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166533 journal

tamanegiの日記: 北極海の酸性化? 9

日記 by tamanegi

http://mainichi.jp/select/science/news/20091120k0000m040149000c.html

(1) CO2(gas)+H2O→H2CO3(炭酸)
(2) H2CO3→2H++CO3 2-(aqua)

CO2 は無極性な安定な気体にしては水に溶けやすい。
その際 (1) のようにして水とくっついて炭酸ができないこともない。
その炭酸はごくわずかに (2) のように酸として解離し、H+を出すので
溶液は弱酸性となる。ちなみに、その際に元々の CO2 は炭酸イオン
CO3 2- として残る。

さて、記事によると空気中の CO2 が水にとけて弱酸性になると
炭酸イオンが消費されてしまうらしい。

(1), (2) の平衡だけの話なら、大気中の CO2 が増えているなら
海中の CO3 2- が減るのは極めておかしい。
どちらかというと H2O や H+ 濃度の変化
(もちろん (1), (2) とは関係無いところでの)のほうが問題だろう
(大体平衡になっているとして; ついでに水量については記事にディスカッションがある)。

# もちろん論文本体は見てない。少なくとも pH 変化についても書いてあると思うんだけど。
# ところで、この日記読みにくいな。sub とか sup はあんまり多用しないほうがいいな。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 平衡の移動 (スコア:2, 参考になる)

    by tagga (31268) on 2009年11月20日 14時15分 (#1675916) 日記

    今の調子で二酸化炭素の排出が続くと、二酸化炭素が溶け込んで海水が酸性化し、海の環境に大きな影響を与えかねないというのは本当ですか。 [nies.go.jp] (野尻幸宏、国立環境研究所地球環境研究センター) で解説されている話でしょうか。

    炭酸は弱酸性なので、3段階を考えないといけません。

    1. H2O + CO2 ⇔ H2CO3
    2. H2CO3 ⇔ H+ + HCO3 -
    3. HCO3 - ⇔ H+ + CO3 2-

    海水はアルカリ性なので、 3 で水素イオンが少ないから 右側へある程度行っていた。 ところが、 二酸化炭素濃度が増えてたので 1 と 2 のせいで水素イオンが増えた。 そこで水素イオンを減らすために 3 でも左側に進んで 炭酸イオンが減ったということのようです。

    • by tamanegi (38323) on 2009年11月20日 17時50分 (#1676067) 日記

      個人的にはその解説(のその部分)を正しいと思っていません。
      二酸化炭素が原因で酸性化したなら、炭酸イオンも増えないと変です。

      # 亜炭酸イオン(? 名前あってる?)が盛大に増えるってことなら話は別ですが、
      # ちょっとそうは考えにくいです。正直そんなにきちんと考えているようには
      # 見えない。

      二酸化炭素以外の要因で酸性化したので、海中の炭酸イオンが
      二酸化炭素に気化して減った、っていうのならアリです。

      # これで大気中の二酸化炭素が増えたと言っているわけではないです。
      # 一応念のタメ。

      親コメント
      • by tagga (31268) on 2009年11月20日 18時32分 (#1676085) 日記

        石灰水 (水酸化カルシウム水溶液) に 二酸化炭素を入れると炭酸カルシウムが沈殿するけど、 入れつづけると炭酸水素カルシウムになって水に溶けるという話と 筋は同じだと思いますが、 なにせ化学を考えたのは 20年ぶりぐらいなので、どうなんでしょうか。

        親コメント
  • 減りますよ (スコア:2, 参考になる)

    by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2009年11月20日 15時20分 (#1675951) 日記
    単純にCO2(g) <-> CO2(aq) <-> [H+][HCO3] <-> [H+][HCO3]で平衡定数KH,K1,K2をそれぞれ入れただけだと出ませんけど,実際の海中が二酸化炭素の溶存下においても塩基性であることを鑑み,微妙に塩基も同時に投入してやったような式を立てるときれいに出ます.
    単純には,
    [CO2(aq)]=KH P(CO2(g))
    ∴[HCO3-]=KH K1 P(CO2(g))/[H+]
    ∴[CO32-]=KH K1 K2 P(CO2(g))/[H+]^2
    [H+]=[HCO3-]+[CO32-]-a (塩基の効果として適当な定数を放り込む.きちんとやる場合は水の乖離定数を使った水の平衡と,適当な量の塩基と[OH-]との乖離平衡,全体での電荷中性条件を入れてやる必要がありますがまあ,手抜きで)
    という式から三次方程式作って解の公式に放り込めばP(CO2(g))に対する各イオンの濃度変化が一応出てきます.
    #一応概算は出してみましたが,やっつけで自信がないんで省略
    #ちょうど海水のpHがCO32-の濃度が大きく変わるところなんで結構鋭敏に変わりますね.
    • あー,でも,実際の海水中だと炭酸カルシウムの溶解で緩衝溶液的になるし余剰に炭酸系のイオンが出てくるのも考えないといけないんでそう簡単な話ではないですね.

      ・二酸化炭素以外を含まず,pHが二酸化炭素のみに依存するような系では二酸化炭素分圧の増加で[CO32-]は増える
      ・適当な塩基がいるような状況だと二酸化炭素分圧の増加で[CO32-]が減ることもある

      ってのは良さそうですが,炭酸カルシウムの溶解効果も入れると真っ当に解かないと駄目ですかね……

      親コメント
      • さっき真面目に解こうとして失敗した自分がカキコ
        あと、ネットワークが不意に落ちて書き込みが一回途中で消えた…。

        # てかあんまり適当に解くと pH が派手に変わってしまう…。
        # ブラックボックスな緩衝液の状態は自分には(多分)解けない…。

        個人的にケチをつけたかったのは記事中の「CO2 が溶けて酸性になるので
        それを中和するため CO32- が減る」って感じの部分です。
        CO2 関連とは別の pH 変化を原因として CO32-(aq) が減ることは十分ありえる、
        ってのは同意です。

        下の平衡式が成立してしまうので、CO2 くらいしか登場人物がいない状況では
        > ∴[CO32-]=KH K1 K2 P(CO2(g))/[H+]^2
        おおざっぱには pH と CO2, CO32- で全てが決まっちゃう上、
        海のすてきな緩衝液な作用で pH 変化すら極めて小さいため、実際問題、CO2分圧と
        海内炭酸イオン濃度は比例しちゃうんですよね。(0次近似的には)

        # 系の電気的中性とかが派手に効いたら話は別ですが、きっとそんなことはないと信じる…
        # 真面目に考えて良くわかんなかったとも言う。

        んで、
        pH=8 程度(?)で CO32- が多いという標準的状況を基準(外的要因多すぎて意味不明なので)

        どうすれば ( CO2(gas) たくさん && CO32-(aq) 少なめ)という状況を作れるか

        「CO2 うんぬんとは関係無い要因」で H+ が流れ込んだので CO2 を気化させて CO32- を使って H+ を
        減らして辻褄あわせようとする緩衝作用、ってのが一番自然? なお、途中の HCO3- その他は無視。
        (まぁ実際の pH の変化はかなり小さいみたいなのでこんなおおざっぱには説明できない気はすごくする。)

        # あとは海流や氷の液化等の影響で平衡にほど定常状態にあるとか、昔か今回の測定結果がおかしかったとか。

        # と、言おうと思ったけど用事があったので
        # …というかめんどくさかったので途中で書き込んじゃったのが日記本文。

        # これってそもそも平衡を考えていいのか良く分からない。
        # 良く言って非平衡定常状態くらいかなぁ、という感じ。定常ですらないのか?

        長すぎスマソ。そしてまとまってないなぁ…。まぁいっか。

        親コメント
  • 記事の中の「炭酸イオン」は一貫して「カルシウムイオン」の間違いだと思われ。

    # 名前は「もの」とか「概念」につくものであって、それ単体でボーっと存在しているのではない、
    # とこの記事を書いた奴に叩き込んでやりたい。

    --
    fjの教祖様
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未知のハックに一心不乱に取り組んだ結果、私は自然の法則を変えてしまった -- あるハッカー

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