「分子を組み立てて集積回路を構築する新技術」記事へのコメント

誤解を招く

[phason (22006)]

このタレコミ文だと誤解を招きそうですが，作り込んでおいた電極間にπ系分子を凝集させて
素子を作るという手法そのものは以前からあり，別に今回のグループが新たに開発したわけでは
ありません．

今回のグループが工夫したのは分子の設計部分で，ここにちょっと工夫をすることで（といっても
方針自体は前から知られていて，それを電子デバイス用に適用しただけと言えばだけなんですが）
導電性のπ系ユニットを結晶的にパッキングするというものです．きれいに結晶性のパッキングが
できるので，モビリティが上がったり素子の再現性が高かったり，というのが利点です．
#とは言えそれほど目新

確かに，ソースを読むと

[Stokes (36790)]

タレコミ本文の

...この方法では最小でも数十ナノメートルレベルのサイズの回路しか作成できないため、集積回路を作るためのさまざまな新技術が研究されている。

の箇所に当たる，リンク元の記事 [nature.com]の

...requiring engineers to etch details just a few tens of nanometres across. So scientists are hunting for alternative ways to assemble even tinier chips.

の部分を直訳すると，「エンジニア達は，たった数十ナノメートルの幅で細部をエッチングをする必要がある．それゆえ科学者は，あわよくばさらに小さいチップを組み立てる方法を探求している」となると思いますし，同記事 [nature.com]の冒頭段落に

an integrated circuit that can build itself（自分自身を組み立てる集積回路），
its ultimate goal — a self-assembling computer（究極のゴール — 自分自身を組み立てるコンピュータ）

とあるので，「より集積度の高いIC」ではなく，「より簡単に組み上がりやすいIC」を実現するための技術のようですね．