bugbirdの日記: 恣意を見落とさないように!
まずは、最近各所の blog などで取り上げられてる統計情報の一つ。いやー Blu-ray Disc ってこんなにシェアを伸ばしてるんですか。意外だったなー。@「過去三年の映像ソフト市場規模推移」の棒グラフ…ってなわけないんだよね!
良ーく見て欲しい、この棒グラフの下端は 2,300億円であり、上端までとの差分は 500億円。つまり総額 2,800億円の市場の5分の1だけを『抜粋して』表示しているだけなのだ。端的に言えば、Blu-ray Disc の『躍進ぶり』が5倍に拡大表示されているということ。
冷静にグラフの上にある表の数字を眺めていたのであれば『なんじゃ? このグラフ??』と気がつくだろうが、最初からそこをキチンと読み込んむ人が果たしてどれだけいるのやら(私も見事に誘導されたひとりだ)。
市場全体でこのグラフに表示されているほどの「世代交代」が進んでいるのなら、それはとっくに「キャズムを超えた」普及状態なわけで、さあらば手持ちで運用中の DVD ドライブ群をどう切り替えるか(それは、現在完全に未対応である Apple 製品群が対象ということでもある)ということについて真剣に検討をしなければならないはずなんだが。
…もちろん私は手持ちの Apple 製品群の見直しを行なったりはしない :)
さて、では次、いってみよう。若者の”テレビ離れ”についての統計調査(pdf 注意)に基づく記事。
『へー。意外とテレビ離れって進んでないのね?』…んなわけない!。
統計調査自体は、きわめて真っ当なもの。だから、レポートされている数字そのものは充分に信頼に足るものだと思える。ただし、問題はその報告内容にあるのだ。
記事の中程に引用されている CM の視聴に関する調査結果のパイチャートであるが、そこ添えられている「しっかり見る計」として、それぞれ 82.3%, 89.5% となっているわけなんだけど、これは明らかに恣意的なまとめでしょう?
もう一度よーくパイチャートを見て欲しい。アンケートは CM の視聴状態を4つのセグメントに分けて調べているわけだけど、このうち3つのセグメントに「しっかり」というキーワードを埋め込んでいて、それが 82.5%, 89.5% を占めていると主張しているわけだ。
4つのセグメント分け自体はニュートラルなものと評価して良いのだけれど、そのうち三つを包含する定義でもって「多数」と主張するのは、明らかにおかしい。逆に「だいたいしっかり見る」以外の三つのセグメントに注目すれば 92.1%, 91.6% はろくに CM を見ていない …ということになるんですが?
両端の二つのセグメントの比較にしても「見ている」「見てない」セグメント2つずつの合計で比較しても CM は見られてないというのが多数派であることが明らかなはずなのに、なぜかまとめでは 82.3%, 89.5% が「しっかり見る」とされているわけですよ?
こう云う恣意的情報操作(※)が "The Net" でどんどんハウリングして跋扈するというリスク。もう一度考えてみる良い実例じゃないかな?
※追記と訂正:
これは正しくは「情報操作」ではない。統計に基づくレポート作成上での恣意的操作と言うべきである。こうしたニュートラルな統計情報が今回のような形で(批判を含む)再利用可能な状態で公開されている事には充分な敬意と感謝を払うべきである。
後記:
LM-7 さんが、後者のネタについて、もっと詳細かつ的確に分析批判をされてます。
恣意を見落とさないように! More ログイン