リン価格高騰で国内農業はどうなる 149
ストーリー by Acanthopanax
NPK 部門より
NPK 部門より
kazuhix氏の日記「Pを軸に食物自給率の意義を考えてみた」を見て、すでに土台は崩れていたのかと思いながらリンについて調べてみたところ、20日の毎日新聞では、「全農:化学肥料卸値、2倍 過去最大の上げ幅--来月以降」というニュースが報じられている。売るということは調達はまだできているようだが、「店頭から国産野菜が消える? 米・中が肥料の輸出を実質禁止」と報じられるような状況であり、かなり深刻である。
では昔のように肥溜をというような話はどうかというと、周辺では問題を認識して対応していたようで、日本下水道事業団の「枯渇が予想される貴重なリン資源の長期的安定確保」(PDF)のような活動もある。ただし、これを見ると、下水処理場に流入するリンの量は輸入量の10~20%らしいので、下水での再利用は急務だとしても、サイクルになるまでは難しいようだ。残りはどこに消えてしまっているのだろう。
養豚 (スコア:5, 興味深い)
鶏糞ボイラーの灰 [ja-shizuoka.or.jp]も有望だそうです。肉骨粉や古くはクジラの骨 [doshisha.ac.jp]など有機肥料の元肥には事欠かないにしても、追肥の化成肥料の原料には難点が多いようです。
聞いた話 (スコア:5, 興味深い)
その人の国は貧乏で、農作業に牛をつかっているが、子供を学校に行かせるために
牛を売ることになった。
牛は日本に売られていくということで、日本人が食べているのだと思っていた。
日本にきて、自分の売ったような牛はペットフードになっているのを知り、
子供にも食べさせずに売った牛がペットのえさになっているだなんて、
私は国に帰ってからどのように周りの人に伝えればいいのだろう、と語ったそうな。
将来、肥料が買えなくなって商品価値の低い作物しか作れなくなったら、
食べるのをガマンして輸出した日本米が動物の餌になる、といった逆の立場になるのかもしれませんね。
タイ米輸入のときみたいに。
Re:聞いた話 (スコア:3, 参考になる)
>タイ米輸入のときみたいに。
93年の米騒動の時にタイから輸入されたインディカ米は、古米&古古米です。
農産物が豊富なタイにおいて、古米古古米は人間が主食で食べるものではありません。
(古米、古古米要請は日本政府からのものでしたが)
なのでズレてますよ、そのコメント。
Re:聞いた話 (スコア:1)
たとえとしては不適当ですね。
Re:聞いた話 (スコア:1, 参考になる)
Re:聞いた話 (スコア:3, 参考になる)
Re:聞いた話 (スコア:1)
Re:聞いた話 (スコア:2, 興味深い)
日本のよい米はブランド品としてアホみたいに高い値段で中国で売られています。日本の富裕層人数より中国のそれのほうが多いとかで。
リンの高騰→農作物の高騰→買い付けで中国に負けてさらに高騰、というシナリオを考えた。何かに似てると思ったらこのところの鉄とかと同じ。自動車ボディや家電用の薄板は中国製はいっぱい製鉄してるけど低品質で使えないし、と聞いた。
ヽ( )`ω´( )ノ
Re:聞いた話 (スコア:2, おもしろおかしい)
本日の朝食は、
・ライス
・『豚の餌』のペーストを溶いたスープ
・塩化マグネシウムで固めた『豚の餌』の煮汁、
『豚の餌』のソースをかけてお召し上がり下さい
・腐った『豚の餌』
同じく『豚の餌』のソースをかけてお召し上がり下さい
そんな感じにアメリカ人からは見える。
>逆の立場になるのかもしれませんね
それはない。
味覚的な価値以前に、日本では土地と人のコストが高すぎるので輸出が成立しないと思う。
#人件費は経済衰退で安くなる事はあるかもしれないが土地が足りないのはどうにもならない。
というか、国内でそれに似た状況が既に起きている。
ブランド力に乏しい地域が飼料用米の生産を迫られる事がある。
収入もモチベーションもかなり落ちるらしい。
Re:聞いた話 (スコア:1, すばらしい洞察)
白人しか住んでいないようなど田舎に住んでいるアメリカ人はそう思うかもしれないが、あまり適当な一般化はしない方がいいよ。
ちなみに、大豆や豆腐はかなりポピュラーになってきていて、ちょっとアップスケールなレストランだと、サラダやベジタリアンものにはよく豆腐が入っています。
唯一の資源が枯渇して没落した国 (スコア:4, 興味深い)
この島が示唆するように、元々貴重な上に新たな発見が難しい資源であり、
下水処理場のような都市鉱山を活かすことを真剣に考えねばならない時代が来ていますね。
モデレート したいときには 権利なし
かつかれー
外国から買ってこい、だってさ。 (スコア:3, すばらしい洞察)
それが、ちょっと油が上がっただけで、とたんに生活苦だの、これだけ混乱するんですよ。
金持ちだってことに慢心せず、もっと慎重になったほうが良い。
Re:外国から買ってこい、だってさ。 (スコア:2, 興味深い)
「金があるんだから外国から買ってくればいい」というのは好意的に解釈すれば、
自動車や家電を輸出したお金で農作物を輸入すればいい、という意見でしょう。
ちなみに、日本で作った自動車や家電を外国が輸入するためには、何かを日本に輸出しなければいけません。
直接日本と取引が無くても、日本と取引のある国と取引をして、日本円と交換可能な貨幣を入手する必要があります。
交換である、という原則を踏まえてみますと、何も外国から購入しないのなら、何も外国には輸出できません。
自給を増やす努力というのも、産業間・国家間の相互作用をまとめてみれば、他産業の輸出を減らす努力になります。
それを踏まえた上で、希少資源の価格変動リスクとどの様につきあってゆくのか、慎重に考えた方が良いですね。
Re:外国から買ってこい、だってさ。 (スコア:1)
技術が頭打ちだと仮定すると、
無限に生産出来て真似できないものとしては
文化や観光ってことになるんでしょうか。
私は技術は青天井だと思ってますが。
農業以外でも (スコア:3, 興味深い)
ここでいう金属表面処理って何かというと、主に鉄などの金属をリン酸に漬けて表面にリン酸鉄系の皮膜を成長させて、錆びにくくしたり、塗装処理しやすくしたりすることです。主に自動車ボディーの部品とか、スチール系の製品で主に行われています。
リン酸鉄皮膜 [jpo.go.jp]
リン酸塩処理 [parker.co.jp]
金属の表面にだけ皮膜がつけばいいのでリン酸の消費量はちょっとでいい、というわけでもなく…
処理中に表面から剥がれた皮膜とか溶け出した鉄イオンとかで、だんだん処理液がヘタってしまうため定期的に処理液を交換しないといけないんですよ。そうすると、結局は大量のリン酸が排水となってしまいます…。
農業用のリンの使用量に対して、こういった産業用での使用量がどれくらいかは分からないですけど、リンの値上げはいろんな方面に影響が出そうですね。
排水で捨てるの勿体ない (スコア:3, 興味深い)
加熱するのにコストと環境負荷がかかるけど。(あとあらゆる金属もガラスも酸化リンで腐食するので炉の材料が大変だけど)
#金がリン酸塩に一旦溶けて、取り出したリン酸塩試料の中に、6角形の単結晶が浮いてたときは、びっくらこいた
海水から回収するしかないのか (スコア:2, 興味深い)
下水処理場を通らないで海に流れて行ってるのかも
東京湾の富栄養化とかの改善になるような回収方法が確立されると良いのですが.....
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惑星ケイロンまであと何マイル?
Re:海水から回収するしかないのか (スコア:3, 興味深い)
・農作物に吸収されずに雨水等で流れて行ったリン
・農作物出荷されなかった部分(葉と茎と根とか、キャベツの外側の葉っぱとか)
・流通過程で捨てられたもの(たとえばキャベツだと流通過程で葉っぱが1~2回剥かれる)
・非可食部で調理の際に捨てられたもの(皮とかヘタとか野菜の芯とか)
・食べ残し
・賞味期限切れなどで捨てられたもの
もろもろを削ってゆくと、下水に見つかるリンが10~20%というのはある程度納得できるかと。
高騰しているのはリンだけではない (スコア:3, 参考になる)
7月からのJA新肥料年度では、さらに大幅な価格上昇が見込まれています。
化学肥料の使用量を減らし有機肥料への転換を目指しても
堆肥などの有機肥料全般の価格も上昇してきていて・・・。
原油価格の高騰や低迷する価格と相まって、日々苦しくなっているのが実情です。
# 好き嫌いをせず、全部残さず食べなきゃダメだぞ☆
♪この頃流行りの女の子~ (スコア:2, おもしろおかしい)
Re:海水から回収するしかないのか (スコア:1)
それ以外の場所で出た屎尿はバキュームカーで集めて海に捨てたりしてます。
#下水処理施設にしても大雨なんかで増水すると、
それで薄まっちゃうので処理せずに流したりしてますけど。
Re:海水から回収するしかないのか (スコア:1, 興味深い)
いまから全国に農業排水路を巡らせて、廃水処理場を作るというのも現実的ではありません。
廃水処理に必要な薬剤やエネルギーも馬鹿にならないので、同じ金がかかるのであれば
空いた農地にでも野菜工場を建設して、リンが溶け込んだ農業用水を循環使用するほうが
リンの取りこぼしも少なくて合理的と思うんですけどね。
野菜工場なんて兼業農家ができるようなものではないので、今以上に大規模農家や農業生産法人を
優遇することになりそうですが、票田に頼る政党が実現するのは無理でしょうね。
農水省は大規模農家/法人に対して補助金を交付する政策を採って、農業の大規模化を
図っているようですが、零細だけど多数の農家から反発くらってるようですし。
彼らの思惑 (スコア:2)
つまり、こう言ってるわけですね。冗談抜きで。
米「野菜や米を食べるのを減らして米国産牛肉を買え」
中「野菜と米は中国から輸入しろ」
地球の定員 (スコア:1)
Re:地球の定員 (スコア:3, 興味深い)
多分、使ったリンは最終的には海に流れ込んでいるので、鉱石が少なくなってきたら海(海生生物)から抽出することになるんじゃないかと思います。どこかの時点で、鉱石の調達コストと海からの抽出コストが逆転するのでしょう。
「海(海生生物)から抽出」の例 (スコア:5, 参考になる)
Re:地球の定員 (スコア:5, 参考になる)
ラッカセイに学ぶリン資源の有効活用 [sekisui.co.jp] 新しい「農」のかたち [new-agriculture.net] ともあれ、農業的には、土壌中に蓄積したリンの回収、再利用が課題になっているようで。
Re:地球の定員 (スコア:5, 参考になる)
そこで、アーバスキュラ菌根 [affrc.go.jp]の活用ですよ。
こんな研究 [affrc.go.jp]もされているのようですので、農業試験所系の研究機関では取り組みが行われているようです。
まぁ、畑違いの民間研究者には現状は分からないので、きっと見ているであろう研究者の方、フォローお願いします。
#おお、10年くらい前に会社の研究テーマに上げた話題だ。
##でも企業研究向きじゃないって却下だったんですよ・・・。
経済効率偏重のツケ(Re:地球の定員 (スコア:5, 興味深い)
土壌や湖などにはかなりのリンがすぐには使用出来ない形で残っているし、海洋でも余剰になったリン分が生態系の内外に蓄積されているんだから、これを長期的な再利用を前提とした形で使わない手はない。
有機農業などの試行錯誤や手間の掛け方と科学的な研究のリンクを十年レンジで行うことによって今「資源が…食糧が…」と騒いでる内の少なく見積もっても半分程度は確保できるんじゃないかと思いますけど。
# 江戸時代〜明治前期の農業・漁業の規模や手法で賄える人口は6000万人程度であった。と言う説に沿っています。
# 金やタンタルなどのレアメタルが相当量ゴミや産廃として残されてる事もバカには出来ない。
今の農業政策では企業化と採算性の向上が推進されていて、この政策のままで行くと一割程度の農家しか生き残れず、それについても一部の15ha程度の農地を確保できる農家以外は企業の下請けとして売れるものを生産する「使い捨て農家」になる。と三年前に某大学の農業学者さんからレクチャーを受けましたが、
今やっと問題化されていますけど、耕作地1ha以下の農家をどうやって維持するか。採算性を回復させるのか。と言うのが課題だともそのレクチャーで言われてはいて、
そうなると過去のように化学肥料と農薬を大量投入して土地を痩せさせながら大きな収量を維持して自転車操業するか、それとも土地に無理がかからない程度の収量で採算が取れるように価格調整を行いつつわずかでもフローを増やしていくかの二者択一になってしまうかと思います。
この部分で、「土地を痩せさせながら大きな収量を維持して自転車操業する」と言うやり方自体が予想外に早く手詰まりを見せてるということではないかと…
80年代に米や麦だけではなく蜜柑や甘夏などまで一律に減反が始められた時から一貫している私自身の考えでもあるんですが、土地に無理がかからない農業で採算が取れるようにすると同時に数十年間かける覚悟で放棄された農地を回復して農業従事者を増やす以外に現在の窮状を凌ぐ手段じはないんじゃないかと思いますけど…
研究にゴーサインが出ていたら、今頃会社も専門の事業部立ち上げて外国に高く売って大儲け出来たでしょうに…どこの企業も政府も見る目と言うかこの手の長期戦略を基準とした冗長性を捨てて、短期収益重視に走ってしまうから戦略的に行き詰まる。
どちらにしても、経済効率・特に短期収益(農業の場合には一年間の収量)を最大重視して、将来の手数を増やすのに貢献している場合が多い長期戦略や基礎研究やローテクの維持が疎かにされたツケが21世紀になって一気に吹き出してるとは思うし(農業に限らず下請けの町工場を潰して回すような経済政策は大失策)、一人でも多くの人を将来生き残らせるには今までの轍を踏まないで経済面でのやり方を根本転換するしか道がないのではないか。と悲観的に思ってしまうのですが。
Re:地球の定員 (スコア:1)
骨の主成分はリン酸カルシウムですから。
生態系は元素の環流でもあるのに、死骸を生態系に返さず一カ所に埋め立てたりするので滞留してしまってるんでしょう。
夢の島とか、生物を構成していた元素が環流されないまま、大量に埋まってるんじゃないですかね?
Re:地球の定員 (スコア:2, おもしろおかしい)
可燃・不燃・紙・プラ・金属・骨
とかになるんでしょうか。
Re:地球の定員 (スコア:3, 興味深い)
下水でリンを回収するより、小魚や海草の形で海から取り出す方が楽かも。
Re:地球の定員 (スコア:1)
今こそ、自給自足 (スコア:1, 興味深い)
土地は、耕作放棄地を活用しましょう。
まだまだ、日本は生き延びられます。
Re:今こそ、自給自足 (スコア:1, すばらしい洞察)
Re:今こそ、自給自足 (スコア:3, 興味深い)
たいしたことしてないけど、野菜は買わなくてもよくなりました。
>たちまち、初期コストだって個人相手には"どこ"も貸してくれないよ。
日本語で書いてくれ。
それはともかく、耕作放棄地は隣のじーさんがタダで貸してくれました。
ほっといて土地がやせてしまうことを考えたらタダでも貸す方が利益が大きいと言ってますよ。
>日本みたいな地形の場所で、誰が手を出すの?
え?俺が畑つくってるのって日本じゃないのか?
#やらない理由を必死で探すバカは国外に追放してしまえ
Re:今こそ、自給自足 (スコア:3, すばらしい洞察)
最終的な産地は国内でも飼料・肥料・燃料等も含めて見ると、私はあなたほど楽観的にはなれません。
Re:今こそ、自給自足 (スコア:1)
--------------------
/* SHADOWFIRE */
結局はエネルギー問題 (スコア:1, 興味深い)
対してリンに限らず鉄でもアルミでも、鉱物資源は使った後は宇宙の彼方に
消えて無くなってしまう訳ではないのでリサイクルすればいいんです。
ただしリサイクルにはエネルギーが必要なので最後はそれが問題になります。
本当はエントロピーの問題(Re:結局はエネルギー問題) (スコア:2, 参考になる)
ただ、化石燃料は有機化合物が低いエントロピーに保たれた形態で、それが高エントロピーの二酸化炭素に分解される過程でエネルギーを放出するので、石油の消費とリンの「消費」との間に根本的な違いはありません。
環境問題におけるエネルギーは物理や化学でいうところの「ギブスエネルギー」を使うべきであり、その中にはエントロピー項があります。石油の燃焼もリンの拡散も、ギブスエネルギーに関しては同じですね。
深謀遠慮 (スコア:1, 参考になる)
肥料化 [nifty.com] 飼料化 [affrc.go.jp]
Re:深謀遠慮 (スコア:1, すばらしい洞察)
今の天皇が死んだら、平成天皇という称号を得ることになる。
本人が見たら(見ないだろうけど)、俺はまだ死んでねぇ(意訳)と苦笑するかもしれません。
Re:深謀遠慮 (スコア:1)
陛下と言えばハゼ [kunaicho.go.jp]の研究を忘れちゃいけません.
海草からリン (スコア:1)
半農半漁の貧しい島という描き方でした。イギリスにこういう島があるのかと驚きました。
ほとんど土壌のない石灰岩質の不毛の島で農業を営むために、海草を地面に巻く。
島の周囲は断崖なので海辺で海草を採って農地にする予定の土地に運ぶ島民の姿が、シジフォスの苦行のようでした。
資源が散逸した未来の人類の姿??
Re:海草からリン (スコア:3, 参考になる)
ただし、循環する資源としては主に窒素であり、リンはホシカ [kanagawa.jp]ほどは水草はないだろうが。
Re:海草からリン (スコア:2, 参考になる)
アイルランドの存在を忘れないでください。
本島のアイルランド島も農耕地にはあまり恵まれてなく、石だらけの土地が結構あるんですよね。
荒れ地でも育てられるジャガイモをせっせと作ったらこんな事 [wikipedia.org]になっちゃうし・・・
くじら (スコア:1)
Re:リンっつったらあーた… (スコア:1, おもしろおかしい)
Re:リンっつったらあーた… (スコア:1)
Re:化学肥料から無機肥料へか? (スコア:1)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%82%A5%E6%96%99 [wikipedia.org]
外国産との価格差はありますけど、できるだけ地産地消でいきたいですね。