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okkyの日記: 面接で私が気にしているポイント -2- シナリオの作り方

日記 by okky

基本戦略が「デフォルメした自分自身を演じる」と言う事を把握してもらった上で。この場合、
原作: 俺
キャラデザ: 俺
シナリオ: 俺
演出: 俺
…全部俺…という状態になります。リクルート会社でこの辺を相談してくれる所とかって無いんですよね。しょうがないので自分でやるしかない。

で、この手のノン・フィクションは、まず基礎となる情報…この場合は「デフォルメする前の自分」を把握しなくてはいけません。自分の事だと思って甘く見ると痛い目を見る。判ってないことがたくさん。正確には「覚えていない」事がたくさん。なので、キャラデザとかストーリー原案の前に詳細な情報を思い出して、書き出しておく。

私の場合、「履歴書」「経歴書」をまず一度書きます。人呼んで「秘密の花園」(人に見せないものにそんな名前がついているとは何事)

市販の履歴書・経歴書を使う必要はありません。テキストエディターとかでファイルに書き込んでいくのでOK。ただ、項目的には全部網羅していると良い。なので、どこか適当なサイトに行って、項目を調べると良い。
こいつは自分以外見る人はいないはずのものなので、時期、内容、やったことの他に「思ったこと」とか「腹が立ったこと」とかなんでも書き込んでいきます。できれば高校か大学ぐらいからぜーんぶ書いておく。

学生とかで就職したことがない場合も、学校の情報だけじゃなく、クラスとか、部活動とか、学外でやったこととかも記録する。
なるべく赤裸々に。後で見直して「あぁ、そうだったな」と思えるようなものを1つ作ってしまう。

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OK。一通り書けたかな? 一度に全部書き尽くそうとしなくてもOK。こういうのを用意すると、折に触れて思い出したことを追記したくなるから。思い出したら更新すればいい。

じゃぁ、次に。自分が次にやりたい仕事を考えよう。
「とにかく就職しなくちゃいけないので、何でも良いです」と言う場合は、とりあえずアタックをかける会社の募集要項の中で、自分がチャレンジしたいもので構わない。でも、後で判るけど、「自分がやりたい仕事」をイメージしたほうが楽。
もっとも、やりたい仕事をイメージするといっても、結局、募集要項に添った形で、という制約条件がつくので、あちらこちらの募集要項を見て、
「あー、こんな感じ」
というイメージを作ってください。できれば3種類ぐらい

3種類は別に好きなパターンでいいんですが、楽なのはこういう決め方:

a) 今までやってきた仕事と全く同じ
b) 今までやってきた仕事のさらに技術的な上位版
c) 今までやってきた仕事の管理職

b, c はレベルアップですね。ただし、どうレベルアップするのか、その方向性が違う。人によっては「管理職はいやだ」という人もいるかもしれないけれど、管理職でないと予算をコントロールする権限が与えられない。自分がやりたいプロジェクトを動かそうとすると、管理職権限を手に入れなくちゃいけない可能性は高い。だから一応入れておこう。

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では。

a, b, c それぞれの視点で、過去の自分の経歴を見てみよう。
どの経歴が a, b, c それぞれの仕事に1番近いだろう? 2番目は? 3番目は?

あるいは、「自分がやりたい仕事」をいくつかの構成要素に分解して、「この仕事はこの部分が一致する」「この仕事はあっちの部分が一致する」というのでもいい。

大事なのは、1つしかない…という状態に陥らないこと。2つ以上、強引にでも見つける。

たとえば管理職の場合なら、「大きなプロジェクトの部分プロジェクトを任された」でもOK。「後輩の指導に当たった」でもOK。多分、なんだかんだ言って、これぐらいのレベルに落とせば、大抵の人の経歴には2つ以上、そういうパーツは見つかる。見つからない場合と言うのは、経歴が短すぎる場合だ。でもそういう人は学部の時の経歴にまで遡っても恥ずかしくないぐらい、まだ経歴が浅いはずだ。

今選んだ「過去の経歴」、それが「シナリオの元」になる。そして、それらの「シナリオの元」をベースに「シナリオ」をつむぎ上げていくのが次の仕事だ。

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シナリオは、a, b, c のパターンそれぞれについて2つ作る。過去の経歴から3つ仕事を選んだのは、「どの仕事を強調するのか」に応じてシナリオを2つ以上作れるようにするためだ。1つしかないのではシナリオは1つしか作れない。一方で3つ以上仕事があると、シナリオは2つでも2つ以上の仕事を有機的につないだシナリオを2つ以上作れる。

シナリオのストーリーライン自体は「その仕事をしたときの思い出」だ。

どういう前提状態で自分にお鉢が回ってきたのか、どういう風に現状分析をしたのか、どのように手を打つことにしたのか、何が起こったのか、成功であれ失敗であれそこから何を学んだのか、がシナリオになる。
もし可能なら、定量的な分析や、他のチームとの比較なんかができるといい。

「どのように手を打つことにしたのか」で、その仕事よりも前の仕事での経験に軽く触れるのも良い。
「何を学んだのか」で、その後の仕事でそれがどう生かされたか、があると最高だ。

ただ、これはあくまでも仕事の話であって、2時間もののラブストーリーじゃないので、あまりにも派手な起承転結は避けるように。いや、入れても良いよ? 入れても良いけど…それ、説明するのも自分だよ?? 「自然に」そんな派手な起承転結を説明しきれるの??? ましてや、ハラハラドキドキなストーリーなんて無理だよね?! 最初はある程度手加減をして、適宜派手にしていくほうがいいと思う。

ストーリーラインが「思い出」なら、シナリオのテーマは「俺にはその仕事に対して適性がある」になる。だからその仕事を俺によこせ。俺を採用しろが主張点だ。最終的には「どう考えても、俺にその仕事を任せるのが良いよね~~」と言外に述べつつ、ストーリーが終わるのがベスト。

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実は、a, b, c の3つのパターンの中で、最も強引な主張を展開して構わないのは、技術者なら c、すでに管理者なら b だ。
ある程度「だめもと」な部分があるから、その分主張が強引でも構わない。

逆に保守的なストーリーで、定量的な数値を駆使しまくって自分の性能をアピールする必要があるのは a だ。実はシナリオを作るうえで一番つらいのは、cではなくaだったりする…。

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a, b, c それぞれについて2つ以上のシナリオ…と言うことは最低限6通りのシナリオが出来たはずだ。

もし、あなたが目先の就職先のためにシナリオを作っているなら、欲しい仕事は1種類に減るからシナリオは2つになる。
ただし、就職先の候補1つ当たりシナリオを2つづつ用意する必要があるので、3つ以上候補があると結局シナリオを6つ以上作る羽目に陥るし、何らかの理由でNGを食らったらさらにシナリオを作り続ける必要が出る。それなら、最初から「自分の意思」で6つのシナリオを作って、それをベースにしたほうが楽だろう。

ここまできたら、いろいろな会社の募集要項を調べよう。気に入った募集要項はあっただろうか?
その募集要項は a, b, c のどれに近い?? 1つ決めた?
OK。じゃぁ、その募集要項のためのシナリオは2つあるはずだ。どちらでも良いが、「メイン・シナリオ」を決めよう。メインシナリオにならなかったものは「バックアップ・シナリオ」だ。ま、説明するネタがより豊富なほうがメインだよな、普通。

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今からあなたは募集要項に則って、企業に書類を提出する。
企業…多分人事採用部…はその書類を見て、自分達の欲しい人材かどうかを判断する。
「可能性がありそうだな」と思ったら面接に呼び、あなたと話をする。

もう一度言おう。

  • 企業は書類を見る
  • 企業はあなたから話を聞く

この2段階を通じて、あなたは「シナリオ」を企業に伝える。それによってメインテーマ「俺を採用しろ」を伝えるわけだ。

書類は言ってみれば「映画の予告編」のようなもの。あなたは面接と言う「メインステージ」に呼んでもらわなくちゃいけない。でも、ネタを全部ばらしちゃいけない。

また、企業によって好みのストーリーは違うものだ。だからメイン・シナリオとバックアップ・シナリオの2種類を用意する。

書類…特に経歴書は、このメイン・シナリオとバックアップ・シナリオに関する項目を詳しく、それ以外はさらりと、書く。これが予告編だ。定量的な数字はここで使っておくと良い。でも「どうしてそんな成果が出せたのか」は書かなくていい。ようするに「ストーリー」は伝えなくても良いが「ファクト」だけ伝えておけ、と言うこと。
映画で言う派手なシーンは出すが、どうしてそうなったのかは見せないのと同じ。

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面接では、相手が興味を持ったほうのシナリオに基づいて話をする。
6割ぐらいがメインシナリオに興味を持つはずだ。他がさらりとしているから。
どちらでもいいといわれたら、メイン・シナリオを主に話す。

もしかしたらメイン・シナリオがお気に召さないかもしれない。話の途中で割り込んでくるかもしれない。その場合はバックアップ・シナリオを話す。多少強引に話をつないでも大丈夫。というか、誰もあなたの本当のシナリオを知らないので、その話の持って行き方が強引なのか、あなたの普通な話の持って行き方なのか、知っている人はいない。だから誰も強引だとは思わない。安心していい。

ここで話すべきは「経歴書」に書いた数字の背後にある「ストーリー」だ。なぜその数字になったのか。何が成功要因/失敗要因なのか。
推理小説で言う「解決編」。StarWars でいう Episode 3 (皆、主人公が Darth Vadorになるって知っているけど、どうしてそう追い込まれるのか、その理由は知らない。これ以上観客を引き込むパターンはそうそうはない)。

どちらでも無い、第3のポイントを面接官が気に入って、そこを聞きたくてしょうがないなら…ごめん。その場合はアドリブだ。それでも、過去に考えた残り4つのシナリオのどれかに近ければ、そちらに話を持っていって説明すればいい。準備が出来ている分、動揺していても対応できるはずだ。

全然違うポイントだった?! 上手く説明できればよし、そうでなければとりあえず諦めろ。この場合は「どうしてそんな話を聞きたかったのか」を聞き出しておけ。あなたが売りたいものと、市場が買いたいと思ったもののミスマッチが起こっている可能性がある。別の言い方をすると、あなたにはあなたが気がついていない別の価値があるのかもしれない。
この場合は、その面接は捨てたものとして、市場調査を行うと良い。その態度故に採用される事は結構ある

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以上がこのシナリオの使い方だ。

すると1つ、見えてくることがあると思う。「キャラクター付けをどうするか?」という問いに対する答だ。

簡単に言うと、メイン・シナリオとバックアップ・シナリオで、共通して使えるキャラクター付けが良い、という事になる。
そもそもが自分自身がベースなのでそうそうオリジナルから大きく逸脱することは無いだろうけれど、仮に少々脚色しても2つのシナリオ間で矛盾をきたすほどの脚色であってはいけない。

で、以上の情報に基づいて。

がんばってシナリオを作ってくれ。

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実は、経歴書と面接時の内容に一貫したストーリーが無い、ものすごく場当たり的に経歴書を書き、ものすごく場当たり的に面接に挑む、というのが、ほとんどの人がやっている最も悪いパターンなのだ。しかし、そんなプレゼンの仕方をする営業が…どこにいる?? いないと言うことは…当然、あなたもやっちゃ駄目だ、と言うことです。

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吾輩はリファレンスである。名前はまだ無い -- perlの中の人

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