okkyの日記: 内部化を考えない問題解決は全てカス 3
「エール大学式4つの思考道具箱という本についてはすでに紹介した。
この本に書いてある問題解決法の内、人間の intention に関連する問題解決法はただ一つ、それが内部化だ。
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あなたが問題を抱えているとしよう。その問題が、たとえば「誰かが勝手にxxxをする」とか「本来 xxx をするべき人が、やってくれない」とか、そういう問題だとしよう。対象となる「人」を非難するのは簡単だが、それは問題を解決しない。本質を全く突いていないからだ。
なぜこのような問題が発生するのかを考えるべきだ。そして発生する理由自体は簡単だ。「あなた」と「誰か」の利益が同じ方向を向いていないからだ。「あなた」が苦しんでも「誰か」は困らない。あるいは「あなた」の出費が「誰か」の収入になる。だから「誰か」は「あなた」にとって都合の悪いことを行うのだ。この状態を「誰か」は「あなた」の問題を外部化している、と言う。
「あなた」の利益が「誰か」の利益になり、「あなた」の不利益が「誰か」の不利益に直結するとき、それも説得力のある形で直結するようにルールを変更できたとき、あなたの問題は誰かにとって内部化したと言う。
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罰則などは内部化ではない。罰則は基本的にばれなければ良いという発想には勝てない。基本的に負と0による制御は問題の積極的解決につながらないのだ。
そうではなく「誰か」にとって利益になることをすればするほど「あなた」にとっても利益になるようにしなくてはいけない。それによって「誰か」が常に「あなた」の利益を守ってくれるようになる。このような場合だけが内部化だ。
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さて、以上を踏まえてこれを見てみて欲しい。
http://srad.jp/~hotta-s/journal/443845
hotta-sさんの日記の運転時の携帯操作の取り締まりの話。特にこれ。
http://srad.jp/comments.pl?sid=407434&cid=1369696
__hageさんの意見は典型的な、懲罰型発想で、全く内部化を考えていない例だ。
100%の確率で、この方向性はうまくいかない。運転をしながら携帯を使う人にとって、運転中に携帯を使わない理由は取り締まりに引っかかる可能性だけだ。この手の人たちは自分達の運転技術を過信しているし、一方で運転中に通話・通信をしないことによる損失を明確なる損失と考えている。さらに言うならば、ハンズフリーセットを導入することを無駄な出費と考えている。
# でなければ、私のようにハンズフリーセットを
# 車に搭載し、それを使っているはずだ。
取締りにはコストがかかり、違反者が払う罰金とのバランスによってどれぐらい取り締まるかが決まる。罰金が安く、人出が少ないなら、飲酒運転や違法駐車など、より確実に、より多くの収入が得られるほうを優先的に取り締まるだろう。
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つまり __hage さんの意見は、運転手にとっても問題を内部化しないし、警察にとっても問題を内部化しないのだ。
また、逆の方向…つまり運転手が抱えている問題を __hageさんが内部化するつもりもない。誰かの車に乗っている最中に自分が通話を邪魔されるのは嫌だと言う。運転中に隣の人が携帯でしゃべっているのが邪魔じゃないとでも思っているのだろうか?電車の中での通話は周りの迷惑になるのに?
車に乗っている人が自分の安全を確保したいならば、運転手にとって邪魔になるようなことをしてはいけない。それを過保護だと言うならば、車の運転手が携帯で話をしていて突っ込んでくるのを避けられないから、携帯通話禁止というのも歩行者に対して過保護だろう。
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嫌煙の話だろうが、運転中の携帯の話だろうが、この手の「自分の問題を押し付け、自分は他人の問題を内部化するのを拒否する」態度が、私はこの世で一番嫌いだ。
そしてこのような拒絶態度のもっとも悪辣なのが、
「私は弱者である」
と言う主張だ。
馬鹿を言っちゃいけない。弱者は「声が出せないから」弱者なのだ。身勝手に主張ができる段階で、弱者とは言わない。
「私は弱者だ」と主張する人間は、他人に自分の問題を内部化させることも、他人の問題を自分の問題として内部化することも拒否している、ただの我が侭なガキだ。
せめて「この人は弱者です。助けてあげてください」と他人に言わせるぐらいの知恵はつけるべきだろう。
交渉のもって行き方 (スコア:1)
・こうすると良い(やればプラスになる)と言われると賛同する人
・こうしないと良くない(やらないとマイナスになる)と言われると賛同する人
の2通りがあるので、ネゴシエーションの際には相手がどちらのタイプかを
見極めないとうまく行かないというのがあります。たしかITmediaのコラムにも
載ってたのですが、見つけられませんでした。
で、内部化は前者に効果のある方法で、罰則は後者に効果のある方法と
考えられないでしょうか。つまり、解決策として内部化を挙げるokkyさんは
前者のタイプで、罰則強化を挙げる_hageさんは後者のタイプなのではなかろうかと。
Re:交渉のもって行き方 (スコア:1)
にもかかわらず、運転中に携帯を操作する人は絶えないわけです。
つまりこの場合、後者に対してはすでにモチベーションを与えているのです。
今残っている連中の大半は前者だと言うことがわかります。
必要なのは前者にモチベーションを与える事です。ここで罰則を強化しても前者に対するモチベーションにはなりません。
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一応、内部化がなぜそんなに重要なのかをさらに説明すると。
前者に対するモチベーションが蔓延するとそれがデフォルトになります。この状態では、旧来の行動をとっている人たちには「その状態を続けるとマイナスになる」というモチベーションが発生します。結果として、後者の行動が改善されます。
罰則が常に無力だとは言いませんが、アメと鞭では「アメを先に蔓延させる」のが『一般的には』有効です。
特定個人に対しては意図的に鞭を優先させる事でアメの甘さを強調することはありますが。
fjの教祖様
Re:交渉のもって行き方 (スコア:1)
>
> 今残っている連中の大半は前者だと言うことがわかります。
> 必要なのは前者にモチベーションを与える事です。
> ここで罰則を強化しても前者に対するモチベーションにはなりません。
この問題についてはまったく持ってその通りと考えます。いまもやめない人は
アメがないとやめない人達です。
かといって「内部化を考えない問題解決は全てカス」かというとそれは
それは一面かなと。つまり「内部化”も”考えない問題解決は全てカス」だと
整理学としてはスッキリするような。
掴みにならないタイトルですが(笑)