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okkyの日記: これかぁっ、プランク定数を無視した議論の発端はっ

日記 by okky

超解読涼宮ハルヒ

こいつのpp.83-84にシュレーディンガーの猫に関するコペンハーゲン解釈の話が載っている。とは言っても「猫は生と死が重なり合った状態」としか書かれていない。これでは皆混乱するだろう。

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「放射性物質と、放射能検知器、そしてそれに繋がれた毒ガス発生装置と猫を箱の中に入れる。そして1時間放置する。1時間後、箱を開けたときに猫はどうなっているか?」

というこの問いには「箱を開けるまでは猫の状態はわからない」という前提が含まれている。この点を忘却している人があまりにも多い。

素粒子レベルの現象に関してはプランク定数という観察精度上鉄板のバリアーがあるため、特に何か壁を作らなくても『観察する』事と『相互干渉する』事はイコールになる。つまり、「ここ」と「そこ」は最低限でもプランク定数で定められた範囲以上の情報を伝える事はできない、という意味で分断されている

しかし、素粒子よりもずっと質量が大きい猫の場合、プランク定数は殆ど誤差に過ぎない。従って、内部の猫の状態を変えずに箱の中を観察する方法がいくつか発生してしまう。例えば、赤外線カメラを使って猫の体温を測る、微細振動検出器を使って猫の動作や脈拍を検知する、などがあげられる。当然、これらの情報を集めれば猫が生きているか死んでいるか、箱を開けなくても判ってしまう。

箱を開けるまでは猫の状態はわからないと言う事は、これらの情報収集方法も使えないようにブロックされた箱の中に猫はいる事を意味する。
このように箱の中と外で情報通信が一切できなくなっている状態の場合、一般にこの2つの空間は切り離されている事になる。次いで、箱のふたを開けた際に、今まで分断されていた2つの空間は再度1つの宇宙に再結合される。

このときに、「我々」がいる宇宙と接続される「箱の中」宇宙は「猫が生きている箱」宇宙なのか「猫が死んでいる箱」宇宙なのか。コペンハーゲン派は「ふたを開けた瞬間に決定する」としている。これは「ふたを開けるまでそれに関する情報は無く、故にあなたから見るとふたを開けた瞬間に何かが決まったように見える」と言うことだ。実際に決まった瞬間は隠れ変数になっていてあなたにはわからないのか、本当に異世界との接続が切れたり繋がったりしているのか…はどうでも良い、と言うわけだ。

エヴェレット派は「この2つの宇宙のありようの全組合せの数だけ、並行宇宙は存在しうる」としている。つまり、猫が死んでいる宇宙も生きている宇宙もある。それぞれすさまじい勢いで分岐を繰り返しており、あなたが今どこの宇宙にいるのかを知る術はない、という意味において予測不能である。しかし実際には「生きている宇宙」と「死んでいる宇宙」の両方があって、あなたはたまたま片方にいるのに過ぎない、と言うわけだ。

# 長門有希の設定はそれら並行宇宙の分岐や
# 時間軸上の存在と相互に情報交換できる
# という意味で究極のSFになっている。
# そう、有希はエヴェレット派な存在なのだ。
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# これに対して朝比奈さんはコペンハーゲン派に
# 属している。時間が不連続な存在である、なら
# 不連続点は上記の「どちらかが決まる」ポイント
# で発生しなくてはならない。そのような状態の
# 繰り返しで未来へと続いているし、不連続点
# での接続先が入れ替わると、自分達がいた
# 未来へと接続されなくなる、と言うわけだ。

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この辺が曖昧な記述になっているな、とは思った。

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