yuriの日記: 集合知・暗黙知・形式知 2
日記 by
yuri
集合知プログラミングとか集合知・イン・アクションっていう本があるのは知っていて、なんとなくSEOとかアマゾン先生の「この商品を買った人はこんな商品も買っています…」というのに使われているらしい(うろ覚え)んだけど、集合知という概念の前に「形式知vs暗黙知」という概念があるのね。
暗黙知については、マイケル・ポランニー著「暗黙知の次元」という本をまず読むと良いらしい(なんだかちょっと難しそうね)。
読書の秋ならぬ読書の冬。
すごく簡単に言うとこれだけの事 (スコア:1)
暗黙知: 判っているけど説明できない
形式知: 説明できる知識。でも気をつけて。説明している人が「わかっている」とは限らない。
集合知: みんなの中の誰かが知っているはずのこと
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暗黙知の典型例が「歩く」とか「自転車の乗り方」とか。皆できるけど、どうやってやってるのか、説明できない。HONDAの ASIMO の一番すごいところは、「歩く」という説明できないことを、データ取りまくって、実装してみて…を繰り返して
「我々はこうして歩いているのか!!」
というレベルに上げたこと。
職人芸なんてのは典型的な暗黙知の塊で、できるのは知っているがどうやってるんだかさっぱり…の塊。
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形式知は「我々はこうして歩いているのである」という説明ができる状態。
説明している人が歩けるかどうかは別問題。たとえば孫子の兵法に:
是の故に百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。
戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。
とあるし、それがどういう意味なのか、説明できる人はすごく多い。最小限度でも日本中にいる全ての「社長さん」達で、これを説明できない人はいないと思う。けれど、そんなの判っててもできる人はほとんどいない。
実は形式知と暗黙知は完全に対になる概念ではない。「知識と表現」という観点からだけで切り取ると、確かに対になるのだが、暗黙知は「その知識を持っている」事を示すのに「言語」を使えないので「実行」で示すしかない。このため、「実行」軸で見ると対にならない。
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集合知は、集合の中の誰かが知っている知識。実はその個人が暗黙知として知っているのか、形式知として知っているのか、は厳密には区別されないはず。
なんで「はず」かというと、集合知というのは個人が知っている知識と違って、「検索」をかけないと誰かが持っているかどうかわからない知識だから。つまり私が知っていることをあなたが知るためには、「誰かxxx について知りませんか?」と聞けなくちゃいけない。ところが、私が「自分の知っていることは xxx である」という知識を持ち合わせていないと、検索に反応できない。つまり、暗黙知だと検索できないので見つけられないことがある。
# 画像ばかりでキーワードの無いページを Google で検索しようとしている状態だと思えばよい。
さらに。集団に対する検索を阻害する要因がある組織…たとえばすっごく縦割り官僚的な組織構造になっていて組織横断的な活動をほとんど許さないとか、自分の本業以外について反応してそれで他の人が助かっても評価されなかったり「本業をサボった」などと負の評価をされたりするような組織…そういう所では、個人は他人のクエリーに無関心だ。結果、集合知は集団のメンバーが知っている知識のごくごく一部しか使えない、という有様になる。
# 組織の中に Google がない、と考えれば判りやすい。
つまり「検索機能」がついていて「検索に反応できる」状態じゃないと、個人の知識は「集合知」になれない。集合知になれたとしても、そこから先にはまだ「形式知/暗黙知」問題が実は控えている(個人を特定しただけで、その個人から情報を引っ張り出す方法について解決したわけじゃないから)。
というわけで(どこがどう??)、Peter Morvilleの「アンビエント・ファインダビリティ [geocities.jp]」も是非お勧め。
これも面白いです。
fjの教祖様
自分の言葉で表現=知識の発露=知の表出化 (スコア:1)
コメントありがとうございます。
スラド日記や2ちゃんねるで「教えてエロい人」とやっているのは(私も使わせて頂いていますが)集合知に対して慈善的かつ言語的(voluntaryかつverbally…なんかちょっと韻を踏んでるっぽい♪)に解説を求める行為なのかな、と思いました。
それにしても教祖様の説明は大変に興味深く読ませて頂きました。
特にコレ!うちの社長に聞いてみたいです(違)
「アンビエント・ファインダビリティ」は以前一度流し読みしたのですが、Webデザイン方面に疎いので「ふーんそうなんだー(棒読み)」という印象しかなかったのでもう一度チャレンジしてみようと思います。
そんなことを言っている間にオライリーさんから検索と発見のためのデザイン [oreilly.co.jp]なんていう本も出てるし。。。
読書の冬っていうより、知を探る冬 って感じで散策してみようと思います。