okkyの日記: 面接で私が気にしているポイント -1- 基本戦略は営業的演技
このコメントに「興味深い」を押した人がいる、という事はニーズがあるんだろう。というわけで、私が「面接」とかで気を配っているポイントを書くことにする。
まぁ、全く役に立たないということもないだろう。多分。
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基本的に「採用試験における面接」だろうが、「お客さまに納入した製品が壊れた理由の説明」だろうが、営業活動だと思っています。採用試験の面接は「私を売り込む」ための営業活動だし、「サポート業務」はうちの会社を売り込む(製品じゃないかもしれないが)活動。極稀に人前に立って講演会もどきになる場合は、一種のエヴァンジェリストとして「こうした方が良い」的な事を言いますが、これも考え方とかやり方の売り込みです。
なので、通常の「営業のノウハウ本」に書いてあるような事は一通り守ります。曰く、
- 相手のニーズに即して話をする
- メリットや強みを8割、デメリットや弱みを2割
- 致命的なデメリットや弱みを言わなくちゃいけない相手には売り込まない
- 弱点は過去形(可能ならば過去完了形)、メリットは未来形(可能なら現在進行形)でお話する
…で、まぁ、本当いすごい営業マンの方々は、これらの原則に即した話をその場で編みあげていくのですが、私にはそんな才能もなければ、広い視野もありません。というかそもそも視力が悪いので、相手の細かい表情なんて到底見れないよ。声のトーンはある程度聞き分けるけど、初対面の人の声の出し方の癖なんて判るわけがないし。
なので私の場合、相手のニーズの下調べをし、どういう話をするのかは事前に決めます。セリフの一つ一つまで決めるわけではありませんが、こうきたらこう、的なものは幾通りか用意します。もちろん、覚えきれませんのでノートに書いておき、それをカンニングしながら話をすることになります。当たり前ですが、事前準備はその場のリアルタイム情報が使えないのでその分精度が落ちます。いや、そもそも「営業のノウハウ」なんて普段使わないものを使うんですからそれ自体精度高くなんかできるわけない。ただ、そういう準備をしないで行き当たりばったりで行くよりは、拠り所がある分だけ心理的に楽ですし、破綻的状態にもなりにくい。
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で、ここからは「採用試験面接」の場合になりますが。
ここで重要なポイントをひとつ。イマヌエル・カントではありませんが「本当のことを伝える」のと「嘘を伝える」の間には
「嘘は言わない、都合の悪い真実も言わない」
があるのです (^^;)。
ノートに書いてあるシナリオは私が「私」を演じるわけですが、シナリオ上の「私」は相手が観たいと思っている側面をいくつか強調しています。例えば:
- 技術力があるかとか(そりゃ、技術畑出身ですから「ある」ように振舞う)
- 人の命令に従うか(私の性格からして「従わない」。ただ、それは常に「もっと良い方法があるから」だし「もっと良い価値観があるから」だ、という主張ができるように組んでおく)
- 人の話をよく聞くか(もちろん、聞きますとも。新しいことを学習する場合も、相手に反論してコテンパンにする場合も「相手が何を言っているのか」から始まりますよね ^^;)
- 新しい価値観を持ち込むことができるか?(どんな会社であっても、相手の強みをさらに生かした「こういうモノが欲しい」的な事を言うようにしている。当然相手は一考を始めますので、相手の考える条件が絞りこまれつつも、『無理だ』という結論に到達しないように話を持っていく。「大前提」を1つだけ崩したニーズを言えばOK)
当たり前ですが、上記のキャラクター・モデルが採用する側のニーズの「真反対」を行っていたら、きっと採用されないでしょう。
でも、じゃぁ、100点満点だったら? 私なら採用しません。だって嘘っぽいんだもの。そんなに都合のいい奴が、この世にいて、しかも転職先を探している?! きっと罠だ、罠に違いない。
ニーズとの合致率が80%ぐらい。残り20%には、あなたの側に「こだわり」があって合致しない感じ…が調度良い。
心配しなくても、相手もあなたもたかが60分だか90分だかのミーティングで、全てを見抜くことなどできません。もちろん、あなたが適切な大道具・小道具を駆使すれば、ですが。
そして、現実問題として、採用面接においては面接官側もそういう態度でいます。腹の底では
「うわ、こいつ絶対必要だ」
と思っても、そんな事はオクビにも出しません。だって、それを全面に押し出したら、給与交渉で負けちゃうでしょう?
「弊社では、業務拡大を鑑みて、常に優秀な技術者を採用しています」
と人事の人が言う場合に、本音は
『いやー、なんだかよく判らないけど、エンジニアがすぐやめちゃうんだよね』
かもしれません(つーか、大抵はそう)。嘘は言ってない。業務拡大も鑑みているだろう。優秀な技術者を採用しているのだろう(優秀の定義も技術者の定義も、好きに定義すればいいだけですから)。現象的には何も嘘はない。ただ、本音はヒトコトも喋っていない、というだけの話です。
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さて、以上のことから。面接における私の態度は 自分を相手のニーズに合わせてデフォルメしたキャラクターを演じている のだ、というのがお判りいただけたのではないかと。
で、そうなると、後は次の2点がキーになるのが判るかと思います。
- キャラクターの作り方・シナリオの作り方
- 大道具・小道具の注意点
演技力の訓練は…本来必要ないはずです。キャラクターはデフォルメしてあっても本質的にあなた自身です。ただ、シナリオを用意することで、何かを言うまでに「モタモタッ」とした感じがある部分を消すだけですから。
人によっては発声練習はしたほうが良いかもしれません。普段よりは大きな声で話す必要がある、という人には特にお薦めです。ちょっと広い目の部屋に通されて、そこで話をする必要がある場合、普通の声だと声量が足りず、声量が足りる状態だと息切れする、というのは避けたいですからね。
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