
DARPA、抗生物質の代わりとなる医療の研究を要請 13
ストーリー by reo
抗生物質が許されるのは21世紀までだよねー 部門より
抗生物質が許されるのは21世紀までだよねー 部門より
danceman 曰く、
病原体をやっつけるのに抗生物質を使うのは時代遅れとなる日がやってくるのかもしれない。抗生物質への耐性を獲得した薬剤耐性菌は、治療不能な病を引き起こす可能性があり人類の新たな脅威となっているが、米国防高等研究計画局 (DARPA) が、抗生物質の代わりとなる医療の研究を推進しようとしているようだ (本家 /. 記事、Wired.com の記事、DARPA FY12.1 の SB121-003を参照のこと) 。
なかでもナノ医療に基づき siRNA を封入したナノ粒子を使用してウィルスと闘うための研究に注目しているという。同研究は突然浮上したものではない。既に昨年、ボストン大学の Thomas Giesbert 氏率いる研究チームが、実験用サルでエボラウィルス予防の実験に成功している。同研究チームがエボラウィルスを標的とする siRNA を封入したナノ粒子を実験用サルに投与したところ、エボラウィルス感染を予防することができたという (Genomics, Evolution, and Pseudoscience の記事)。
おおざっぱなwired.com記事ですね (スコア:3)
wired.comの元記事を斜め読みしただけですが。
薬物そのものの質の話と、薬物を病変部に届ける
「薬物伝達システム」の話がいっしょくたにされている印象。
でまた、対ウイルスが研究の主目的であるのに
wired.com記事ではウイルスも細菌も、いっしょくたになって
妄想だけで飛躍している印象。
この研究ひとつがたとえ成功しても、
抗生物質が世の中から消えるまでにはあと500年は必要でしょう。
健康保菌者とか (スコア:2)
エボラウィルスもって元気に逃げ回る猿は勘弁してください
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惑星ケイロンまであと何マイル?
Re:健康保菌者とか (スコア:1)
単純化して考えれば (スコア:2)
抗生物質=電界ナイフ
siRNA を封入したナノ粒子=電磁界接着剤
と考えればいいのでしょうか?
どちらも、病原体近傍のの電磁界パターンに反応して、病原体を切り裂くか、くっついちゃうか。
切り裂くと、切り裂かれた断片同士が再結合して機能を取り戻し、その上、二度と切り裂かれないような原子配置を獲得して薬剤耐性菌になる確率が
ある、みたいな感じ?
くっつく方は、互いの特定の原子間で共有結合するのか、磁気双極子の磁力でくっついちゃうなんてこともあるのかなあ。
どちらにしても、スパコンはいるよね。
言いたいことはわかるんだけど (スコア:0)
うん、まあ、言いたいことはよくわかるんだけど、「抗生物質が云々」と書いた後に例としてウィルス持ってくるのは話の流れとして変だよね。元々抗生物質はウィルスに効かないんだから。
#タレコミ文が変ってだけで、元のDARPAの公募や研究が変だというわけではない。
Re:言いたいことはわかるんだけど (スコア:3)
私も、なんで抗生物質の代替医療でウィルスの話が出るのかと思ってWIREDの記事を流し読み。エボラ云々はWIREDの記事のほうには書かれていますが、DARPAの資料では書かれていませんね。
で、こんな理解で合っているでしょうか。
DDS自体に耐性を獲得でもされない限りはバッチリ?
Re:言いたいことはわかるんだけど (スコア:1)
元コメACです。
>小さな粒子に、特別にデザインした siRNA を運ばせる(ドラッグデリバリー)。小さな粒子なのでどこにでも届く。
ドラッグデリバリーですんで、これに加えて、目的とする場所に届きやすい(例えば炎症反応をターゲットにする、とか)ってのも多分組み込まれるかと。
>siRNA は対象の病原体の細胞壁だとか病原体に特異な分子に対して作用するのではなく、遺伝子(の発現)そのものをターゲットとする。ターゲットに合わせてデザインすれば細菌にも効くし、ウィルス(に感染した細胞)にも効く。
研究例として確かインフルエンザなどのウィルスを対象としたもの、結核などの細菌を対象としたものの両方あったと思うので、おそらくその通り。抗癌ってのもあったかなあ。
でもよく見る研究は対ウィルスなので、もしかしたら制限とか効きやすさに差があるかも。
昔のうろ覚えの知識によれば、
二本鎖RNA(を含む薬剤)を投与
↓
細胞内には通常二本鎖RNAは存在しないので、異物として短いRNAへと切断(siRNAの生成)
↓
専用のタンパクがsiRNAを取り込み一体化、相補的なmRNA(通常これはウィルスなどの病原体由来)に特異的にくっつく複合体を形成
↓
くっついたmRNAを片っ端から切断
↓
病原体の活動を阻害
とかそんな感じだったはず。
……でも、うろ覚えだし、この分野の進展も早いんで詳しい人フォローよろしく。
>siRNAはターゲットの病原体が明確になりさえすれば迅速にデザインできる。
ここは必ずしもそうではない。
siRNAの配列によっては効きが悪いとかそういう話があったはず。末端の塩基の種類に依存するとか、なんかいろいろ説があったような。
だから必ずしも作ったら則効く、とは限らない。
また、塩基配列部分が長いと免疫反応を強烈に引き起こして細胞死を誘発するんで、あまり長い配列は使えない(だからsiRNA-Small Interfering RNAを使う)。20-30塩基ぐらいが限界。
また導入時に使う二本鎖RNAは体内で迅速に分解されるんで(何せ典型的な異物)、投与方法だとか効果時間だとかその辺も考える必要があった……ような。
>DDS自体に耐性を獲得でもされない限りはバッチリ?
標的としているmRNA(に関わる)部分が変わると駄目とかはあるかも。
あとこの手のsiRNA的な防御反応は生物が元々持っている防御反応(最初に生じる二本鎖RNAが、元々のウィルス由来の場合を考えれば良い)なので、進化の過程でウィルス側もこれを回避する機構を持っていたりする。RNA干渉抑制タンパクとかそんな感じだったかな?こいつはsiRNAなどの分断されたRNA小片をトラップすることで、それ以降の免疫系によるmRNAの分断プロセスを抑制する。
Re:言いたいことはわかるんだけど (スコア:2)
ありがとうございます。うーむ、抗生物質に代わる選択肢の一つになるには、ブレイクスルーがいくつか必要そうなのですね。
もちろん、困難ではあるものの、もしモノにできれば有用そうだからこそ今回のように「そうした目標に向けた研究を推進しよう」という要請が出てくるのでしょうけど。
Re: (スコア:0)
スラドで生物学・医学の分野を出す場合、細かいメカニズムは不要かと。
すぐれたドラッグデリバリーシステムがあれば・・・ということだと思います。
siRNAの合成にはとんでもなくお金がかかるので、それもどうするんだろう。
Re: (スコア:0)
いやいや、別分野で飯食ってる元学生としては#2055497みたいなコメントは楽しく読めてありがたいです ;-)
Re: (スコア:0)
siRNAって細菌でも有効なんでしたっけ?
ウイルスに対しては被感染細胞経由で効くと思いますが、ウイルスの変異率が高いとすぐに抵抗性になってしまうような気もします。
なんてことをしてくれるんだ! (スコア:0)
青カビを保有、育成する大義名分がなくなっちゃうじゃないか。
核酸を使わなくても (スコア:0)
ファージ療法 (WIRED.jp Archives [wired.jp], Wikipedia [wikipedia.org]) でいいんじゃね。