CCfA - MUSIC NEWSのACTさんがされている輸入権問題シンポジウムの書き起こしを、(ちょっとだけ)お手伝い。
(05/08 18:00) 続く部分の書き起こしを追加。風のごとく書き起こせ...って思ったけど、無理っす。「CISCOが潰れる」の人、気持ちはわかるけど落ち着いてください。川内議員はノリノリ。
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[音声01:59:35 動画02:02:15]
会場から質問>あっと、ごめんなさい。ええと僕は業界人でもなんでもなくて、ただの音楽を聴き始めて十年足らずの一般人として、ちょっとお伺いしたいというか、気になった点があるんですけど。
ええと、先ほどから政府とレコード業界の話は頻繁に出ているんですけど、まああの、中原さんという日本を代表する、AVEXを代表するアーティストの方が出ていらっしゃいますが、アーティストサイドからの声というものが一切、ネット上でも聞こえてこないんですね。
私が知るかぎりではええと、 ECD というヒップホップアーティスト、インディーズでよく活躍されている方がまあ、反対を表明されているのをネットで見たんですが、それ以外、反対されているような方、の声っていうのを聞かないですよ。でまあ当然その、レコードの契約上言えないという部分もあるかと思うんですけども、現状で一番問題なのはアーティストの声が一切出てこないということが、その一般の、音楽を消費している人間からいうと問題だと思います。
例えば、イギリスのクリミナル・ジャスティス(※ Criminal Justice Act http://www.goethe.de/techno/Jp/tom1j.htm )が制定されようとした時に、まああのー、大レーベルでしたっけ、ハイドパークでデモを起こしたようなレーベルがあったり、まああと、KLFっていうもともと反権力志向の強いようなアーティストがいて、まあ僕はそういうアーティストがすごい好きなんですけども、そのようなアーティストというのが、今のところ現状でいないんでしょうか? それとも僕の不勉強で見つけられないだけなんでしょうか? ちょっと詳しい方で、ま、お判りになれば教えていただければと思うんですけども。
バラカン>客席にどなたか、いらっしゃいますか?
パネラー?>今日客席にECDさん、いらっしゃってる。[会場から笑い]ちょっとそこいると思うんで。[会場から拍手]
[動画02:03:53 テープ交換のため撮影中断]
[音声02:01:20]
ECD>いや僕は実は、反対は反対なんですけど、なんていうかあのー、さっきも議員の方がおっしゃられたように、メジャーのレコード会社には「潰れてしまえ」という立場で「著作権法も全部開放しろ」っていう立場なので、ここで輸入権だけで判断するっていう立場でもちょっとないかなと。今日はだからあのー、勉強しに来ました。[会場和む]
バラカン>(笑いながら)ありがとうございま...
ECD>(さえぎって)あとはですね、あの、すごく一番問題なのは、音楽をまったく聴かないという人も世の中にはたくさんいるという、ことが、多分この法律がもしかしたら多分通ってしまうんだろうなと悲観的にならざるを得ないのも、「聴かない人にはどうでもいいことでしかない」ってことをどう訴えていくことができるのかっていうのが、それはもしかしたらアーティストの役目かもしれないし、その辺はまあ、頑張ります。[会場から拍手]
[音声02:02:17]
バラカン>ありがとうございます。マツタキ...松武秀樹さんは今日いらっしゃっていますか? [やりとり]いません? [やりとり]そうですか、どうぞ。じゃああのマイクをステージに...
スタッフ>すいません、ステージの方に近づいてもらえれば入ると思います。じゃあステージの横に... ステージの、健太郎さんの横のを。あのー、ステージのマイクは全部生きているんで、こっちでボリューム上げるんで、どれでもいいんで使ってください。
[音声02:02:41]
会場から>ええと僕、今この反対活動で署名集めているんですけど、ミュージシャンの方にも今、ほとんど30人ぐらいに署名もらっています。ほとんどあのーマイナーな、ジャズのミュージシャンだったりするんですけど、ほとんどはこの話を知らない。で僕がこの説明をすると「これはまずい」ということでみんな結構積極的に、署名してもらっています。多分ミュージシャンの人も「知らない」ということが一番多いんじゃないでしょうか。
[音声02:03:14]
バラカン>ありがとうございます。大いにありうるでしょうそれは。ええと... あ、そちらにもなに、また訊きたいことが。はいどうぞ。
[音声02:03:30]
会場から質問>すいません、川内さんに再度お聞きしたいです。先ほど野田さんがこう、質問されたことの繰り返しになるんですけれども。川内さんのほうで、今回の法案に関してはAVEXの依田某(よだナニガシ)+αの何人かの人間が進めていることだと、おっしゃったんですけど、野田?さんが先ほど訊ねられたように、「別な大きな意思」というようなものは介在している可能性というのは、実際あるんでしょうか。というのもちょっと僕、音楽業界にいる者なんですが、先日、四月の当初ぐらいにちょっとキナ臭い「いやだなあ」っていう事件が一つあって。
日本に東芝EMIっていうレコード会社があるわけです。でそこにインターナショナル・セクション、いわゆるその洋楽のアーティストのCDを売っているっていうセクションがあるんですけども、そこのトップの部長と、その中に「レーベルズ」っていう、いわゆるその東芝EMI内部ではいるんだけれども、Capitol EMIのアーティストではなくて、それ以外のライセンスを持ったインディーレーベルのアーティストと契約して、それをこうサードパーティとしてリリースするセクションがあるんですが、その部長...トップと、そのセクションのトップが左遷されたんですね。
でそもそもは、 Franz Ferdinand っていうスコティッシュのバンドがあるんですけども、これはDominoっていうイギリスのレーベルのアーティストなわけです。それをその、東芝EMIのなかのインターナショナル・セクションのなかの「レーベルズ」っていうサードパーティを取り扱っている部署が、ライセンス契約したんですね。ところがこれが、本社Capitol EMIからの圧力で、一度契約した契約を破棄することになったんです。
※ http://www.franzferdinand.co.uk/
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00014TQ7S/
http://www.bbc.co.uk/music/rockandalt/reviews/franzferdinand_ff.shtml
でなおかつ、その Franz Ferdinand っていうアーティストが、アメリカをツアーしてたんですね。でこれはプロモーションのツアーでもあるんだけども、アメリカでのライセンシーを探すっていう、そういうツアーでもあったわけです。その中で、たとえばソニー...Columbia SONYであるとか、実際、Capitol EMIあたりがそのマネージメントと接触して交渉してたんですけども、その時に、Capitol EMIが Franz Ferdinand のマネージメントと話をした時に、「いや、あなたたち(Capitol EMI)のジャパンテリトリーでは、東芝EMIともう契約をローカルエリアで結んだんだよ」っていう話が伝わったんですね。それがそのまま東芝EMIに反映されて...
要するにいま五大メジャーには、ワールド・プライオリティ制度っていうのがあるんですね。要するに「本社...五大メジャーの本社で決めたものだけを売れ」っていう。たとえば実際Capitol EMIに、 Cold Play っていうアーティストがいて、これは全世界で1200万枚売れているわけです。たとえばこう、Ronnie Williams(?)っていうイギリスのXXXアーティスト(聴き取れず...「ジャズのアーティスト」かな?「前衛アーティスト」かな?)がいて、これは何百万枚とヨーロッパで売れているわけです。
ただそれっていうのは、東芝EMIはほとんど売れていないんですね。そのかわり東芝EMIはたとえば、えー Queen のベスト盤というのをですね、あのー非常に、あのー卑しい、売り方ですけども、あのーキムタクっていうアイコンをこう使ってですね[会場から笑い]、でまあこう、テレビ業界と結託する形でまあ100万枚を売ったんですけども、「 Queen のベスト盤を100万枚売ることよりも、ワールド・プライオリティである Cold Play を10万枚売ることのほうが大切だ」と。
でその流れにあって、「サードパーティで、要するにそういう自分たちのライセンシーでないものを売ったりする、企業努力をするのはダメだ!」っていう意味の人事なんです。つまり明らかにこれは、一企業内の問題でもあるんですけども、「= 五大メジャーの一社が日本の音楽状況にバイアスをかけた」ってことです。
それと同じような意思っていうのが、今回の法案の向こう側に存在するのか存在しないのか、もうある種ちょっとこう妄想入っているんですけど、実際そうあったときに非常に大きな問題だと思うし、いろんな問題に繋がってくるかなと思うんです。で、そのあたり実際どうなのかっていうのを、川内先生に。
[音声02:07:08]
[動画02:03:53 撮影再開]
川内>あのー、冒頭に申し上げたように、いま日本に還流してくる邦楽のCDの枚数というのは68万枚、1億7000万枚のうち68万枚だという事実ですね。で、一方並行輸入の洋楽のCDは6000万枚を越えている、と。
メジャーのレーベルにとって、このレコード輸入権を設けることが、あるいは権利を手にすることが、日本の音楽市場を障壁を作って、そして自分たちのビジネスしやすい環境に置くことができるという点においては、「68万枚を目的としたものにする」というのはですね、合理的な――私は、理由にはならないと思うんですね。
これはあの、法案の目的とか趣旨は、邦楽の還流防止措置だと言っているけれども、私は――文化庁のお役人も、あるいはレコード協会のですね、狙いは6000万枚を止めることだろうと。そして、自分たちのビジネスがしやすい市場に、日本の音楽ビジネスの市場をしていくことだというのが真の狙いではないかと、いうふうに私も見てます。
ところがですね、その、じゃあ背後に大きな意思があるのかどうかというと、それはまたスパイ小説の世界になんか入っていきますから、あまり確定的なことはあのー申し上げられないんですけども、事実として踏まえなければならないのは、たった68万枚のために、こんな法律を作る必要はまったくないということですね。
たった68万枚のために作る必要のない法律を、こん~なに急いでですよ、国会議員を「これは海賊版対策です」みたいなことを言いながら、騙しに騙して、参議院通し衆議院通そうとしていると。なんでここまで急いでやらなきゃいけないんだろうかと。しかも、火事場泥棒みたいにですね、誰も――文化審議会の著作権分科会でさえ認めていない「その権利作っていいですよ」とは言っていないものを、大急ぎでコソコソコソコソ、通そうとしている。これはですね、明らかにもう6000万枚が目的なんですよ。
だから、あのさっきから、「あ~これレコード会社の偉い人でも知らない人が多いんですよ、なんででしょうね」っていう話出てますけど当然ですよ。「みんなが知らないうちにやっちゃえ」と。「バレないうちにやるんだ」というのが、先ほどから申し上げてる――私は、何人かの狙いだろうと。ま、この辺はちょっとあのー、わりと小説っぽくなってしまいますけども[会場ややうけ]、おそらくそれが真の狙いだろうなと、いうふうに思います。はい。
[音声02:10:33]
[動画02:07:20]
会場>すいません!
バラカン>はい、じゃあ、質問どうぞ。
会場>私?
バラカン>はい、そちら。で次はこっち。
会場から質問>さっき――多分ちょろっと話出てたと思うんすけどそのやっぱその一緒に、日本盤が、やっぱ――僕が今日、すげえ「そこだけを聞いて来い」って言われてたやつがあるんすけどー友達に。
その日本盤が出てる輸入盤のやつはまあ入れないんだけど――そのさっきも言ってたんすけど、日本盤が出てない輸入盤と――あと「レコード」とかっていうのも輸入盤ですよね――それもまったくもう関係ないんすかね。あ、もう輸入盤、いや、最悪日本版が出てればまあ、お金出して買えるじゃないですか。まその、日本盤が出てない輸入盤禁止されたら、それを手に入れるにはほんとさっきの、個人輸入とかなんかそうーゆーのじゃないっすか――そこはもうほんと、まったく関係ないんすか?
バラカン>これはもうほんと、まったくわからないんですね。
同質問者>それ賛成も人もそこについてはなに、なんにも言ってないんすか?
[音声02:11:30]
[動画08:08:20]
バラカン>基本的にあのー、タイトルごとに全部管理してこの法律、まあもし法律になったら、法律を運用するなんてことは「やってらんない」ような細かいことなわけですから、あのーたぶん、たとえば東芝EMIだったら、EMIレーベル、Capitolレーベル、Virginレーベルなどなど、いろんなレーベルがあるんだけれども、「その傘下にあるすべてのレーベルから出てる、すべての作品が対象になる」と思ったほうが無難だろうと。
で、あのーきっとね、小売店も輸入業者もみんなそういうふうに思ってて、「このタイトル入れたら引っかかるかもしれない」って思ったらおそらく「入れない」、あるいは「枚数をすごく少なくする」、もし何かあっても「損しないように」という、みんなが消極的な姿勢になっていくことは、大体見えてくるんですね。
同質問者>それは反対の人の意見で、賛成の人は何も言ってないんすか? それは反対の人が悪いこと――てかリスク、リスクを考えているわけで。
高橋>えっとーあのー、さっきいま「レコード」っていう言葉が出ましたけど、あのー文化庁の吉川課長でしたっけ? は、えっとー「CDとアナログは同じように扱う」って言ってますね。だからあのーCDで国内盤が出てるものは、少なくともアナログレコードは入れられませんよね。その、賛成側の人の言葉に従えば。
だからB面にリミックスバージョンが入っていようがなんだろうが、それはーあの、止まると思いますね。
同質問者>やっぱ一番怖いのは、輸入のレコードが買えなくなる――なるのが一番怖くて、そのーレコード聴いててやっぱ、そういう音楽も好きなんですよやっぱ。クラブとか行ってそのDJとかテクノとかハードとか、あーいうのが掛けなくなったらやっぱ、こうその店も潰れるし、あっすいません(※ 身振り手振りに熱が入りすぎて前の人を直撃)――店も潰れるし、CISCO(※ http://www.cisco-records.co.jp/ )とかあーいうとこも潰れちゃうわけじゃないですか。やっぱそこが影響があるのかないのか、一番知りたいんすよ。日本盤が出てないレコードとか、ああいや、CDとか...
川内>あの先ほどですね、小倉弁護士から説明がありましたけど、表示があるとかないとかは関係ないですね、「日本販売禁止」という表示があるとかないとかは関係ないです。
とにかく「情を知って」という法律のなかの文言がありますけども、この「情を知る」「事情を知っている」というのは要するに、「外国で発売されているものについては、それは外国用のレコードだ」と、あるいは「(同じく)CDだ」ということなんですよ、早い話が。
要するに、外国でプレスされたものについては、日本の国内に持ち込んで生業として使う――業(ぎょう)として使う、あるいは頒布するということに関しては、慎重にならざるを得ない法律の構成になっているわけです。だから、賛成派であろうが反対派であろうが、この法律が通ってしまえば、確実に輸入盤は減ります。
だって輸入して、著作権法っていうのは刑事罰を伴ないますから。これ大変重要なポイントですけども。刑事罰を伴ないますんで、下手したら警察に捕まるんですから。ま下手しなくてもですね、訴えられて警察に捕まるわけですからね。そうすっと、「滅多やたらなことでもこれは大丈夫だろう」と思って輸入したものが、実は「著作権者からあるいは隣接権者から訴えられて警察に捕まりました」ということにならないためには、「なるべく危ない橋は渡らないようにしましょう」となるのが自然のことで、ということは、なかなか日本の国内に入ってくる並...いや輸入盤の種類とか数とかが、ものすごく限定されたものになる、ということなんです。
同質問者?>(日本盤が出てなくても?)
川内>日本盤が出てなくてもです。だって日本盤が出てようが出ていないがですね、あのたとえば、メジャーレーベルなりあるいは日本の国内にあるメーカーがですね、あの売れそうだと思ったら、入ってきてるもの「いや、これは日本盤出すつもりだったんだ」って出しちゃえばいいんですよ。
バラカン>あ、「インディーズもの」は引っかかりませんよ。これはまったく別の話です。
ま、何もレコード会社がCISCOを潰すとかね、アナログ盤の市場をあのー潰してしまうとかね、そういうふうに考えているとはとても思えないんですけども。ただこれがもし法律になってしまったら、何がどう発展するかはわからない。で、それではもう手遅れだから、いまのうちにこれを阻止しないことには、弊害がたくさんあって良いことは何もない。これだけは言える。
[音声02:16:11]
バラカン>えー他に...はい、そちらの方。
会場から質問>あのーちょっと、話題がちょっとずれるかもしれないんですけれども...
(※ CCCDの話。このあと場内はさらに沸く。)
身近な人の偉大さは半減する -- あるアレゲ人