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犯人は巨人ファンでA型で眼鏡をかけている -- あるハッカー
せーの、ヤー (スコア:5, おもしろおかしい)
「じゃあ俺から」
「いや俺が」
「いやいや俺が」
「どーぞどーぞ」
Re: (スコア:1)
記事を見た限り、そのような用途は想定されていないようなのですが……
Re:せーの、ヤー (スコア:5, 興味深い)
そもそも感染症の治療に関しては、こういう抗体(あるいは抗血清)そのものを用いた治療(受動免疫による治療)というのは、どっちかというとあまり行われてはいません。例外的に、細菌の産生する毒素そのものが危険であるような場合には、抗毒素抗体による治療が行われますが、イメージ的には、例えばヘビに咬まれた後で抗血清を投与するのと似たようなものだったりする。
また、こういう異種動物の抗血清や抗体を用いる治療の場合気をつけないといけないのは、二回目以降には効き目が激減したり、副作用(いわゆる血清病)が現れる可能性があるということ。これらを併せて考えると、直接の予防や治療に用いるのは難しくて、まぁマスクに目をつけたというのは*それほど*外れてはいないかなぁ、という印象です。
ただまぁ、実際に抗体が抗原と上手く結合して中和するというのは、両方が水に溶けてる状態での話だからなぁ…というのもあって。なので、示されているようなウイルス液を染み込ませる実験で「中和した」と言っても、それはマスクでの効力を確認したとは言いがたい部分がある。
また、マスク自体へのウイルスの吸着力を上げるような作用はあんまり期待できないのが正直なところで、これはどっちかというと「マスク繊維の働きでマスクに絡めとられたウイルスを不活化する」というのが、メインの効果だと考えられます。まぁ、マスクにくっついたウイルスがまた何かの拍子に剥がれて、吸入されて病気を起こす、というケースならば有効なんでしょうけど、「果たしてそういうケースってどこまであるのかなぁ?」とか「別に抗体使わなくても、消毒薬とかで不活化すりゃいいんじゃない?」とか、まぁ実効性に対する疑問が次々と湧いてきて…という感じ。
ただまぁ個人的には、このダチョウを用いる抗体製造自体には期待するところは、割と大きいんですけどね。抗体をばんばん使うような、生化学/細胞生物学実験が本職なんですが、抗体ってのはとにかく金がかかるものでして。抗原となるタンパク質1種類につき、0.1ml単位で5-6万円くらいするものなんかザラです。しかも、基本的に生き物に作らせるものであるため、メーカーごとの当たり外れが大きいし、添付文書の写真みたいな綺麗な結果が「出ねーじゃないかオイ」、というのもしばしば。出来るだけ、事前に他の研究者からの情報を集めて、選びに選び抜いて買っても、結局は同じタンパクに対する抗体を2-3種類買い直す羽目になることもしばしば…。そういうものなだけに、安価かつ安定供給される方向性には期待してます。
#つっても、今度はダチョウIgY抗体に対する二次抗体をいろいろと買う必要が出てくるわけで、痛し痒しですけどね。