかね。

      話は変わって、本文に対してですが、
      公共の福祉というのは、おおざっぱに言うと、
      私人の間の人権の衝突の際に人権を調整する為の概念です。
      国家とか社会の利

      • by Anonymous Coward

        単なる置き換えなら,変えなきゃいいはずだもんね〜

  • by Anonymous Coward on 2016年07月08日 14時52分 (#3043778)

    草案なのに更新(ブラッシュアップ)してなかったり見直ししてなかったりなのがよろしくない。
    # 聞いた話だと野党時代に作ったものがそのままなんだとか。
    だから相手側勢力にも攻撃に利用されるんだよね。

    あと、改憲自体については、改憲反対勢力も利用したらいいのにと思う。
    9条とかばかりに目が行きがちだけど、1章削除(天皇制廃止)とか、96条削除(改憲条項の削除=二度と変更できないようにする)とかできる思うのだが。

    • by Anonymous Coward

      改憲論議なると必ず9条が遡上に上がるので、野党は乗りにくいという事情があるんだよね。
      橋下の主張や公明の「加憲」ならともかく、自民党の強硬派はとにかく9条を変えたがるから。

      • by Anonymous Coward on 2016年07月08日 23時40分 (#3044040)

        改憲論議そのものを封じるために9条を持ち出して議論を拒否するって手段に使われることの方が多いような。
        大体において、憲法をテーマにした討論で9条の話題を最初に持ち出すのは社民あたりだし。

        親コメント
        • むしろ、個人的には9条に絞って改正(議論)をして欲しいですね…。国政での人権や民主主義に関しては一国の内政に属する内容なので、憲法・憲政がまともならほぼ問題なく保障されると思いますが、外交・国防に関しては外国との関係が問題になるので一国の憲法だけではコントロールしきれず、必ず国際情勢と合わせた外交戦略の議論が必要になるわけです。集団的自衛権を定めた新安保法も、(少なくとも)ダイアモンド防衛構想やASEANとの連携など、合従連衡の合従策を実現するのが目的でしょう。現政権の戦略が必ずしも正しいとは限りませんが、論点にすべきはまずこのダイアモンド防衛構想(という外交政策)であり、改憲議論もまず9条に的を絞るべきではないかと考えます。
          むしろ、現在の左派勢力は、9条を神聖視しすぎて「9条がなければ民主主義も思想の自由も無い」と事態を単純化・硬直化させすぎてしまっため、その逆を突かれてこのような「全面改憲案」を出されてしまったという面もあるのではないでしょうか…。もっとも、現在の憲法改正国民投票法では、改憲案は関連のある事項ごとに個別に投票するそうなので、この草案が丸ごと通るとも限りませんが…。

    • by Anonymous Coward

      天皇制消滅までは一億歩譲って可能だとしても、改正不可能に改正は無理筋すぎるわw

      いずれにせよ、国会も国民投票も、賛成多数取るわけないよ。
      まあ自民案もだけど。

      サヨクは全く無理。 改憲を議論したら、9条に海外派兵禁止どころか、日米安保禁止自衛隊禁止って書きかねん。
      反対しか言えることはないのよ。

  • by Anonymous Coward on 2016年07月09日 21時44分 (#3044409)

    憲法は争点じゃないよ
    どうせ変わる
    国民投票やると決まってから調べればいい

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物事のやり方は一つではない -- Perlな人

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