
「オリジナルと同じように撮影」した写真、著作権侵害と認定される 104
ストーリー by hylom
分かるような分からないような 部門より
分かるような分からないような 部門より
capra 曰く、
オリジナルをそのまま複製した訳では無いが、インスパイアして撮影されたと思われる写真が著作権侵害にあたるという、英国で下された判決が本家/.で話題を呼んでいる。
2つの写真は同じ場所で撮影され、同じ題材を扱っており、そして同じ後処理が加えられている。ただし撮影角度および構図は異なっている。難しい決定であるとしながらも「再生された要素の質的評価」が判決の要となったとされている。元の写真は「熟考された選択および処理が施されている」、単なる写真とは異なる「写真的作品」であり、これらの要素が複製されたというのが今回の判断だそうだ。
ちなみに知的財産に詳しいJane Lambert弁護士はこの件に関し、自身のブログにて「論理は理解できるが、この判決は表現の著作権ではなくアイデアの著作権を保護するというのに非常に近づいており、とても気掛かりである」と述べているそうだ。
問題の2点の写真は元記事に掲載されている。/.Jerの皆様はこの件をどう見る?
写真はもともとこの手の問題は多い (スコア:4, 参考になる)
写真自体は一応二百年近く前からあるんだけどもともとオリジナリティーにかけては”?”がつきやすい。
あまり知られていないけど実は写真が芸術として認知され始めるのは実は1980年あたりから。
* シュールレアリズムの作家の写真とかはそれなりに探せば一応あるんだけど。一般的に1980年くらいからと言われる。
* ここでの芸術の定義が難しいけど省略 :-p
とりあえずなぜ1980年からと言うと、このあたりに大物の写真作家を生み出す展覧会がメトロピクチャーズギャラリーで開かれるからなんだけど、この時のメンバーが結構みそだったりする。
写真家をあげるとCindy Sherman、Richard Princeと Sherrie Levineという名前が上がるんだけど、どういう作品で有名なのかというとアプロープリエーション [wikipedia.org]で有名な作家になる。
例えばSherrie Levineの作品で有名なのはWalker Evansの写真を撮りなおす作品。(今だったらある意味スキャンニングした的な感じで)
一応この作品は著作権的には確か問題はないんだけど、一般的な意味でのオリジナリティーはかけらにも残っていない。(元ネタのWalker Evansの作品が世界恐慌時の政府の芸術家支援プログラムの支援で撮影された作品だったからかな?たしか??)
そんなこんなで他にもいろんな理由があるのだけど写真は芸術史に組み込まれた時点で著作権的には”?”が付いているというお話。
まーついでになんでSherrie Levineの作品が作品として意味あるのかは簡単に説明すると・・・
アートの制作は男性的なものだった。(だから歴史的に男ばっか)
特にモダニズム(美術史的に約1950年以前)というものは超マッチョな芸術だった。
そして一人の天才作家の独創性・オリジナリティーという概念はマッチョと結びついていた。
だからそれらを迂回すること(複製すること)はマッチョでファラティック(男根的)なものを回避する。
よってその当時のポストモダン的状況ににふさわしいフェミニスト的な芸術になる!
・・・って感じだったと思う。
上記を統合するとこんな結果 [wordpress.com](特に中上段・一応裸体なので閲覧注意)になる。
前にも似たこと別のとこで書いたし、教科書チックですまん。
訴えた方もパクりなんじゃないの? (スコア:3, 参考になる)
モノクロのビッグベンにダブルデッカーだけ赤い写真なんて結構な人が思いつきそうだけどなぁ。
検索結果 [google.co.jp]
日本の方が先行事例あり (スコア:2, 参考になる)
小林伸一郎氏・廃墟写真【盗作盗用検証】サイト [kesagiri.net]
丸田祥三裁判、判決の解釈 - Togetter [togetter.com]で棄却。
米国の1914のヌード写真事件が最初です (スコア:3, 参考になる)
1914 Gross vs Seligman の有名なヌード写真事件がありまして、それがこの手の判例の最初です。
http://www.studentweb.law.ttu.edu/cochran/Cases%20&%20Readings/Cop... [ttu.edu]
これはあるカメラマンが自分の写真(著作権)を譲渡した後、2年たって同じモデルを使って
似たような写真を撮影・販売し、最初に譲渡した相手から訴えられ、原告が勝訴したものです。
写真表現の創作性を理解していないと感覚になじまないのかもしれませんが、
商業写真の世界では「写真の創作性の意味において同じ写真は先行者の著作権を侵害する」
ということは常識になっていると思います。
Re:米国の1914のヌード写真事件が最初です (スコア:4, 参考になる)
このリンク先の記事にヌード写真はありませんから!
Re:日本の方が先行事例あり (スコア:2)
写真の被写体や構図だけの場合、こういう一致はしばしばあるので、この場合はよくて別の場合はダメという線引きは難しいかもしれない。
タージマハルの画像検索結果@google image
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B8... [google.co.jp]
Re:日本の方が先行事例あり (スコア:1)
線引きは難しいと思いますけどタージマハルのそれは難しくないと思います。
ビートルズの横断歩道なんかも被写体違うから、真似しただけと認定されるだろうことを祈ります。
元の写真はたしかに同じ人が作ったんだよっていわれたらそうかって思っちゃいそう
# yes, fly. no, fry.
Re: (スコア:0)
タージマハールの写真はそこ行った旅行者なら誰でもただ撮るだけでこういう写真になるから、そもそも著作物じゃない可能性がある。
Re:日本の方が先行事例あり (スコア:1)
足尾銅山に一般市民を100人連れて行って、
何人が同じ被写体を選ぶかを調べればいい
んじゃない?それが100人にひとりも居なかっ
たら創作性があるし、100人中10人も居たら、
まぁ、誰でも思いつくってことで
Re: (スコア:0)
タテマエとして裁判官の主観が通常人の主観を代表していることになっていてその主観を原告と被告の双方が全力で押し引きするってのが裁判。
日本の裁判はそういう科学実験はやらないて、
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
鉄道写真の世界だと、同じ被写体をほとんど同じ構図で撮った画像が
各所でアップされるというのはよくあることですね。
Re: (スコア:0)
雄大な雰囲気の写真を見て撮影地点まで行ってみたら、むちゃくちゃ藪の中で木と木の隙間から決まった構図で覗き込むように撮るしかないってことよくあります。
Re: (スコア:0)
じゃあ、上記写真は創作性があるんですか、ないんですか?
Re: (スコア:0)
次から次へと同じようなのを発表はアウトだと思うけどねぇ・・・
Re: (スコア:0)
同じ著作物でも、qvwmとかgimpとかのオリジナルとの酷似っぷりは事実上許容されてるね。
ある時期のKDEやgnomeも(今もか、)一つだけじゃなく次から次へとWindowsアプリケーションを模倣していた。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
ソフトウェアのルックアンドフィールに関しては、真似も黙認されているよね。
インターフェイス等便利な部分は、特許で守れとなっていて、リモコンの音量バーとかジョグダイヤルとかが有名かも。
プルダウンメニューや右クリックにどれだけ特許があるか知らないけど、
ソフトウェアに関しては、機能と使い方が定まるとデザインは必然的に似てくる。
そのあたり、ソフトウェア業界の線引きと共通認識はかなりはっきりしているよ。
Re: (スコア:0)
ソフトウェアのルックアンドフィールに関しては、真似も黙認されているよね。
黙認してねーだろ。Appleとかサイボウズとか。
インスパイアする (オフトピ) (スコア:2)
英語 inspire の意味はご存知のとおり「インスピレーションを与える」なんだけど
これを「インスピレーションを受ける」って意味で使っちゃう言い方はもう市民権を得たんですかね?
初めて聞いてからもう4~5年以上は経つから、すでに定着済みってことなんだろうか。
#そういえば「課金する」って言い方も(ry
Re: (スコア:0)
単に頭の悪い人が本来の意味を無視して連鎖的に使っているだけでしょう。
「オマージュ」なんかもその気配がするな。
Re:インスパイアする (オフトピ) (スコア:2)
Re: (スコア:0)
真逆
Re: (スコア:0)
きっと古館が、早口でしゃべってるときに正反対って言えなかったんだよ。
Re: (スコア:0)
課金は「金を課する」だもんなあ
Re:インスパイアする (オフトピ) (スコア:2)
超亀レスで恐縮ですが、今まさにその言い方が、少なくともモバイルゲーム・ネットゲーム界隈では完全に定着しつつあります。
若い子なんかだと「課金」に「金を払う」以外の意味があるなんて夢にも思ってないでしょう。
そういう“馬鹿”の数は少なく見積もっても1千万人を超えるレベルかと。
アイデアが同じであっても (スコア:2)
一部分だけ着色して、残りはモノクロってよく見かける表現だしなぁ。
例えば「天国と地獄」とか「シンドラーのリスト」とか。
と言うか、アイデアは保護されないので、
それで問題だって言ってるんでしょうけど
TomOne
Re:アイデアが同じであっても (スコア:1)
戦艦ポチョムキンのあれは着色というには難があるのかなあ。。。
// 劇場でフィルム公開時に映写室側を振り返ると…光源が色付だった。とても感心しました。
Re:アイデアが同じであっても (スコア:1)
構図が十分異なるのに (スコア:1)
加工のアイデアを著作権により保護するのはどうかと思う。
日本の判例でちょっと思い出したのは、「スイカ写真事件」 スイカの配置を真似して別のスイカを同じように撮影した事件。著作権ではなく著作者人格権の訴訟ですが。
地方裁ではアイデアしか共通しないと侵害を否定したけど、高裁では表現の共通性を認めて著作権侵害とされました。
ある本では、写真の創作性が高い場合には撮影方法をマネしただけでも著作権侵害になりうるけど、写真の創作性がきわめて低い場合にはデッドコピーに限る、つまり創作性の高低が複製権の及ぶ広さに比例すると書かれていました。
Re:構図が十分異なるのに (スコア:1)
同じく同意です。
リンク先の画像を見ましたけど、写っている「物体」が同じだけで異なる写真だと感じました。
そもそも、被写体として重点が置かれているものが違うように感じるのですが、加工が同じだと見る人によっては同じになっちゃうんですかね;
(自分的には完全に別な写真なので争点になること事態が理解できないという愚痴です)
著作権侵害に当たらないとされた場合の未来の論争 (スコア:0)
「あんたの写真、俺のとそっくりの加工がしてあるじゃないか。著作権侵害だ。」
「いいや、構図が違うだろう。著作権侵害じゃない。前例もある。」
こうして、構図と角度さえ違えば、他人の写真のやり方をぱくり放題の世界が出来上がったのであった。
という事態を避けたのではないでしょうか。個人的にもこの判断を持ちたいですね。
まあ日本だったら裁判費用も高いし、ちょっとのことで著作権侵害を訴える人も少ないと思うが。
Re:著作権侵害に当たらないとされた場合の未来の論争 (スコア:1)
>こうして、構図と角度さえ違えば、他人の写真のやり方をぱくり放題の世界が出来上がったのであった。
これ、一概に悪くは無いと思う。
芸術の一派なんて、そうでなければ生まれないし。印象派とかキュービズムとか。
ロックのビートにオリジナリティとか言われた日には....
作風の真似をどう定義するかになってしまい、法でそこまで踏み込むことにどれほど価値があるかで
この先の流れが決まってきますね。
Re: (スコア:0)
この程度の加工が「創作」ねぇ‥‥‥。
Re: (スコア:0)
「あんたの写真、俺のとそっくりの加工がしてあるじゃないか。著作権侵害だ」
「つかこれ被写体も場所も違うし」
「加工の方法が同じだからアウト」
かくして、モノクロに赤い車体だけを浮き立たせる加工で
写真を撮った者は即刻訴えられる事態に…
Re: (スコア:0)
被写体と場所はほぼ同じじゃん
予備知識が無い俺からすれば
同じ人が作った一連の作品だと思う
Re: (スコア:0)
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E7%99%BD%E9%BB%92%E3%80%80... [google.co.jp]
こんだけ、似た様なチュートリアルが見つかるんだから、同じ処理をする人はやまほどいて、あとは被写体と場所がほぼ同じになる場合ってのは単に確率の問題なのでは?
ロンドンに住んでたら、ビッグベンはランドーマークだし、赤いダブ
Re: (スコア:0)
http://formula-mix.up.seesaa.net/image/mts0776.jpg [seesaa.net]
今後は、コーナリング中のレーシングカーの一台をカラーにし、それ以外を白黒にするような画像処理を加えたらイギリスでは盗作になる可能性があります。
Re: (スコア:0)
何らかの知的所有権として法で保護するべきかどうかはともかくとして、これが著作権で保護されるべきかというと……
Re: (スコア:0)
よし、製法特許だ!
誰もが同意してくれる落としどころを考える (スコア:0)
撮影者じゃなくて、プリント自体に著作権を持たせればいいんじゃね?
Re: (スコア:0)
モノに権利を与えるなんて、誰もが同意してくれるどころか、むしろほとんどの人に同意してもらえないと思う。
タイトル読んで真っ先に浮かんだのは (スコア:0)
写真じゃないけどコレ [blogimg.jp]だった
Re:日本でやったら富士山写真化涙目 (スコア:1)
少なくとも国内では被写体の選択自体には著作権は発生しません。
また著作権は相対的独占権ですので依拠性がないもの(意図せず偶然同じ様に撮れれちゃったもの)については著作権侵害にはなりません。
なので大半のものは問題にならないと思います。
Re:日本でやったら富士山写真化涙目 (スコア:2)
案外、カラー写真(というそれまでほとんど使われていなかった技法)で山梨県側(構図の限定)から(カラー写真という技法を積極的に生かして)赤富士を撮影した
という条件まで絞り込むとまだ死後50年経過していないかもよ。最初にそれをやるってことは、それなりに創造的で新規性のある仕事と言えるのかもしれない。
死後50年まで保護すると考えると、この程度の構図と技法採用の一致を著作権侵害とみなすことにすると、後々訴訟を処理することが困難になるほど著作権侵害事件が多発することになるかもしれない。
10年前までプロしかしなかった画像処理は今では誰でもできるし、誰もが四六時中カメラを持ち歩いていて、画像を流通させることもできる立場にある。公表された二つの画像の撮影場所と加工方法がたまたま一致する、ということは50年もの期間があればかなりの数になるだろうし、今後50年で起こるそういった一致の件数は過去50年の比ではないと思う。
Re:映画とかはどうなるんだろう (スコア:1)
>>観光客が撮った記念写真程度のものなら
> 何故ですか?
> 「観光客が撮った記念写真程度のもの」は金銭的価値は無いから、ではないですよね。
まず、絵や文章、何でもかんでも著作権が発生するものではない。
著作権方では、著作物とは
「著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」
となっている。
だから思想や感情を込めていなかったり、創作的に表現していない場合は著作物にはならない。
文章だと「富士山に登った」だけだと、ただの事実なので著作権は無い。
誰がどう書いても同じようにしかならない物には創作性は認められない。
だから写真も現場写真的に撮ったものだと発生しない……のではないか?
もちろん富士山を芸術的に工夫して撮ったのなら著作権は発生する。
TomOne
Re:映画とかはどうなるんだろう (スコア:2)
いいえ。自動的に発生します。
まず法文を読んでらっしゃい。
著作権を狭くとらえている人が多すぎます。これは私の写真だぞ!(著作者人格権)って公表するものも著作権です。
いい写真だけどあの写真のまねだよねって言われたら、大人の対応をとりましょう。
勝負したければ裁判所へ行きましょう。
お金が取れるとれないの問題で著作権はあるのではありません。
どこまでが許せるかってのは人によって違うと思います。
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Re:映画とかはどうなるんだろう (スコア:1)
>まず、絵や文章、何でもかんでも著作権が発生するものではない。
←著作権による保護の対象の話
>いいえ。自動的に発生します。
←著作権が発生するタイミングの話
著作権による保護の対象となるものを創作すれば自動的に発生したとしても、そうでないものを作ったところで著作権は発生しません。
少なくとも日本の法律ではそうなっていますし、大概どこの国でも似たようなものです。
Re:映画とかはどうなるんだろう (スコア:1)
定点カメラのように機械が勝手に撮影したようなものを除けば、人間がシャッターを押している限りは「表現」であり著作物と解釈されるということ。
芸術関係で著作権絡みの例出したらきりないほどあるんだけど、最近出てきた衛星画像ほぼそのまんまで写真の作品にしたのがあるんだけど、そういう作品の著作権ってどうなるのだろう?
自分でとったわけでないし誰かにアイディアー取られた時著作権主張できるのかな?
Re:映画とかはどうなるんだろう (スコア:1)
私のコメが悪いのがいけないんだけど若干ミスリードされてるので。
ある作家が衛星写真そのまんまの作品を作る場合、衛星写真として大抵買い取ったものだから著作権の表示とかなんとかは大抵問題ないんです、問題なのは、例えば別の作家が別の衛星会社から近くの位置を撮影した写真を買い取って作品とした場合の話です。
この場合、元のタレコミの問題のように著作権が認められるのは視覚的物体としての作品でなくある地点の衛星写真を作品とするという「アイディア」に著作権が認められることになるからです。だって衛星写真自体すでに地球上すべて撮り尽くしているわけだし。
解決策はやっぱり裁判しかないんでしょうけど。
余談:アイディアーに著作権ていうのは芸術にレディーメイドの概念が認められた時点で半分認められていると思う。