statの日記: オーディオはスペックじゃないということを再認識した話 21
最近はもっぱらPCとヘッドホンで音楽を聞いている。
DAコンバーターにはビクターのXL-Z999というCDプレイヤーのDA変換機能を使っているのだけど、こいつは発売されたのが1996年という前世紀の機材で、入力も16ビットの48KHzまでしかなく今日びのハイレゾ音源とは無縁のしろもの。当時オーディオに凝っていて、ボーナスをはたいて買った。
これで不満はなかったけど、市販のオーディオ機器の特性を片っ端から測定して製品のレビューをする Audio science review というサイトを見つけて、最近は中国のメーカーが格安で高スペックのアンプやDAコンバーターを作っていることを知った。5chなんかでもこのサイトの評価は高く、コストパフォーマンスの良い中国製オーディオ機器には多くのファンがついていた。
で、試しに Topping E30 というDAコンバーターを買ってみた。
これは130ドルであるにもかかわらず、 SINAD(信号 対 雑音 + 歪み比) では10000ドルの機材をも凌ぐという超ハイコストパフォーマンス機である。こいつでハイレゾ音源を再生すれば今よりも解像度が高い音が楽しめるんじゃないかと期待した。
が、このE30はXL-999に及ばなかった。
音の良し悪しと言っても客観的な尺度と官能的な尺度があるが、ここでは単に個人の好みによる官能的な尺度ではなく客観的な尺度での話である。当初はSN比や歪率で圧勝しているであろうE30は音の解像度やスピード感では勝っていると予想していた。しかし、実際に聞いてみると全然そんなことはなかった。
例えば、チューバとサードトロンボーンが同じ高さの音を吹いていてXL-999だと2種類の楽器が鳴ってることが判る場面でも、E30だと1種類の楽器にしか聞こえない。同じ音源で16ビット44.1KHzと24ビット96kHZの2つのソースがある曲を聞いてみても解像度は
XL-999の16ビット >> E30の24ビット > E30の16ビット
という結果だった。スピード感もXL-999がまさっていた。
E30が悪い製品だということではないです。10年ほど前に2万円台で売られていたヘッドホンアンプ付きDACのベストセラー機とも比べたが、それよりはE30のほうが良かった。
理屈で言えば、歪率やSN比やその他のスペックが高いほうが音の解像度が良いはずなのに、そうならないこともあるという話、オーディオは聞いてみなければわからないという話です。