急増する「偽学術誌」 60
なつかしきSCI 部門より
ある Anonymous Coward 曰く、
最近「偽学術誌」なるものが急増しているそうだ (Motherboard の記事、The New York Times の記事、本家 /. 記事より)。
昔は学術誌の数も現在よりは少なく、学術誌といえば「Nature」や「Science」といった権威あるものも多かった。学会なども開催しているようなこういった学術誌に掲載されている論文は査読も通っており、真っ当な研究であるとされていた。しかし新たな出版物を立ち上げるのが容易となった今日、「偽学術誌」なるものが雨後の筍のように出現しているという。これらの偽学術誌は掲載にあたり数十万円、またカンファレンスに参加するのに更に数十万円積む必要がある場合もあるそうだ。厄介なことにこの偽学術誌は著名な学術誌に名前をよく似せていることが多い。例えば今年開催された「Entomology-2013」というカンファレンスは昆虫学分野の権威ある学術誌「Entomology 2013 」(注: ハイフン無し) に名を似せた偽カンファレンスであったとのこと。「著名そうな」人々をパネルやプレゼンテーションに呼び、ウェブサイトに彼らの素晴らしい職歴や写真を掲載していたこのカンファレンス、来場者を有料で募っていたという。
一つのビジネスとして成立しているこの新業態は需要もしっかりあるという。金銭を積んででも自分のレジュメを飾り立てたい人々は多く、一種の投資として考えられている場合もあるようだ。最近ではこのような偽学術誌の数が余りにも増えてきており、Nature では最近一号丸々この問題に焦点を当てた「The future of publishing」を出版したとのこと。また学術図書館員の Jeffrey Beall 氏は自身のブログにて偽学術誌と思われる出版物の一覧をアップデートしつづけている。氏がこのリストを作り始めた 2010 年には 20 誌程だったが、現在では 4000 誌以上にまで膨らんだとのことだ。
偽学術誌の台頭により、学術界においてはレジュメに掲載された出版物が本物なのかを見極めなければいけないという問題が発生しているとのこと。また素人には真っ当な研究とそうでないものを見分けるのが難しく、偽学術誌の出典を元にとんでも科学の拡散が起きる恐れもあるのではないだろうか。
日本ツイッター学会 (スコア:5, おもしろおかしい)
ふと頭に浮かんだだけですよ
http://it.srad.jp/story/10/08/24/0051231/ [srad.jp]佐賀県武雄市長、日本ツイッター学会設立
Re:日本ツイッター学会 (スコア:3, すばらしい洞察)
たぶん、そっちは学術という意味での学会じゃなくて、宗教的な某学会のほうの名前を真似ただけだと思うよ。
市長と仲がいいらしいし。
Re:日本ツイッター学会 (スコア:2)
そっちの学会も、発足当時は「教育学会」を名乗ってたんで、偽学会の元祖は……ゲフン、ゲフン
Re:日本ツイッター学会 (スコア:3)
日本フェイスブック学会 [srad.jp]も忘れてもらっちゃ困ります。
日本 LINE 学会 [srad.jp]は…どうしましょ。
Re: (スコア:0)
日本プラズマクラスター学会 もお願いします。
急増する「偽アレゲサイト」 (スコア:5, おもしろおかしい)
最近「偽アレゲサイト」なるものが急増しているそうだ 。
昔はアレゲサイトの数も現在よりは少なく、アレゲサイトといえば「/.」といった権威あるものも多かった。こういったアレゲサイトに掲載されているストーリーはモデレーションも機能しており、真っ当なアレゲであるとされていた。しかし新たなサイトを立ち上げるのが容易となった今日、「偽アレゲサイト」なるものが波平の頭頂毛のように出現しているという。厄介なことにこの偽アレゲサイトは著名なアレゲサイトに名前をよく似せていることが多い。例えば2001年開設された「/.J」というサイトはアレゲ分野の権威あるサイト「/. 」(注: J無し) に名を似せた偽アレゲサイトであったとのこと。「無能そうな」人々を編集者やタレコミ人に呼び、ウェブサイトに彼らの素晴らしいストーリーやコメントを掲載していたこのサイト、広告を有料で掲載していたという。
一つのビジネスとして成立しているこの新業態は需要もしっかりあるという。アカウントを取ってでも自分のコメントを投稿したい人々は多く、一種のプロパガンダとして考えられている場合もあるようだ。偽アレゲサイトの台頭により、アレゲ界においてはストーリーに投稿されたコメントが本物なのかを見極めなければいけないという問題が発生しているとのこと。また素人には真っ当なコメントとそうでないものを見分けるのが難しく、偽アレゲサイトの出典を元にとんでも科学の拡散が起きる恐れもあるのではないだろうか。
出版社と研究者の利害の一致 (スコア:3, 参考になる)
インドだかエジプトだかのHindawiや中国?のScientific Research Publishingが代表的なジャーナル粗製濫造会社です。それらの出版社からは頻繁に論文の投稿を誘うメールが来ます(Call for papersってやつ)。もちろんスパムフィルターでゴミ箱行きです。ただし、Hindawiはまともなジャーナル発行社を買収したりしてまともなジャーナルも混ぜてきているので、一概にゴミジャーナルとは決め付けられません。それ故に余計たちが悪いと思います。
とにかく論文の本数を稼ぎたい人達にはそれなりに利用価値があるようで、儲けたい出版社と利害は一致しているのでしょう。今後は論文の本数ではなく、論文の被引用件数や掲載ジャーナルもちゃんと見て評価がなされるようになるのではないでしょうか。そうしないと、お金を出してゴミ論文をゴミジャーナルに掲載した人が勝ち残って、日本の科学は衰退の一途をたどるでしょう。
Re:出版社と研究者の利害の一致 (スコア:2)
自費出版専門出版社 のような位置づけですかね。
Hindawi 、時々来ますが、スパムメールと言うほど頻繁には来ないので、目くじら立てるには至っていません。
被引用件数についても、引用の束 な論文の粗製濫造で、これまた、引用回数だけは水増し可能と言う、相互リンクだけで出来た、往年の迷宮エロサイトのような。。。
Re: (スコア:0)
よくわからないけど、日本の科学を衰退させたい人だとわかった。
Re: (スコア:0)
今でも被引用件数は重要視されてると思う。
自分でコントロールできる数は、何の担保にもなりませんからな。
Re: (スコア:0)
まともなジャーナルにするためにまともな研究者に投稿を呼びかけていると考えられないお頭ですか?
珍しくないのでは? (スコア:1)
前にもどこかで書いたが、医学・薬学系などではページ割増料金払えば甘い査読で載せてもらえるようなマイナー出版社が発行するマイナー論文誌が多数あるらしいが。
数学系ではごく狭い専門分野のマイナー論文誌を事実上大学研究室で取り纏めて発行しているものがある。 いい加減な査読してるわけでは無いだろうが、結局狭い分野の顔見知りの仲間内だけの評価に依存してることになる。 工学系でも似たような研究室発行論文誌があることはある。
あまりにも尖りすぎた研究やってて世界中探しても同業者が数人、メジャーな論文誌に投稿しても全然相手にしてもらえない~なんていう例もあるので仲間内で論文誌発行できるだけでも良いのかも。
特例として論外なのは日本画質学会。 「学会メンバーは上記4名のみとし、活動においても4名の責任で行うものとする。」だとさ。
だったら「学会」なんて名前つけるなよ。
http://www.newww-media.co.jp/eventgasitsu.html [newww-media.co.jp]
同人誌っぽい (スコア:1)
医学系が結構多いのは、
「由緒ある雑誌***に研究が掲載されて国際的な大反響を呼びました!」と言うお決まりの文句が、
大抵のインチキ医療器具とかインチキ癌治療薬を売るために必要なので、その辺の需要かと思われます。
個人的にはアレ系は学術系「同人誌」であり、学会ではなくて同人サークル・同人イベントだと考えることにしています。
基礎知識がないと、タイトルとか内容を少し見ただけでは商業誌と区別付かないようなものも多いです。
商業に上がりたくても上がれず、ちょっとでも実績を稼ぎたい、という人がこういう市場を形成している、という面も(多少は)ありますが、
同人的市場であることが自体重要で、まともな商業ベースの雑誌に載せる気が一切無い人も多く、その辺も一緒。
例えばヨーロッパ放射線リスク委員会(ECRR)の研究員で、放射線リスクを世界一過剰に煽る(福島で寿命が20年縮むとか言ってた)
ことで有名だったC.バズビーさんが中心人物をしていた「電波系」雑誌、
"European Biology and Bioelectromagnetics"とかが個人的に面白い例です。
http://transact.seesaa.net/article/227420152.html [seesaa.net]
タイトルはそれっぽいですが要するにニセの健康グッズにニセの科学的裏付けを与えるための雑誌であることは少し読めば明らか。
Re:同人誌っぽい (スコア:1)
なるほど、そういう本は「薄い」学術誌と呼称するようにしましょう。
Re: (スコア:0)
特例として論外なのは日本画質学会。 「学会メンバーは上記4名のみとし、活動においても4名の責任で行うものとする。」だとさ。
だったら「学会」なんて名前つけるなよ。
http://www.newww-media.co.jp/eventgasitsu.html [newww-media.co.jp]
このメンバーがどういう方々なのかは知らないけど、デザイナー・カメラマン募集の項の投げやりさは凄いな。
Re:珍しくないのでは? (スコア:1)
奴隷やん
Re: (スコア:0)
なるほど、麻倉怜士氏が関わっているのであれば納得のクオリティだなw
業界紙 (スコア:1)
学術誌に限らず、業界紙も怪しい物がありますね。
省庁からの天下り団体が設立され、ページ数の少ないペラペラの機関誌を発行し、高額な定価で民間企業に売りつけたりしてて。
Re: (スコア:0)
それって、どこの総会屋?
Re: (スコア:0)
総会屋も官僚もやることは同じ。
Re: (スコア:0)
反社会的存在と言われるものって、すでに政府がやってる事だったりするよね
民業圧迫の一種なのだろうか?
ヤクザ=警察
シロサギ=官僚
Entomology-2013 (スコア:1)
Re: (スコア:0)
いや、それ「紀元0年」がないと使えない表記だから。
電子出版 (スコア:1)
この場合、学術誌は電子出版でもありなのだろうか?
だとすると、自動で誌面作成、公開で簡単に大量に「学術誌」を設立できる?
編集人、査読者?などの人の名前が必要なら適当な肩書きを持っている人間をみつくろって名前だけ借りるとか、
カンファレンスが必要なら、形だけ開催した事にしておくとか
「誌」である事ってなんだろうね。
#存在自体がホラー
Re:電子出版 (スコア:1)
>自動で誌面作成、公開で簡単に大量に「学術誌」を設立できる?
そこまで酷くは無いけど、近いようなのはすでにある。
金払って原稿送りつけると、適当に(文字通り、あらゆる面で適当に)整形してオープンアクセス誌としてwebで公開されるやつとか。
#実際近年は印刷版の無い論文誌もちらほらと増えてきてるんで、電子版だからといって特別視する必要は無いと思う。
偽と言うより (スコア:1)
権威無き学会、実体無き学会、ディプロマ・ミルの補強団体と言ったところでは。
実体のない大学の (スコア:1)
学位を売る話も聞いたことがあるな
学術誌を専門家が読むなら (スコア:0)
まずインパクトファクターを調べるんじゃないですかね。
Re: (スコア:0)
だから非専門家向けのインパクトを求める人が利用するんじゃ無いの?
たとえば武雄市長みたいな人が、何も知らない市民を騙すために。
Re: (スコア:0)
インパクトファクターなら、自分自身で引用しても増えますし。
自分自身の引用は数えない、とする新たな指標の導入も考えられますが、
偽学術誌どうしで結託して互いに引用しあえば切り抜けられます。
SEOみたいなものですね。
むしろ、まじめな学術雑誌よりも偽雑誌のほうが、熱心にインパクトファクターを
上げようとしてくると思います。
インパクトファクターが低い(あるいは、ない)ということなら、
まじめに創刊した新たな学術雑誌だって、インパクトファクターは低いです。
まあ、まじめな学術雑誌の新たな創刊というのはあまりないので、
狭い業界なので、そっち方面の話はふつうに噂として伝わってくる分だけチェックしてればOKですが。
Re: (スコア:0)
>偽学術誌どうしで結託して互いに引用しあえば切り抜けられます。
いや、いわゆる「偽学術誌」のたぐいはトムソン・ロイターの統計に入ってないから、インパクトファクターは付かない。例えどこで誰がどれだけ引用しようと。
Re: (スコア:0)
名が通ったところの出版なら・・・ってのがありますよね。
あと、こういう偽学術誌の需要はテニュトラの研究者で論文本数を稼がなければならない人にあるんでしょうし、
そういう場合、規定で「代表論文を1つ、あとは数がそろってれば良い」ということがあり、
まともな学術誌でIFが付くものを1つか2つ代表著作としてだせば、あとは数稼ぎにこういうのを使っても問題がない。
誌のほうなの? (スコア:0)
なんか、テロリストの活動は黙認したまま機関紙を叩いてるような外しっぷりに見える。
Re:誌のほうなの? (スコア:1)
学術誌って別に学会機関誌だけじゃないよ?
会社が事業としてやっている学術誌もある。
最後の一文は流石に蛇足感 (スコア:0)
> また素人には真っ当な研究とそうでないものを見分けるのが難しく、
> 偽学術誌の出典を元にとんでも科学の拡散が起きる恐れもあるのではないだろうか。
偽学術誌が蔓延る前に「とんでも科学の拡散」が起きているのに、
何故「偽学術誌の出典を元に」した場合の憂うのかさっぱり分からないよ。
どこぞの無名県立大学の無名教授に金を渡せば、
然も生物学ジャンルや医学ジャンルの専門家のようなふりをして、
ニセ健康食品の効能をほのめかす偽データやコメントを貰う事が出来るのに、
Re:最後の一文は流石に蛇足感 (スコア:1)
素人が学術誌を読んで新規な知識を乗り気に取得していこうとするような知的な社会だと問題かも。
ジャンプに載るほうが影響大きいよね。
Re: (スコア:0)
美味しんぼの悪口はそこまでだ
Re: (スコア:0)
美味しんぼはスピリッツですよ
普通のことでしょ (スコア:0)
> 掲載にあたり数十万円、またカンファレンスに参加するのに更に数十万円積む必要がある
これって当たり前のことだと思っていたんですが。
Re:普通のことでしょ (スコア:1)
情処だと掲載料 10 万円ぐらい、IEEE や ACM の国際会議の参加費もせいぜい 900 USD ぐらいじゃないでしょうか。真っ当な学会より数倍高いなあというイメージです。他の分野は知らない。
Hiroki (REO) Kashiwazaki
Re: (スコア:0)
生物系でオープンアクセスだと普通のまじめな雑誌でも20~40万円は普通。
カンファレンス参加費で数十万円はちょっと高いかもしれないけど、
参加費に宿泊費と食事が込みの場合なら20万円はわりと普通にあるので
偽カンファレンスだから特別、というわけではないですね。
むー。 (スコア:0)
Re: (スコア:0)
流石に何を言いたいのか分からんぞ。
ボカすにも程度があるだろうw
学会に本物も偽物もあるのかと (スコア:0)
権威が無い学会でも良い業績があるなら評価されるべきだし
権威がある学会でもくだらない論文や捏造論文を採用することもあるし
どこの学会かということよりもそれぞれの内容で判断するべきかと
「学会」という名前だけで権威を有すると判断するような学会信仰者や権威信仰者にとっては面白くないのかもしれないけど
学会にふくしゅうしてやるんだぁ~!! (スコア:1)
復讐を誓っている科学者がいる学会だけが本物です。
Re: (スコア:0)
そうだね。
どうせアジアの学会は偽者で欧米がーという奴が出て来るんだろうけど。
なんか欧米の既得権を主張しているようにしか見えないな。
Re: (スコア:0)
最終的には内容で判断するにしても、その前段階のフィルタとしての学会・学術誌の権威ってのはそれなりに有用だと思うけど。
Re: (スコア:0)
そういうフィルタがなければAI未満の知性ということで、生活できないはずだしね。
権威を簡単に否定する人には、どうやって情報を集めて判断しているか聞きたい。
まあ、「権威」の軸が違うだけで、自分の気に入らない軸を叩いてるって分かってるんだけどw
Re: (スコア:0)
わざわざ名前を似せた上で内容がダメダメな学会は「偽物」と呼ばせてくださいよ
Gcogle Play [impress.co.jp]に関して「アプリマーケットに本物も偽物もあるのかと」とか言われても「いや普通に偽者だろ常識的に考えて」としか答えられないよ
Re:学会に本物も偽物もあるのかと (スコア:1)
事情を知っている側からするとディプロマミルとかニセ国際会議とかと
似たようなものかと思うかと。いきなり知らない雑誌に投稿することは
まずないのでまともな研究者には無縁だと思っているんでしょう。
ただ分野の流行り廃りと細分化とで学術雑誌が増えている中で
いわゆる業績評価をすることになった場合には大変になりそうですね。
もっとも名前は知られていても評価はされない雑誌もあるので
この類いのものをすぐに偽とか捏造とか決めつけるのも難しいです。