zokkonの日記: 単純な世界
日記 by
zokkon
ルースターズの歌詞の世界で,登場人物は限られている。大ざっぱに言うと,「おいら」「あの娘/お前」「やつら」の3種類。高校生のとき,「そうか,世界はそういう風に単純にできていると思っていいんだ」と気づいてずいぶん気が楽になった。
「おいら」という一人称は,いかにも作り物のロックのイディオムで最初なじめなかった。大江慎也が現実に自分のことを「おいら」とは昔も今も呼んでないだろう。実世界で使っているのは,ビートたけしとか松本人志ぐらいしか思いつかないし。しかし,これもそういう世界観を表現するための道具立ての一つと考えればいいのかもしれない。
もちろんこの世界観は,彼らのオリジナルではない。イギリス労働者階級のメンタリティを直接のルーツとしているのだと思う。
ただし,イギリス労働者階級の場合は「おれたち」になるわけだが。
(『ハマータウンの野郎ども』(アマゾン)やアラン・シリトーの諸作が参考になる。)
そのあたり,デビュー当時彼らがお手本としていたローリングストーンズに通ずるものがある。中産階級出身のストーンズがそういった価値観を黒人のブルーズに仮託して翻訳したように,ルースターズも80年代初頭に同じ世界を出現させようとしたのだった。
そのうち,音楽性の変化に伴って,「おいら」という一人称は消えていく。
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