yasuokaの日記: 1点しんにょうの辻と2点しんにょうの辻 7
日記 by
yasuoka
『JIS2004日本語文字セット規格参加者は全員、頭を丸めて土下座せよ』にもコメントしたが、「1点しんにょうの辻」と「2点しんにょうの辻」のどちらがJISに例示されてるか、ってのは、微妙にややこしい問題だったりする。これは「辻」がいわゆる国字だからで、それゆえに『康煕字典体』という概念が及ばなかったりするのが遠因だが、とりあえずJISの規格票とその周辺を、順に追ってみることにしよう。
JIS漢字の原案にあたる『情報交換のための漢字符号の標準化に関する調査研究報告書』(日本情報処理開発センター, 1976年3月)では、36区52点に「2点しんにょうの辻」が収録されていた。字体典拠とした『新字源』(角川書店, 1968年1月)が「2点しんにょうの辻」(検字番号8212)を収録しており、かつ『標準コード用漢字表(試案)』(情報処理学会漢字コード委員会, 1971年10月)も「2点しんにょうの辻」だったのだから、原案委員会としては当然だろう。ところが、1978年1月1日制定のJIS C 6226においては、36区52点の例示字体は「1点しんにょうの辻」だった。しかしながら、これはJIS原案委員会が意図した字体ではなく、第4刷に附属の『正誤票』で「2点しんにょうの辻」に訂正された。
それにもかかわらず、JIS C 6226の1983年9月1日改正版では、36区52点の例示字体がまたもや「1点しんにょうの辻」となった。1983年9月1日制定のJIS C 6234が「1点しんにょうの辻」を規定しており、それにJIS C 6226も合わせたものだった。1984年10月1日制定のJIS C 6232も「1点しんにょうの辻」だった。1987年3月1日にJIS C 6226、JIS C 6232、JIS C 6234は、規格番号がそれぞれJIS X 0208、JIS X 9051、JIS X 9052と変更されたが、「1点しんにょうの辻」は変更されず、そのまま現在に至っている。
これに対し、1995年1月1日制定のJIS X 0221では、U+8FBBに「1点しんにょうの辻」と「2点しんにょうの辻」が併記されており、これら2種類の字体が同じ文字コードに統合されている。これはISO 10646における、当時のCJK unificationを踏襲したものであり、Unicodeも同様だった。
一方、2000年1月20日制定のJIS X 0213では、1面36区52点に「1点しんにょうの辻」が例示されていた。ところが『表外漢字字体表』(国語審議会答申, 2000年12月8日)が「2点しんにょうの辻」を印刷標準字体と定めたため、JISは「辻」の例示字体の変更を迫られた。そこでJIS X 0213を2004年2月20日に改正し、1面36区52点の例示字体を「2点しんにょうの辻」にした。ただし、JIS X 0208はあえて改正せず、したがって「1点しんにょうの辻」のままとした(JIS X 0213:2004の「解説2.9 JIS X 0208について」(pp.44-47)参照)。
結局のところ、JIS X 0208は「1点しんにょうの辻」を、JIS X 0213は「2点しんにょうの辻」を、JIS X 0221は両方を、それぞれ例示しているのが現状だったりする。ちなみに「2点しんにょうの辻」は、2004年9月24日に『子の名に使える漢字』となり、戸籍事務においてはいわゆる「正字」扱いとなったが、「1点しんにょうの辻」はそうなっていない。
JIS漢字の原案にあたる『情報交換のための漢字符号の標準化に関する調査研究報告書』(日本情報処理開発センター, 1976年3月)では、36区52点に「2点しんにょうの辻」が収録されていた。字体典拠とした『新字源』(角川書店, 1968年1月)が「2点しんにょうの辻」(検字番号8212)を収録しており、かつ『標準コード用漢字表(試案)』(情報処理学会漢字コード委員会, 1971年10月)も「2点しんにょうの辻」だったのだから、原案委員会としては当然だろう。ところが、1978年1月1日制定のJIS C 6226においては、36区52点の例示字体は「1点しんにょうの辻」だった。しかしながら、これはJIS原案委員会が意図した字体ではなく、第4刷に附属の『正誤票』で「2点しんにょうの辻」に訂正された。
それにもかかわらず、JIS C 6226の1983年9月1日改正版では、36区52点の例示字体がまたもや「1点しんにょうの辻」となった。1983年9月1日制定のJIS C 6234が「1点しんにょうの辻」を規定しており、それにJIS C 6226も合わせたものだった。1984年10月1日制定のJIS C 6232も「1点しんにょうの辻」だった。1987年3月1日にJIS C 6226、JIS C 6232、JIS C 6234は、規格番号がそれぞれJIS X 0208、JIS X 9051、JIS X 9052と変更されたが、「1点しんにょうの辻」は変更されず、そのまま現在に至っている。
これに対し、1995年1月1日制定のJIS X 0221では、U+8FBBに「1点しんにょうの辻」と「2点しんにょうの辻」が併記されており、これら2種類の字体が同じ文字コードに統合されている。これはISO 10646における、当時のCJK unificationを踏襲したものであり、Unicodeも同様だった。
一方、2000年1月20日制定のJIS X 0213では、1面36区52点に「1点しんにょうの辻」が例示されていた。ところが『表外漢字字体表』(国語審議会答申, 2000年12月8日)が「2点しんにょうの辻」を印刷標準字体と定めたため、JISは「辻」の例示字体の変更を迫られた。そこでJIS X 0213を2004年2月20日に改正し、1面36区52点の例示字体を「2点しんにょうの辻」にした。ただし、JIS X 0208はあえて改正せず、したがって「1点しんにょうの辻」のままとした(JIS X 0213:2004の「解説2.9 JIS X 0208について」(pp.44-47)参照)。
結局のところ、JIS X 0208は「1点しんにょうの辻」を、JIS X 0213は「2点しんにょうの辻」を、JIS X 0221は両方を、それぞれ例示しているのが現状だったりする。ちなみに「2点しんにょうの辻」は、2004年9月24日に『子の名に使える漢字』となり、戸籍事務においてはいわゆる「正字」扱いとなったが、「1点しんにょうの辻」はそうなっていない。
同字問題について (スコア:1)
旧姓ははしご高の(いちいち本人も登録してないので出ない)ですとか、今の姓はあの(特定文字)ではなく(こっちの特定文字)です。とか、いちいち説明する場面と説明する必要のない場面が混在している現状に対してどうお思いでしょううか?私自身が感情論でコメントしてますので
えーと。地方自治関係の6桁の(特殊な)漢字コードってありましたよね。 あのあたりを解決しない限り、どの字をどの字にMapするかという問題だけでおわってしまうのではないかと無知な私としては思う次第で。コメントをつけるにしろ疑問文でおえるのはやめろと自覚はしておりますが、質問させていただきました。
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Re: 同字問題について (スコア:1)
Re: 同字問題について (スコア:1)
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Re: 同字問題について (スコア:1)
Re: 同字問題について (スコア:1)
ちゃんとした堂々巡りをしないとこういう独自研究が増えてしまうということですね。きっと私のようなものみたいなタイプ
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Re: 同字問題について (スコア:2, 参考になる)
Re: 同字問題について (スコア:1)
資料ありがとうございました。勉強続けます。
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