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日記

Bill Hatesの日記: 今更「アンサングシンデレラ」というドラマを全部見た 3

日記 by Bill Hates

録画したものの見ていなかったのを今更見た。薬剤師の仕事じゃないだろ看護師がやるもんだろそれってのが結構目立った。そういう脚色はいいとして、最終回で妊婦がデパケン(一般名バルプロ酸ナトリウム)を拒否しているのに飲ませてるのな。

放送期間が2020年7月16日から9月24日だそうだが、フランスで起こされていたデパケン薬害訴訟で、奇形などの障害が出た責任が国と処方した医師に2020年7月2日ころに認められた(第一審で結審ではない感じ)のに医師ではなく、薬剤師が医師が処方した通りにデパケンを服用しろと説教してるのな。

ドラマとしてはラモトリギンなど違う薬(デパケンよりリスクが低いと報告されている薬がいくつかある)の検討を医師に提案するとか、飲んでいたのがデパケンでない薬にしとくとか、話では出てこなかった胎児の父の話を出してきて妊娠する可能性を医師が知らずにデパケンが処方されていたことにするとか、放送された内容よりまともにする表現はいくらでもあっただろうに、製作時にはすでに日本でも原則禁忌から禁忌に変更が検討された後に禁忌になっていた「妊婦にデパケン」を「副作用が出る可能性が極めて低いから」と押し通すのは調査不足としか言えないのではなかろうか(原作が2018年7月号より連載とのことなので、2009年改定の添付文書でも原則禁忌だったので原作が作られた時にはすでに原則禁忌だったはずだが原作にはないエピソードなんだろうか)。物語中で家族がどうのと何度も言っておきながら、妊婦の父も胎児の父も話に出てこないのは整合性に欠けるよなあ(ながら見だったので見落としたかもしれない)。最終回を1時間半スペシャルにするつもりだったのが予想より不人気だったので通常の時間に制限されて端折らざるを得なくなったとかかもしれないけど尺不足に感じた。

添付文書に催奇形性が記載されている薬は数多くあるが、その多くは動物実験で見られたと言う内容だと思う。しかしデパケンの場合はフランスでは2017年だったかに薬害訴訟になっているだけでなく、デパケンを服用していなかったケースと比較して数十%〜5倍程度増えると言う報告が出ているので妊婦にデパケンを勧めるのがいい薬剤師ではお話にならない。

しかもそれまでの話では患者の話を信用するな的なのが数回出ているのに、デパケンを服用していたかどうかなんて血液検査で簡単にわかるのにそれをせず鵜呑みなんである。最終回の重要部分で大ポカなんだから、素人の私がそれまでみ見落とした大ポカは他にいくつかあるのかもしれない。

このドラマ、エンディングで患者のその後を流すのだけれども初回で10年後くらいでも主人公のハンコの名字が変わっていなかった。石原さとみさんが演じる主人公が40歳になっても結婚せずに独り身だったのか結婚したものの離婚したのか、職場で旧姓を使っていたのかと言うどうでも良さそうなことが気になったのが最終回で「深く考えてないんじゃねこのドラマ」と言う疑問に繋がったのかもしれない。

あと、出産した母親が抱っこで抱えて退院はないだろ、ベビーカー用意した上でタクシー呼ぶやろと何度か思った。

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  • ですか? [wikipedia.org] (見てませんが)
  • by Anonymous Coward on 2021年09月10日 18時24分 (#4110294)

    医療監修 - 松本尚、原義明(日本医科大学)、茨木保(いばらきレディースクリニック)
    薬剤師監修 - 伊勢雄也(日本医科大学付属病院)、髙瀬久光(日本医科大学多摩永山病院)、笠原英城(日本医科大学武蔵小杉病院)、實川東洋(日本医科大学千葉北総病院)

    名前貸しただけなのか。

    • ちょいとチェックしたらこのドラマの公式解説みたいなところで
      妊娠 と 薬 [fujitv.co.jp]」として

       『妊婦は薬を飲めない』、『薬を常用している人は妊娠できない』、『薬を飲んだ後に妊娠が判明したので中絶を考えている』。「妊娠と薬」に関して、このような誤った認識を持っている方は多く、医療関係者の中にも今現在でもいらっしゃいます。「添付文書に『妊婦に危険』と書いてあった」という理由で、妊婦が急性症状(風邪やインフルエンザ等)罹患時に、薬剤を処方せず、母体状態が悪化してしまい、妊娠の継続が不可能になることさえあります。日本では妊娠と薬に関して、今から約60年前の『サリドマイドの薬害』があったため、このような認識が今でも蔓延っています。

      としてサリドマイド批判のようなことを長々書いた後でデパケンが「てんかんの治療:妊婦には原則禁忌」として時代遅れな記述がされていましたので、「監修者の知識が古すぎた」可能性が考えられます。サリドマイドが発売中止になったと書いてあります。サリドマイドは日本では2008年に骨髄腫の薬サレドカプセルとして復活して結構話題になったような記憶があるのですが無視してるのではなく知らないだけなのか。

      奇形のリスクが異なることはサリドマイドの薬害からも得られた事実ということだそうですが、デパケンのリスクが他の薬と比べて高いので妊婦に対してデパケンが禁忌になったのは事実としか言えません。

      日本の薬害・公害(Akimasa Net) [akimasa21.net]」と言うサイトに「薬害防止のために薬剤師のやるべきことは」として「妊娠可能年齢女性では、バルプロ酸以外の薬剤治療を優先する(催奇形性有り)」と書いてありまして、全くもってその通りと思います。その上で「リスクベネフィットを考慮し,使用が必須となる例もある [jst.go.jp]」となるのが妥当なのではないでしょうか。リスクベネフィットを考慮する場合は、あらかじめ他の薬を試しても良い結果が得られなかった場合のみ、になると思うのでやはり「若い女性にデパケンを処方したのちいつまでもデパケンのままでいい」と言う結論はおかしいと思います。奇形がなく生まれてきたとしても成長の段階で発達障害が疑われたりした場合に「あの時に私がデパケンを飲んでいなければ」と後悔する母親も出てたりするんじゃないでしょうかね。発売元の協和キリンが「先天異常や発達障害について、十分に理解できるまで説明を受けてください [kyowakirin.co.jp]」と注意していますが、作中では「リスクは低い」と言う説明でしたのでやはり論外。

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未知のハックに一心不乱に取り組んだ結果、私は自然の法則を変えてしまった -- あるハッカー

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